マガジンのカバー画像

短編

45
運営しているクリエイター

#朗読希望

溺死

命が溺れ死ぬ深き淵
天上に移ろう薄ら寒い影
しんしんと積もる漣の刻薄
さ丹漏れ出づる血肉の吐息
心命賭して紡ぐ絞首の縄
足元に伸びる光にいとけなく咲う

-------
特に脈絡もない突然なセンチメンタルが城縫威を襲う!!書き終わったあとのチキンラーメンの旨さったらなかったぜ!Yeah!!!(意味もない徹夜明けのテンション)

【短編Tale】パトカーに乗っている

【短編Tale】パトカーに乗っている

パトカーに乗っている。
と言葉だけ聞いたら、まるで僕が犯罪者で、そのために捕まり、パトカーに載せられているなんて考えてしまいそうだ。
実際には自分は警察官で、犯罪者を追う人間かもしれない。

薬をきめている。
と言葉だけ聞いたら、まるで危ない薬を買い込んで、ひと目を気にしながらその薬を使用しているなんて考えてしまいそうだ。
でも本当は、僕は医者で、患者のためになんの薬を与えるのが良いのか決めている

もっとみる
ただ

ただ

私のココロの奥底の、毒のように這いずる蛆虫共は、今も変わらず蠢いています。
先日も腹が減ったからと我が物顔で、私の脳内に行進し虫穴を作って行きました。
おかげさまで、私の虫喰いの記憶は、いつも朧で、不確かな空虚は心に暗く深い穴を落として行くのです。
恐らくは、心を決めて、苦く、辛く、吐き出したくなるようなソイツらを口の中に入れて噛み潰せばいいのでしょうが、そのような心は等の昔に空洞だらけで、脆く、

もっとみる
流れる冷たい水

流れる冷たい水

心が揺れ動く時はどんな時だろう。

思いを馳せるときは何時なんだろう。

情動のままに、熱く燃えていた自分は、今では氷の浮いた海にでも漂うように静かだ。

それが悪い事とは思わないが。

しかしこの体を動かす何かが錆びついたみたいで重だるい。

このままじゃどこかで止まるか、大破して修理ができなくなるほどバラバラになってしまいそうだ。

そうしたら僕は、燃えないごみでポイッ、だろうか。

他のよく

もっとみる
ぼろぼろのセピア色

ぼろぼろのセピア色

僕の目はカメラで、僕の心は撮ったモノをしまうフォルダー。
感情というタグを着けて、何時でも取り出せるように、大切に、大切に。でも、山の様に積み上がっていくそれを見ているうちに、いつの間にか目をそらして、今では埃の被った塵芥。
それでもたまに、どうしようもなく突き動かされて、山の中から一つ、写真を取り出す。
ずいぶんと色褪せたセピア色のそれは、何処で何の写真なのか、理解するには難しいほどぼろぼろにな

もっとみる
【短編Tale】上を向きながら歩いている。

【短編Tale】上を向きながら歩いている。

上を向きながら歩いている。
嫌なことがあって泣きそうだったから。
歌にあるように、こぼれないように夜の道を歩く。
そうしたら凸凹道の上で躓いて膝を擦りむいた。
ちょっと涙が出てきた。
痛かった……。
だから今度は下を向きながら歩いた。
そうしたら目の前の電柱に気づかないで、頭を酷くぶつけた。
すっごく痛かった。
痛かった!
鼻をすすりながら、しょうがないから前を向いて歩くしかない。
そうしたら後ろ

もっとみる
【短編Tale】空が暗くなっている

【短編Tale】空が暗くなっている

空が暗くなっている。
仕事が終わって、夕暮れに乗った電車。
うつらうつらとしたものだから、少しばかしと目を瞑った。
開けてみたら夜だ。
ぐっすりしたわけでもないのに、ぱっと目を開けて映った景色がガラッと変わっているとぎょっとする。
思えば、もうそろそろ、一年が終わる頃か。
随分冷え込んできた。
この一年が終わると、僕の命の花びらが、一枚、はらりと落ちる。
体には、岩壁に痕を刻むように強かに老いが積

もっとみる
僕の腕時計

僕の腕時計

時計の短針が消えた。
ある時ふと腕に目をやった時に気がついた。
かなり古い、これを買ったのは、何時だったろうか。
なんとなく腕時計が欲しくて、立ち寄った時計屋で、並べてあった種々の中から、目が合ったような気がして、丁度その時の財布の具合とも良くて、迷うこともなく買った。
その時の僕の気分が、間違いなくこの時計を示し、買ったことは今でも覚えいる。
腐れ縁の様な、奇妙な腕時計が、いかに長い付き合いだっ

もっとみる
【短編Tale】手帳を開いている

【短編Tale】手帳を開いている

手帳を開いている。
溢れ出る心象。
赤・青・黄色。

僕の知らない大切な人が、知りもしない僕に向かって理由のない笑顔を向けている。

ここは空の大地。
いや、海という宇宙。

貴方を恨み、憎み、愛し、好きです、大好きです!だから付き合ってください。

いいえ、さようなら。貴方の事、きらいじゃないけど、それだけよ。おばかちゃん。

そうだったのか。
せやで。
せやのんか。
せやや。
せやや?
せやや

もっとみる
【短編Tale】人を待っている

【短編Tale】人を待っている

人を待っている。
会うのを待つとも、来るのを待つとも。
この、待つ行為はなんともそわそわする。
たとえ知っている間柄でも、良くも悪くも心が動く。
それが、心持ち軽やかに重い。
なんと言って話しかけようか。
まずは手を上げて会釈でもしようか。
頭の中でシュミレートしても使い物にならないと知っているのに、それでもついつい考えてしまう。
一人でいたらおこらないことだ。
だからどうしても落ち着かない。

もっとみる
【短編Tale】子供のよっぱらい

【短編Tale】子供のよっぱらい

空が曇っている。
どんよりとしていて、今にも雨が振りそうだ。
自分には傘もなく、レインコートもない。
降られてしまったら、ずぶ濡れだ。
スリルある帰り道。
しかし、こんな気が重くなりそうな日でも、子供は存外元気なものだ。
明るい声で、ねぇ、ねぇ、と自分の親に話しかけている。
どうにも、自分にはなくなってしまったエネルギーだ。
羨ましいまではいかないが、昔を懐かしむきっかけにはなる。
昔の僕といえば

もっとみる
【短編Tale】雨音を聞いている

【短編Tale】雨音を聞いている

雨音を聞いている。
微々たる音が、肌を撫でて、風が運ぶ冷ややかな湿り気が耳に届く。
ふと思いたち、使い古したキャップをかぶり、適当なジャケットを着て外に出る。
一段と強くなる雨音の無邪気さに、少しワクワクする鼓動が熱を帯びる。
気取って、ポケットに手を入れ、頭の中では、しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん、なんて言葉が巡って、唇でそれをなぞる。
肩を叩くしとしと雨は微笑みの様に軽やか。
時たま落ちる

もっとみる
【短編Tale】明日が待っている

【短編Tale】明日が待っている

明日が待っている。
そんなこと、さもさも名言風に友人から言われたものだから、本当なのか気になって、実際に明日に聞いてみた。
そうしたら、確かに待っているよ、と言われた。
その答えを聞いて、僕は、友人の言が本当であるとしれて嬉しかった。
しかし、明日は言葉を続けてこういった。
だけど、勘違いしないで欲しいのは、君たちを待っているわけではないよ。
僕はその言葉の意味がよくわからなかった。
だってそうじ

もっとみる
【短編Tale】僕は君を知っている

【短編Tale】僕は君を知っている

僕は君を知っている。
だけど君は僕を知らない。はじめましてという言葉がここまで鋭利な言葉になりうるなんて知らなかった。
ただ君と一緒に過ごすだけで、一秒一秒の時間が宝物の様に輝いていたのに、その一秒一秒の重さが僕を押しつぶそうとする。
ほんの些細なことで起こってしまった事が君を遠くした。
想いあっただけに、君が他人より遠いよ。
いっそ、僕のほうが消えてしまえば、どんなに楽だったんだろう。
そうした

もっとみる