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【短編Tale】空が暗くなっている

空が暗くなっている。
仕事が終わって、夕暮れに乗った電車。
うつらうつらとしたものだから、少しばかしと目を瞑った。
開けてみたら夜だ。
ぐっすりしたわけでもないのに、ぱっと目を開けて映った景色がガラッと変わっているとぎょっとする。
思えば、もうそろそろ、一年が終わる頃か。
随分冷え込んできた。
この一年が終わると、僕の命の花びらが、一枚、はらりと落ちる。
体には、岩壁に痕を刻むように強かに老いが積もるんだろう。
……。
どうにも疲れているのか、ずっと先の、自分がボロボロになった時、目を瞑り、開けた時の事なんかを考えてしまっている。
自分に苦笑して、電車から降りる。
どうせ、夏になって昼が長くなったら、冬の、身に纏いつく冷たい寂しさを恋しく思うに違いないのに。

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