マガジンのカバー画像

作品

8
詩、短歌、掌編小説をまとめてのせています
運営しているクリエイター

#私の作品をみて

かわき

水面のかがやく海が見える

けれど浸かれない

池すらない

水たまりがあるかも怪しい

溺れたい

ずっと乾いている

底の見えない海が見える

けれど確かめたくない

穴すら掘らない

掘る手があるかも怪しい

溺れたい

ずっと乾いている

クレヨンロケット

ある幼稚園のお遊戯の時間
「みなさん、この画用紙に好きなものを書いてください!」
先生は一人一人に画用紙を配る。

「僕は地球を飛び出して宇宙を旅するんだ」
そうたかし君は言ってクレヨンを持って描き出す。
「あらあら、たかし君。画用紙の中からはみ出さないでね。」

はみ出した分を先生は慣れた手つきでパパッと消していく。

言った側からたかしの描くロケットは勢いよく画用紙をはみ出す。
気づいた先生が

もっとみる

パピコの定理

二つで一つ
いくら候補があろうと
こいつのセットはあいつしかいない
二つで初めて成り立つの
一つだけじゃだめ

一つを二つに
いくら候補があろうと
こいつのセットはあいつしかいない
二つで初めて成り立つの
一つだけじゃだめ

一つは一つ
いくら候補があろうと
こいつのセットはこいつでしかない
一つは一つで成り立つの
一つだけでいいの

あいすくれーむ

燃えるようにあついから溶けていく

手に収まらず落ちていく

全て地面に落ちていく

手に残らないくせにベタつく

忘れさせまいと執拗にまとわりつく

ここにはいないくせに

残るのは空っぽの器だけ

捨てるのは惜しいから味わってしまう

あい

地面が飛びついてきた

夕暮れ太陽が溶け出した

どくどくどく

潮が一気に満ちていく

堤防を破りそこら中にあふれる

花畑が取り囲み

心地よい風が懐かしいにおいを運ぶ

しだいに潮は引き

3つの虹がかかる