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【ドラマで見る女性と時代】その4の四 『光る君へ』~花山天皇に入内した藤原忯子~(2024年)

「……縛ってる?え?縛ってるよね?え?どう見ても両手首縛ってるよね?え?NHKだよね?帝だよね?え?」

 暖色の灯りの中に浮かび上がる、夜の床と白い絹の衣姿の男と女。
 男は赤色と黒色で織られた帯を操り、ゆるゆると幾重にも女の両手首に巻きつけてゆく。
 女は、紐を見つめ、そして無垢な視線を男に向ける。
 そして、次の瞬間、そっと頷く。
 男に一途に捧げたままの瞳に、何かを耐え忍ぶ哀しみの色はない。まるで濡れガラスのように透明で潤んだ光を携え、男のあらゆる所作を受け入れるという純粋な想いが滲んでいる。
 そんな女の顔を見つめ、男は口元を歪めて微笑み返す。


 『 女性と時代 』というタイトルは、今回はもはやほとんど関係ありません。
 時代や性別がどうこうという話ではない。日本放送協会のドラマにおける、一歩間違えたら淫靡いんびともなりうる場面の感想と、それとは無縁の同協会主催の健全なイベントレポが今回のわたしの記事です。

 タイトルも、一応帝の女御・藤原忯子ふじわらのよしこの名を書きいかにも女性の話のごとく見せかけて、実は花山天皇ののことが主たる中身の記事です。


※見出し画像は、ドラマ撮影で用いられたまひろ(紫式部)の着物の写真です。





プレイじゃないです、ただの純愛です

 
 新たに即位した花山天皇(本郷奏多さん)。
 天皇のよくある崇高なイメージとはかけ離れた逸話が、その真偽はともかく色々残されている。

 この大河ドラマでは、東宮の頃の勉強時間に、先生であるまひろの父・藤原為時(岸谷五朗さん)の話をまったく聞かず足で扇子を持ち替えて遊んでみせたり、母親と娘の両方手をつけたんだけど色々似てるからどっちとやってるのかたまにわかんなくなるんだ~みたいな話を為時に語ったり、即位したらしたで思いどおりにならないと側近の貴族に激しく辺り散らすなど、女性関係があれこれあって、感情の起伏が激しくエキセントリックな人物に描かれている。

 演者の本郷奏多さんは、花山天皇についてこんなコメントを寄せています。

『 監督もおっしゃっているのですが、本質は悪い人間ではないと思います。 』

『 子どものまま、何もわからず即位した人 』

『 お飾りの天皇ゆえに、いろいろな人の思惑に巻き込まれてゆくだけなのだろうなと思っています。』

『 そのピュアさが最も表れているのが、入内してくる藤原忯子への想いです。とにかくもう「忯子、忯子、忯子」と彼女を一途に愛しています。演じている井上咲楽さんがピュアでまっすぐな視線をぶつけてくださるので、信頼し合っている2人の純愛を感じていただけるのではないかと思っています。 』

『 そんな人生のすべてだった忯子を亡くし、唯一頼りにしていた藤原道兼にも裏切られる 』

『 自分のことを思ってくれる人もなく、本当に不憫でかわいそうな人だなと。 』

NHK出版 NHK大河ドラマ・ガイド 
光る君へ 前編 より


 女性関係が乱れている帝が妻を迎えた初めての夜。

 上に羽織った衣を脱がせ、抱き寄せて手を握り髪を撫で……というありきたりな夜ではなかった。
 羽織った衣を脱がせて床の上に並んで座ると、帝はおもむろに妻の両手首を帯で縛り始めたのだ。

 え、いや、いきなりそう来た!? 

 
わたしの根拠のない推測では、視聴者の大人のうち約60%強が緊縛プレイを想像したに違いない。
 確かに帝が性的な方面でも通常のありきたりなお方ではないのだろう、とつい連想してしまう、10秒程度のシーンだ。

 手首を縛られた忯子(井上咲楽さん)と帝が微笑み合う。

 でも、このシーンはこれで終わる。
 それ以上の具体的描写はない
 
 この後も手首縛られたままでした、なんて物語のどこにも描かれてない
 だから、NHKでも放送できた。
 このスレスレの絶妙さが秀逸すぎる。あらためて大石静さんの脚本に百回くらい脱帽したい気分。
 
  本郷奏多さんのコメントを見れば、性的嗜好がどうのよりも、忯子に依存し彼女を束縛する帝の偏頗な愛を表現しているにすぎない描写だと読み解くのが正解かもしれない

 しかし、忯子が頷いた後、花山天皇の口許が歪めた表情からするに、いやこれは今物理的に縛りたいんだよね帝が、としか思えない。
 前提として、女関係では色々な話が絶えない帝なのだから。

 忯子は、これに困惑したり逆らえぬとやむなく従う様子でもなく、どこまでもなんなりと帝のおおせのままに……と純粋に受け入れる、そんな顔。
 真っ直ぐ帝に注がれる視線は、確かにピュアという言葉がピッタリなもの。
 よって(?)、縛った後がどうなったのかわかりませんが、帝が忯子にどんな形を要求しようと二人の愛は純粋なものに違いないのです。

 
 本郷くんがこのようなコメントをしているので、彼女の入内後は女性関係は一切断たれて忯子一筋というストーリーになるのでしょうか?

 なお、やがて花山天皇は忯子が病死したことがきっかけで出家してしまうのですが、法皇となってからも女性関係は止まることなくひと悶着というか幾つも悶着を起こすらしいです。。。


 ネットでの反響などは、こちらの記事 ↓ をご参照ください。
https://thetv.jp/news/detail/1179379/

 


 前回の藤原実資ふじわらのさねすけと女房達といい、今回のこのご夫婦といい、本筋よりも破壊力ある場面の方がなんとも心に刺さるドラマだ。

 今回の主な名場面は、まひろ(紫式部)が自分の舞を披露する宴の場で、『 三郎 』という名しか知らぬまま恋心を寄せつつある相手が、母・ちやはを殺した藤原道兼と並んで座っている藤原道長であることを知るに至り、激しくショックを受けてしまうという一連のシーンのはず。

 とはいえ、これは次回予告などで何となく流れがわかってしまってるので、予想どおりというかそれほど斬新な衝撃はなかった。
 むしろ、妻を縛りはじめる帝の方が超びっくりした。
 

 以上が、第四話
『 五節の舞姫 』感想であります。



『 光る君へ 』展へ行ってまいりました

 この回の放送日の昼下がり。
 渋谷のNHKプラスクロスSHIBUYAで開催されている『 光る君へ 』展へ行ってまいりました。

 モニターで流れる動画と、展示されている役者さん達のサインは写真撮影禁止。

 それ以外の写真パネルなどは撮影可能ということで、『 今後の記事の見出し画像に使える! 』とデジタル一眼で写真を撮って来た……のですが……、そこはいかんせん、まだまだカメラ初心者、あまりキレイに撮れませんでした(涙)
 ………かっこつけずにスマホでたくさん撮れば良かった……。
 

 有名な俳優さんのサインばかり一斉に何十枚も並んでいるのは圧巻でした!
 サインにはそれぞれの俳優さんの個性が溢れていて面白かったです。
 にこちゃんマークのような顔の絵が入っているように見える黒木華さんのサインが可愛らしくて、彼女らしいなと印象的でした♪♪

 2月5日(月)までの開催。
 ドラマが終わる12月頃まで展示してくれても良さそうなのに……。

第4話までの各シーンの特大写真パネル
紫式部と藤原道長の立ち姿の
等身大パネルもありました


根本知氏によるドラマの題字・その実物が…!
横書きバージョンの題字もあるそうです


まひろの着物や小道具など
写真パネルではピンクっぽく見えている着物、
実際は淡いイエローで鳳凰の模様入りです


文机、硯と筆、巻物 
手前に並んでいるのは、『 貝合わせ 』という
神経衰弱のような遊びの道具



 余談ですが、わたし、石山寺さんにある紫式部さんのお着物を直すクラウドファンディングに参加させていただきました。

 名前を石山寺さんホームページに掲載してくださってます♪




前話までの感想です。
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