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アブリベーコンとシャカシャカチキンの響きは、素敵に聴こえる食べ物。
親友とのドライブの途中で寄った高速道路のサービスエリアで、アブリベーコンを1本500円で買って、食らいついていた。
アブリベーコンとは、1㎝くらいの厚みに切ったベーコンを串に差して火で炙ったB級グルメである。
すると、外国人が二人近づいてきて、そのうちの一人が
「その食べ物はなんですか?」
と、流暢な日本語で聞いてきた。
「アブリベーコン、です」
お店に大きく貼り出してあるメニューの一つを差し示しながら、その外国人に教えると、彼はそのアブリベーコンという響きがえらく気に入ったらしく
「アブリベーコン、アブリベーコン」
と、リズミカルに何度も陽気につぶやいた。彼の友人が
「ここに書いてあるのに、わざわざ他人に聞くなよ!」
と、これまた流暢な日本語で彼にツッコムと
「俺はカタカナが苦手なんだよ!」
と言い返した。
彼がお店の人に
「アブリベーコンください」
と注文した。お店の人が
「1本ですか?」
と聞くと
「3本ください」
と彼は言ったが、お店の人に
「申し訳ありません。残り2本しかないんですよ」
と言われてしまったので、彼は
「いいですよ、2本で」
と答えた。アブリベーコンが調理し終わるまで彼は
「日本だから、2本。クククククッ」
と、これまた完璧なイントネーションで言っては、自分が発したダジャレにはまってウケていた。
アブリベーコンが2本でき上がると、1本を友人に渡し、残り1本を彼が持ちながらわたしに向けて、あたかもカンパーイと言わんばかりに
「アブリベーコン!」
と言ってきたので、わたしも
「アブリベーコン!」
と返した。その外国人には、アブリベーコンという響きがとても心地よかったのだろう。
数ヵ月後、サービスエリアで会った彼によく似た外国人を新宿のマクドナルドで見かけた。
彼は手に持った紙袋を振りながら、友人に
「シャカシャカチキン、シャカシャカ、シャカシャカ」
と陽気に言って笑うと、友人も
「シャカシャカ、シャカシャカ」
と袋を振りながら応じた。
日本以外で生まれ育った人からすると、日本語の一部の響きがツボにはまることがあるらしい。
シャカシャカチキンを売るマクドナルドは日本中どこにでもあり、日本で暮らす人には有名な食べ物であろうから、シャカシャカチキンに再会するのは簡単であろう。
一方、サービスエリアで会った彼が母国に帰って、友人や家族に日本で美味しかった食べ物を紹介するとき、アブリベーコンのことを話すのだろうか。
アブリベーコンは日本では一般的な食べ物ではないから、彼が再来日したときや、彼の友人や家族が初来日したとき、アブリベーコンを見つけることは困難であろう。
それは、日本で暮らす人に
「アブリベーコンを売っている店を知っていますか?」
と聞いたとしても、アブリベーコンを一度も食べたことがなければ、アブリベーコンそれ自体を知らない日本人が多いだろうからだ。
また、ベーコンを火で炙るのは、日本の一般家庭の台所では至難の技だから、手作りして彼にごちそうしたり、彼に日本で手作りをすすめるわけにもいかない。
簡単に有りそうで無くて、作れそうで作れない幻のメニュー、アブリベーコン。
外国や、インバウンド向けに国内で売り出したら、ヒットするかもしれない。
そもそも、アブリベーコンって、どこの国の料理なんだろうか。まさか、日本が発祥なんてことはあるのだろうか。
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