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【ハーブ天然ものがたり】昆布

海の植物たち


海草、海藻はどちらも「かいそう」と読み、海の植物です。
一般的な陸地植物と同じように根・茎・葉があって種子で繁殖するのは海草。
菌類、藻類、コケ、シダのように胞子で繁殖するのが海藻です。

昆布は「海藻」の一般的な呼称で
マコンブ(真昆布)
オニコンブ(羅臼昆布)
リシリコンブ(利尻昆布)
ホソメコンブ(細目昆布)
ミツイシコンブ(日高昆布など)
ナガコンブ(長昆布)
ガッガラコンブ(あつば昆布)
ガゴメコンブ(表題写真)などがあります。

昆布漁日本一を誇る北海道の住民だったころより、本州に住んでからの方が昆布消費が増えました。きっと売り場が充実しているからだと思います。
大阪のだし文化は、むかし船で昆布を運んでおり、荷積みされているあいだに昆布が熟成して、まろやかで美味しくなったからと聞いたことがあります。

北海道の一部地域で採れるガゴメ昆布は、アミノ酸やアルギン酸が豊富で、フコイダンというヌメリ成分が多量に含まれており、ヌメリ成分が免疫力を上げるという研究が進んで、サプリメントも出まわるようになりました。

フコイダン・ネットワークなるものがあると聞いたのは、かれこれ10数年前。
昼夜逆転の仕事をされている方々に圧倒的支持があると、ススキノでブイブイ活躍されていた御仁に聞いたことがあります。

平安時代に書かれた「本草和名(当時の薬草辞典)」には、
「モズクはこぶや腫れ物を散ずる。アラメは婦人病を治す。コンブは13種の水腫を治す。黒焼きにすると梅干しと同じ効能があり、口、舌、歯牙の病を治す。水腫の病人にコンブと煮た鯉を食べさせると、小便の出が良くなり、病を治す」と記載され、古くから健康のために海藻を食していたことがわかります。


出戻り・留守番・冒険者


進化の過程で、海から果敢に陸地への進出をはかった植物たち。
栄養豊富な海水のなかでゆらゆらと漂いながら、全身すべてから栄養を吸収し、十分な太陽光を浴びる生活を捨て、水と光と栄養の争奪戦、また重力への適応を強いられる陸上へと、冒険するものたちが現れます。

そうして陸地で生きる術を獲得した植物のなかで、また海のなかへ戻ってきたのが「海草」、出戻り組です。
海藻とちがって、根や茎をもち、海のなかで花を咲かせます。

海中でずっと留守番をしていた「海藻」には、根も葉もありません。
岩に固着された部分は根の機能を持たず、海水から全身で栄養吸収をしています。
水の浮力にたゆたいながら成長するので、支えとなる茎も必要ありません。

海藻、海草ともに太陽光を利用して光合成を行うので、光の届く範囲に生息していますが、海面に降り注ぐ太陽光は、水深によって届く光の種類(波長の長さ・色)が違うので、受けとる光の種類によって、緑藻、紅藻、褐色と、色が変わります。


吸収する色、反射する色


【光の3原色】は赤、緑、青。
「りんごはなぜ赤い?」という例題は有名なおはなしです。
「人が色をみる」とき、モノから反射された光をみているのは、わりかし周知のこととなりました。
赤いりんごは青と緑の光を吸収して、赤い光を反射しているから、人の目には赤く見える、と。
全ての色が吸収されたら黒、反射されたら白に見えます。

*混乱回避のためちょっとだけ補足
3原色には光と色、2種類あります。
【色の3原色】シアン(青)、イエロー(黄)、マゼンダ(ピンク)は、光の3原色を2色混ぜることでできます。

光と色の3原色


光がよくとどく浅いエリアの海藻は赤い光と青い光を吸収し、緑の光を反射します。地上植物と同じで主に葉緑素(クロロフィル)で光合成しています。
光がとどきにくい深いエリアには、浅瀬で吸収されなかった緑の光がとどきます。

青・緑の光をよく吸収する生体色素はカロチノイド、つまり反射して人の目に映る色は赤、黄、橙色になります。
カロチノイドは
βカロチン
ルテイン
アスタキサンチン
カプサイシン
リコピン 等々、
よく耳にする、赤や黄色の、からだによい色素のオンパレードです。
効能はいろいろうたわれていますが、共通しているのは抗酸化作用があること。

可視光線のはしっこにある紫の光、その先にあるのは紫外線です。

紫外線のエネルギーを受けすぎると酸素が活性化し、脂質を酸化させ、タンパク質を変性し、細胞にダメージを与えることがわかっていますが、カロチノイドは抗酸化作用によって紫外線の高エネルギー波を受け流すことができる、植物の進化プロセスによる創意工夫のたまものと思います。

海の深みへととどく光の色の順番は、緑→青→赤となり、深いエリアに生育する海藻は、たくさんふりそそぐ緑の光をよく吸収して紅藻(赤や紫色)となります。
浅瀬と深海のあいだに生育する海藻は、赤い光をあらかた吸収された微妙な光の色を吸収しつつ、橙、黄、緑、水色の配合が交じった濃緑~茶褐色になります。

人の手が及んでいない海中を覗き見ると、さまざまな色のオンパレードで、光の色があふれています。
人工的な介入がない世界は、色とりどりに光を分配して、鮮やかに彩られるのが自然ほんらいの姿なのだなぁと思います。


日本古来の食と「おめでたごと」


諸説あるうちから、おめでたい昆布の語源説を選んでご紹介します。
こんぶの古名「ひろめ」は、幅が広い海藻という意味で「広布」と表記され、音読みでコウフ、コンフ⇒「こんぶ」と呼ぶようになりました。
現代の婚礼や披露宴を「おひろめ」というのは古名「ひろめ」に由来し、結納やおめでたいことのご挨拶に昆布が使われる由縁となりました。

「おめでとう」の語源は、縁起をかついだ説が色々とありますが、民俗学者、国学者でもあった折口信夫の著作に、生御霊いきみたまのお祭りが発祥、という説があります。

折口信夫集 神の嫁」に収載されている「鬼の話」では、盆に親方のために、子方こかたは親方をたずねて「おめでたごと」を述べて、親方の生御霊を祝福する式があったといいます。

室町の頃から続いてきたこの式は、人は生御霊をもっているという考え(信仰)から派生しており、生御霊は隙あらば人の身体から離れよう離れようとしており、ときに外物に誘われて、すぐさま出ていこうとするのを抑えなくてはならないと考えられていたようです。

生御霊の入れ替えが起こる時節は、暮れから正月と、盆がメインだったようで、暮れから正月には歳神様としがみさまにおめでとうと言い、盆には子方が親方に生御霊を献上するという意味をこめて「おめでとう」という挨拶があったといいます。
お正月の「おめでとう」という挨拶は、その祝福のことばが固定したものである、と記されています。

歳神としがみさまについては、「鬼の話」では毎年春の初めに、空か山の上から来る神があり、年の暮れに村人が歳神を迎えに行き、山の中で神の宿る木を見つけて、その木に神の魂を載せて帰る行事と説明されています。
山人が神木をもって里にくるというケースもあったようで、そちらのお話は【ハーブ天然ものがたり】松/パインに綴らせて頂きました。

神様は大勢眷属を率いてくるので、歳棚を用意して供物をならべ、鏡餅や、しとぎ(粢)、握り飯など用意したそうで、米の供物は魂の象徴とされていたそうです。

生きた魂、生御霊いきみたまのお祭りについては、「盆踊りの話」にも詳しく載っています。こちらは青空文庫見つけたので貼っておきます。

「盆踊りの話」
日本民族の量り知れない大昔、日本人が、国家組織をもつて定住せない頃、或は其以前に、吾々の祖先が多分はまだ此国に住まなかつた頃から、私の話は、語り出される。

其頃の日本の人々の生活は、外来魂を年に一度、切り替へねばならなかつた。其が、年に二度切り替へる事にもなつて行つた。

本来ならば、尠(すくな)くとも、一生に一度切り替へればよいのであるが、此を毎年切り替へる事になつた。

年の暮から初春になる時に、蘇生する為に切り替へをし、其年の中に、も一度繰り返す。此後の切り替へが、聖霊祭りである。

切り替へとは、魂を体に附ける事で、魂を体に附加すると、一種の不思議な偉力が出来たのである。

例へば、さる地位にある人は、其外から来る魂を体に附けなければ、其地位を保つことが出来ないのだ。此を一生に一度やるのが、二度となり、六度行うた時代もあつた様だ。

二度の魂祭り、即、暮と盆との二度の祭りに、子分・子方の者から、親方筋へ魂を奉る式「おめでたごと」と言ふ事が行はれたのは、此意味であつた。「おめでたう」と言ふ詞を唱へれば、自分の魂が、上の人の体に附加するといふ信仰である。正月には魂の象徴を餅にして、親方へ奉る。

朝覲行幸(ちょうきんぎょうこう)と言ふのは、天子が、親の形をとつておいでなさる上皇・皇太后の処へ、魂を上げに行かれた行事である。

吾々の生活も、亦同様で、盆には、鯖を、地方の山奥等では、塩鯖をさげて親・親方の処へ行つた。
何時の頃から魚の鯖になつたか訣らぬが、*さば(産飯)と言ふことばの聯想(れんそう)から、魚の鯖になつた事は事実である。
此行事を「生き盆」「生きみたま」と言ふ。

産飯さばは眷属にお供えする食べもののことです。

生御霊いきみたまを語るには時代がちがいすぎて、妄想すら追いつかない状況ですが、空か山からおいでになる歳神様に「おめでとう」とご挨拶して、自分の生御霊を献上することで、あたらしい生御霊を授かる...というような儀式だったのかな、と思います。

人のからだは、今ほど固体化されておらず、地上を見聞するためのいれものとして、いろんな次元の意識体が、もっと自由にシェアできるのが通常運転だったとか…。とか。


もとい昆布ですが、お祝い事、ご祝儀以外にも、室町時代に武将たちの出陣や凱旋に、打ち、勝ち、よろこぶとして、一に打ちあわび、二に勝ち栗、三に昆布は欠かせない食べ物だったといいます。
この3食品は食べ方、飲み方の作法もあり、三三九度の原型ともいわれています。

どれも日本に古くからある食品ですが、時代は変わって、のしアワビはイラストになり印刷され、正月飾りにはスルメが代用されることも。
栗も国産ものは手に入りにくくなりました。
昆布だけはいつまでも、庶民の味方でいてほしいです。


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