【ハーブ天然ものがたり】パイン/松
レペゼン針葉樹「松」!
地球を代表する針葉樹、マツ科の樹々はその数200種以上。
大きな天幕を広げるように枝葉を伸ばすものから、クリスマスツリーのカタチ、日本庭園に鎮座する和風マツまで、北半球を中心にさまざまな植生で、バリエーションを広げました。
マツ科マツ属は
・アカマツ
・クロマツ
・ゴヨウマツ
・ニシキマツ
・リュウキュウマツ
・ヨーロッパアカマツなど
マツ科トウヒ属は
・トウヒ
・エゾマツなど
マツ科モミ属はクリスマスツリーのカタチ
・モミ
・トドマツなど
マツ科ヒマラヤスギ属は
・ヒマラヤスギ
・レバノンシダー
・アトラスシダー
他にもマツ科には
カラマツ属、ツガ属、トガサワラ属、アブラスギ属などがあります。
針葉樹の高木グループは、地球全体に広く分布しています。
北半球にはマツ科
南半球にはマキ科・ナンヨウスギ科
北にも南にも、地球ぜんぶに広がったヒノキ科
針葉樹の高木のなかで、マツ科は最も多く繫栄し、アロマテラピーでは精油として一般的にパインという名称で市販されています。
松の香りはヨーロッパアカマツ/スコッチパインから採油するものが一般的な流通ラインにのっているので、入手しやすいと思いますが、探してみると日本産のカラマツやクロマツ、トドマツの精油も市販されています。
松は古代エジプト、ギリシャ、アラブの各文明において治療薬として利用されてきました。
気管支や肺のトラブルに、香りの吸入が症状を緩和させるとして重用されていました。松の木が生育しているところに村ができ、肺の病気にかからないよう、あるいは肺の病の療養地として人が集まりました。
北米ネイティブの人々はエゾマツの木を西のトーテムとし、木くずを噛んで芳香を楽しんだり、去痰作用のあるお茶として利用してきました。
防腐効果も高く、松脂は傷口の消毒剤となり、日焼け止めとして顔に塗る風習がありました。
骨折時のギプスは松脂を固めたものをあて、聖なる儀式スウェット・ロッジに活用していました。
エゾマツの樹皮と幹のあいだにある層は食用になり、春はそのまま食べ、冬は乾燥して保存食にしていたそうです。
松脂は冷水につけて固めてからガムのように嚙み、のどの調子を整えたり、下剤としても重用してきました。
おなじマツ科でも、モミ属の精油はファーという表記で、樹齢をかさねた古い木の針葉から精油をたくさん採油できます。
諸説ありますが旧約聖書に出てくるギリアデのバルサムは、乳香ではなくバルサムモミと呼ばれている松脂のことだという説があります。
モミの木は耐久性があるので家屋や船の建造に多く使用されてきました。
マツ科ヒマラヤスギ属の精油はシダーウッドという表記で、パインやファーに比べると軽くてドライな芳香になります。
鉛筆の原料になっているので、鉛筆の香りといえばわかりやすいですね。
共通しているのは呼吸器系に深く浸透して、肺をゆったりさせてくれること。いつでも、どこでも森林浴効果を堪能できる、まさに樹々の香りです。
フィトンチッド
パイン精油は葉と球果、若い小枝に精油が多く含まれています。
新鮮な樹々の香りをバルサム調とかウッディ調と表現しますが、植物を傷つけたときにでる分泌物のことを総称してバルサムといいます。
パインをはじめとするマツ科の精油は、オリエンタル系の香水によく使われる原料で、いわゆる森の香り、フィトンチッド効果を体感できます。
植物は細菌やカビ、捕食から身を守るため、香り成分を身につけました。
その香りは大気も浄化し、清浄にする力をもっています。
ほんらい森には動物や虫たちの排せつ物や死骸などがありますが、臭気が気にならないどころか、爽やかで気分のよい香りがするのは、植物たちが放つフィトンチッドのなせるワザです。
森のなかで、そよ…と風が吹けば、葉がこすれ、香り成分が広がります。
虫たちの軽くて小さな足が触れただけでも、香り成分は広がります。
光合成で呼吸するとき、水分がいっしょに蒸発して香り成分が広がります。
フィトンチッドが人にどのような効果をもたらすのか、研究や実験も進んでいます。
風の精霊「シルフィード」はラテン語の sylva (シルヴァ・森)とギリシア語の nymphe (ニュムペー、ニンフ)をかけ合わせたことばで「森の妖精」という意味を持っています。
風の精霊は森の精霊でもあります。
植物はもともと風媒花、風によって受粉する植生でした。
約3億8500万年前、水がなくても子孫を残すことができるよう、種を作る植物が出てきて、種子植物から裸子植物や被子植物の祖先が出てきました。
それから被子植物が花をつけるようになり、1億年前ころから受粉に昆虫を利用するようになった(虫媒花)ということです。
風の精霊は虫を子飼いにすることで、風がとどきにくい地表近くの植物たちにも、均等に子孫をのこせるよう工夫したのではないかな、と考えたりします。
風の精霊シルフィードが、森の妖精たるゆえんは、風の知らせや虫の知らせを駆使して、虫たちの本能にはたらきかけ、森を育てるお役目を担っているからではないかと。
大気を自由に飛びまわる風の精霊たちは、地表に降りてさまざまな風を吹かせます。
風のカーテンをゆらしながら、植物の栄華盛衰を展開して、林を生み出し、やがて森へ。
ヒトの嗅覚は森の香りを受けとると、肺を大きく広げてその香りをたっぷりと吸い込みたくなります。
息はプシュケー、大気はプネウマ。
それは超自然的な存在のちから、聖霊たちそのものです。
古代ギリシャ語の「吹く」を語源として、ラテン語でスピリトゥス、英語のスピリットということばにつながります。
深呼吸は選手交代
町や平原から森林に入ったとき、あきらかに森の体内に入りこんだなぁ、境界線を越えたなぁ、と感じる1歩があると思うのですが、森はシグナルを発して、土が絶えず有機分解をくりかえしていることや、植物が土中から水を吸い上げ、二酸化炭素を取りこんでは酸素を吐きだしていること、風には風の、虫には虫の、獣には獣の通り道があることを知らせてくれます。
風の精霊たちの棲み分けは、小さい範囲でいうとおうちのなかにもあって、台所と寝室では明らかに匂いも空気の質も変わります。
ひと呼吸するごとに、風の精霊たちは選手交代して、わたしたちに新しい風、あたらしい印象を届けてくれるように思います。
風の精霊たちが選手交代すると、スピリットのレセプターも変容するので、それまで見ていたもの、接していた環境に対する印象が変わることも、ままあると思います。
深い呼吸は、からだの深部まで入りこんだ精霊たちを総入替えする選手交代システム。
パインをはじめとする森の香りは、自然と気息を深めて、からだじゅうすみずみまで、風の精霊を循環させてくれるんだなぁと感じています。
門松のおはなし
日本の民俗学者、国文学者の折口信夫(1887-1953年)は、門松について興味深いお話をのこしてくれました。
門松のお話では「正月に門松を立てるわけを記憶している人が、今日でもまだいるでしょうか。この意義は、恐らく文献からは発見出来ますまい。文化を誇ったものほど早くに忘れてしもうたようです」という説明から入っています。
正確なところは文献にものこされていないということですが
「年の暮になると、山から降りて来る、神と人との間のものがあると信じた時代があった」そうです。
この神と人との間のものは、後に鬼や天狗と考えられるようになり、そうした媒介人によって正月にお迎えする歳神様(歳徳神)、さらに古くは祖先神が里に降りてこられると口承されてきました。
山の神にお仕えする神人(山人)は、暮と初春に里へ降り、土地を祝福して歩き、山から土産ものを持ってきて里と交易したといいます。
山人が持ってきた土産に、寄生木ホヨ、羊歯の葉、削りかけ、削り花などがあり、それは山人の祓いをうけたしるしとして、正月の飾り物となりました。
山人の祝福は、その年の農作物の実りを約束して行くことに意義があったといいます。
依り代となる植物は神霊が宿るためのいれもの、という発想は、日本らしい自然崇拝の念から生み出されたように思います。
門松につかわれる竹もそうですし、なかが空洞の植物ほどのりこみやすいという理もあるのではないかと。
松をはじめとする針葉樹は、広葉樹にくらべると細胞が少なく、心材の構造もシンプルで隙間があるといいます。
茎や心材に空洞をもつ植物たちは皆うつほ舟で、「たま」を迎えいれる胞衣としてのお役目を担っているのかもしれません。
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