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ヤバすぎ呪物“コトリバコ”で町を守る過激派と巻き込まれただけの陽キャ大学生たち「ことりばこ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(627日目)

「ことりばこ」(2011)
福田陽平監督

◆あらすじ
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サークル仲間ととある田舎町を訪れた玲奈はペンションの管理人である戸塚からの忠告を無視して、皆で神社で肝試しをしてしまう。特に何も起こらず、ペンションに戻る一同だったが、剛のカバンにはなぜか大きな木製の箱が入っていた。そしてその箱が玲奈たちに災いをもたらすとはまだこの時は誰も知る由はなかった。
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2005年頃から話題となったいわゆるインターネット発の都市伝説や怪談として有名なコトリバコを題材にしたジャパニーズホラーで、中盤からはヒトコワの要素も入ってきて中々に見応えがありました。

コトリバコについてざっくりまとめておくと

コトリバコ(子取り箱)とは、寄木細工のような見た目の一辺20cmほどの木製の箱で、下記のような手順で「女性や子供を殺す呪い」を込めた呪物であるとされる。

jukaimura-movie.jpより引用

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①寄せ木細工等の見た目のよいカラクリ箱の中に、動物の雌の血を入れて満たす

②間引いた子供の死体の一部を入れる

③決して開けられないよう厳重な封をする

④殺したい人物に渡し、もっともらしい理由をつけて身近に置かせる

⑤呪われた者は血を吐き、苦しみ悶えながら死ぬ

この呪いは「呪う対象の一族を根絶やしにする」事を目的としているらしく、呪いを受けるのは「幼い子供」と「子供を産むことができる女性」に限られる。ある程度以上の年齢の男性と、高齢で閉経している女性には効果が無い。

しかし、効果がある人物が呪いを受けると、内臓が少しずつ捻じれて千切れて、血反吐を吐いて死んでいくという。

なお、何人の子供を使用するかによって呪いの強さが大きく変化するらしく、一人から順に「イッポウ」「ニホウ」「サンポウ」「シホウ」「ゴホウ」「ロッポウ」「チッポウ(シッポウ)」「ハッカイ」という順番で名前が変わっていき、呪いも強力になっていく。特に「ハッカイ」は非常に危険な代物であり、呪う側も命を落とす危険がある。呪詛を伝えた人物が二度と作ってはならないと念を押した上で渡したとされる。(ピクシブ百科事典より引用)
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この設定をベースにして、

•『皆で集まって遊んでいた時に神社の蔵で箱を見つけ、その箱がコトリバコであることを知っていた神社の息子が電話で父親に指示を貰いながら呪いを封じ込める』

•『とある山奥の村でコトリバコが発見され、呪いの効力を弱めるために村人全員で箱を回し持つ』

のような怪談話になったりしています。コトリバコの話を聞くだけで体調を崩したり、気分が悪くなる人もいる等どこまで本当かは定かではありませんが、色々といわくつきのエピソードを耳にします。

先述した設定が微妙に変わることもあり、今作では間引いた子供ではなく女性の子宮を箱に入れ、その数が多ければ多いほど呪いが強くなるということになっています。

ちなみに、監督•脚本を務めた福田陽平氏の作品はこの企画でも何度もお世話になっており、「こっくりさん 本当にあった怖い話」(’07)、「学校裏サイト」(’09)、「ビンゴ」(’12)、「デスフォレスト 恐怖の森5」(’16)等も見させてもらってます。

現在配信などはないようです。私は浜田山のTSUTAYAにてレンタルさせていただきました。

Amazon.co.jpより引用

『同じサークルに所属する大学生男女5人が田舎町を訪れる。しかし、その町には恐ろしい秘密が隠されていた』

という王道の大筋です。

60分とかなり短い作品なので、彼らがどんなサークルに所属しているのか、グループ内のパワーバランス、各々のバックボーンなどはまったく描かれていません。なもんで、主人公の玲奈が先輩のシンタロウに片思いしているとか、誰と誰が付き合ってるとかそういった表面上の関係性しか分かりませんでした。

序盤は会話シーンが多いものの、会話の中身が伴っておらず、何の情報にもならないセリフのやりとりであることが多く、テンポもあまり良くないのでもっちゃりしている印象です。またお世辞にも演技が上手いとは言えず、恐怖を感じている芝居の時も呼吸が荒くなるだけで過呼吸のようになっていました。

中盤でコトリバコが登場してからは友人たちが一人また一人と呪い殺されたり、玲奈たちが神社に立ち入ったことを知ったペンションの管理人•戸塚が豹変し、剛を殴り倒したり、猟銃でシンタロウを射殺するなど中々に目まぐるしい展開で面白く、それだけにスロースタートな前半部分が悔やまれます。

moviewalker.jpより引用

ネタバレになってしまいますが、玲奈たちが訪れた町は過疎化などの影響もあるのか、ゴミ処理場の建設で潰されそうになっていました。ですが神社にはコトリバコが祀ってあるため、そう安々と町を売るわけにはいかず、お偉いさん方は頭を悩ませていました。そんな折に玲奈たちがコトリバコの呪いを発動させてしまったため、いっそのこと「コトリバコに死亡した玲奈の友人(ヨウコとマユカ)らの子宮も入れて、呪いを強くした状態で処理場建設の関係者らに箱を送りつけよう」と画策して、町ぐるみで凶行に及ぶのでした。

戸塚の提案したこの作戦↑がよっぽど良かったのか、それを聞いた町のお偉いさんたちがみんなで盆踊りのようによいよい舞うシーンは非常にシュールで良かったです。

主人公の玲奈は先天性の病によって子供を産むことができないため、『子供を産むことができる女性』というコトリバコの呪いの条件には当たらないため、生き残りました。ですが町の人達はそんなことは知らないので、呪いを強くするために玲奈の子宮も必要だったので射殺しました。

kyofu.takeshobo.co.jpより引用

冒頭で2分以上使ってコトリバコについてしっかりと説明した割にはコトリバコの要素が薄めで、本編に上手いこと絡まっていないように思いました。コトリバコの呪いで死んだのはヨウコとマユカの二人で、町の人達によって射殺されたのは玲奈、シンタロウ、剛の三人で実質人間による殺人の方が多いです。

箱からドロドロとした黒い液体がとめどなく溢れたり、その液体にまみれた女が現れたりする演出は非常に良かったのでこれに関しても少々勿体ないなと思いました。

コトリバコだけにテーマを絞って、そこにアクセント程度にヒトコワが入ったバージョンも見てみたかったです。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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