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まるで子供が考えたかのようなご都合主義すぎるサメ映画!良い子はスウェットで宇宙に行っちゃだめ!「ムーンシャーク」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(605日目)

「ムーンシャーク」(2022)
グレン・キャンベル監督
タミー•クレイン監督

◆あらすじ
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1984年。ソビエトは、冷戦の対米兵器として鮫を兵士に改良した「ハイブリッドシャーク」を開発する。しかし、研究施設の鮫兵士が暴走し、セルゲイ博士は鮫兵士を道連れにロケットで月へと向かう。そして、地球の平和は守られたかに思えた―。それから40年後の現代。トレス船長率いる宇宙飛行士たちを乗せたNASAの宇宙船が、月に向かう途中で航路を何かに妨害され、月の裏側へと不時着する。地球との通信は遮断され、トレスたちはなんとか帰還するために月面を探索する。その時、地中から現れた未知なる生物がトレスたちを襲う。それは、人間と鮫が融合した想像を絶する姿をしていた―。(albatros-film.comより引用)
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最近アマゾンプライムでも配信が開始されたサメ映画で、前々からジャケ写のそのB級具合に惹かれており気になっていました。

サメ映画は基本的に低予算であることが多く、そのチープさや酷さ具合を如何に楽しめるかが私の中ではポイントになってきます。そして今作もその例に漏れず低予算の部類に入るにも関わらず宇宙を舞台にしたSF作品に仕上げており、観る前からかなりワクワクしていました。

現在アマゾンプライム、U-NEXT、hulu、WOWOWにて配信中です。

例のジャケ写
これはB級映画好きとしては堪りません。
(albatros-film.comより引用)

◇1984年、ソビエトの極秘研究所にて冷戦の体米兵器として生み出された『人間とサメをかけ合わせた生物兵器“ハイブリッドシャーク”』が集団脱走。生みの親であるセルゲイ博士は自分を囮にサメたちをロケットへとおびき寄せてそのまま月へと飛び立った…

という導入はスピード感もあり、なんのこっちゃ分からないまま凶暴なサメ人間が突如として暴れ出し、その後は『セルゲイ博士が自分ごとサメと一緒に月へと飛び立つ』というパワープレイで事態を収束させるという展開でかなり面白かったですし、低予算ながらハイブリッドシャークのCGのクオリティも悪くありませんでした。

ハンマーヘッドシャークやノコギリザメ、他種よりふた周りほど大きい狂人タイプ、シンプルなサメ型のサメだったりとバラエティに富んでいました。(square.unext.jpより引用)

◇そして時は移り40年後。トレス船長率いるNASAのチームが宇宙船で月に向かう道中で何かしらのトラブルで航路を妨害され、その後なんとか月に不時着するも地球との通信は途絶えてしまう。事態を好転させるために月面を調査するトレス一行は突然、地中を泳ぐサメのような怪物に襲われてしまう。

という本題に入っていくわけなんですけども、このあたりから何やらストーリーや映像のクオリティ諸々がきな臭くなっていきます。

トレスたちが月に行く理由とかは何でもいいんですけど、このあたりの船内での会話が長ったらしいうえにその後の展開に掛かってくることもなく、せっかくの疾走感がある冒頭の勢いが失われました。正直、このあとは終始もったりしていてあまりハマらず、個人的には冒頭がピークでした。

あと、いわゆるSF映画ってがっつり宇宙服みたいなのを着て船内を浮遊して移動するのが結構ベタというか抑えておくべきポイントだと思うんですけど、今作は低予算でおそらくあまり衣装にお金をかけたくなかったのか、船員たちは近所のコンビニに行くかの如く黒のスウェットのような服を着て月に向かいます。

例の黒スウェット(banger.jpより引用)

一応、月に不時着して月面に降り立つ時は宇宙服的なものを着用していますが、クオリティはそこまで高くないですし、せめて船内でもそれ着てろよと言いたくなります。ちなみにこの月面に降り立ってからは当然ですが背景の宇宙が思いっきり合成なので違和感が凄いです。

宇宙服はこんな感じです。(banger.jpより引用)

月で生き延びていたハイブリッドシャークに襲われた一行でしたが、これまたなぜか生きていたセルゲイ博士と謎の少女アクーラによって救われ、窮地を脱します。セルゲイ博士もアクーラも青っぽいスウェットを着ているだけで、もはや無重力や無酸素といった宇宙定番の要素が失われていきます。

実はセルゲイ博士は、体温も電磁波も遮断して極寒でも生き延びることができ、さらには頭巾から出ているチューブを鼻に挿して酸素を吸入すれば素顔を晒しても大丈夫という非常に映画向きのスーパーハイテク宇宙服を発明していました。なのでこれ以降はトレス一行も基本的には宇宙ですが素顔をさらしています。

非常に便利なハイテク宇宙服です。(banger.jpより引用)

ちなみにアクーラは人間の遺伝子を持って産まれた突然変異種のハイブリッドシャークであるため、宇宙服(スウェット)を着ていなくても呼吸が可能です。ですがサメとしての要素は小さい背びれとエラくらいのものでほぼ人間ですし、実はハイブリッドシャークのボスであるツァリナと血縁関係にあることも発覚しますが、この要素もあまり活かせていなかったです。

このあとは人質に取られた仲間を救うべくハイブリッドシャークのアジトに乗り込んだり、逆にハイブリッドシャークは月から脱出して地球を支配することを目論んでいるためトレスたちの宇宙船を奪い、卵(ハイブリッドシャークは卵で繁殖します)を大量に積んで地球に行こうとするのでそれを阻止しようとしたりと一応バトル多めで展開していきます。

バトルシーンは多いものの、如何せん宇宙なので動きがめちゃくちゃ遅いです。走る時も武器を振り回す時もスローなので迫力は皆無です。「セルゲイ博士が発明したスーツを着たら宇宙でも地上と同じスピードで動ける」みたいな要素をなぜ足さなかったのでしょうか。

めっちゃスローな戦闘シーン
なぜもっとギャグに振り切らなかったのでしょうか。
(sneakpeek.caより引用)

ちなみに普通の武器はハイブリッドシャークに通用しないため、これまたセルゲイ博士お手製のムーンストーンで作った槍で戦います。しかし物語後半で、そういった事情を知らない船員たちが宇宙船に乗り込んできたサメに対してスパナやそこら辺の棒っきれで対抗し、普通に倒していました。きっとムーンストーンで作られたスパナだったのでしょう。

これはちゃんとしたムーンストーン製の槍
(movieplus.jpより引用)

まるで子供が考えたかのような宇宙服に関しても、ご都合主義なアイテムや展開もバカらしくて個人的にはめちゃくちゃ好きなんですけど、なぜか作り手側がそういったチープな部分に対して開き直らずに、なんなら「真面目にサメSFアクション映画撮りましたよ」みたいなスカした感じでいるのが見て取れてしまいなんだか萎えちゃいました。

右のサメがリーダーのツァリナです。
(sneakpeek.caより引用)

もっと開き直って、「低予算だけど『サメ×SF×アクション』の大スペクタクルな映画撮ったぜ!楽しんでくれよな!!」みたいな感じなら笑えると思うんですけど、真面目にやってますよ感を出されると、それはそれでただただ手抜きだなとしか思えないので少々残念でした。オチもよくわからず、どういう風に着地したかったのかも伝わってきませんでした。

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