いよいよナマケモノが人を殺す時代になりました。「キラー•ナマケモノ」現在上映中【ホラー映画を毎日観るナレーター】(510日目)
「キラー•ナマケモノ」(2024)
マシュー•グッドヒュー監督
◆あらすじ
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パナマのジャングルで捕獲されたナマケモノがアメリカに密輸入された。地味な学生生活に焦りを感じていた女子大生エミリーは怪しげなペット業者に勧められ、SNSで人気を獲得するべくナマケモノを飼うことに。ペット業者を人知れず惨殺したナマケモノはエミリーに連れられ、大学の女子寮へやって来る。女子大生たちはナマケモノの愛くるしい姿に夢中になり、たちまち人気者となったナマケモノは「アルファ」と名付けられて寮のマスコット的存在となる。おりしも寮は会長選挙戦の最中で、人気と権力のシンボルであるティアラをめぐって女子大生たちがバトルを繰り広げるなか、ナマケモノは鋭いカギ爪で1人また1人と彼女たちを血祭りにあげていく。(映画.comより引用)
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公式サイト↓
前々から非常に楽しみにしていた作品です!
『ナマケモノが人を殺す』
という大筋だけで堪らないですし、ナマケモノが人間を襲うところを想像するだけでワクワクします。
監督であるマシュー•グッドヒュー氏にとって今作は「Woe」(2020)以来の2本目の長編映画となります。
見所はもちろん殺人ナマケモノのアルファです!
元々はパナマのジャングルで平和に暮らしていたものの、密猟者によって捕獲され、アメリカに密輸されました。
イケてない学生生活に焦りを感じていた大学生のエミリーは密猟者からの「SNSで人気者になれるよ!バズるぞ!」という誘惑にまんまと引っ掛かり、アルファを飼うことになりました。
その可愛らしい見た目で一躍人気者になったアルファとエミリーはSNSのフォロワーもうなぎ登りで、女子寮の次期寮長候補の筆頭となります。
元々アルファは異常なまでの強さと凶暴さを兼ね備えており、薬によってそれらは抑えられていました。
しかし、あまりに賢いアルファはパソコンからエミリーのSNSを閲覧。そこで自分を捕獲した密猟者とエミリーに繋がりがあることを知ってしまいます。
薬を飲むことを拒否し、修羅と化したアルファは女子寮の生徒を次々と殺戮していきます。
CG等には頼らず、アニマトロニクスのパペットによって動かされています。そのため見た目も本物に近くて可愛らしいですし、表情が豊か過ぎないのが逆にリアルに感じました。しかし、飛びかかるシーンなど激しい動きをする際はパペット感が顕著に現れます。
そのあたりが冷めたとい意見も見受けられましたが、個人的には「グレムリン」(’84)や「チャイルド・プレイ」(’88)を彷彿とさせる懐かしい動きだったので私はすごく良いなと思いました。
動きが滑らか過ぎるとそれはそれでナマケモノっぽくないし、変に色々出来ちゃいそうなので、少々制限がある人形の方が面白いと思います。
人を襲うシーンは正直あまり派手さが無く、どう殺しているのかが分かりにくかったです。伸びた爪で首を刎ねたり、その怪力で骨を折ったりする等の規格外の殺し方を期待していたため少々肩透かしをくらいました。
棒で殴るとか毒を盛るとかもトリッキーで面白いっちゃ面白いんですけど、アルファがどれくらい強いのかが伝わって来ず、もっと豪快に殺って欲しかったなとも思いました。
そして!
個人的に少々気になったのがアルファの行動理由です。
自分を攫った密猟者を殺害するのもわかりますし、誤解ではあるものの密猟者の仲間だと思ったエミリーの命を狙うのも分かります。
しかし
それならなぜエミリーをすぐに襲わなかったのでしょうか。
密猟者との関係を知った後も共に行動するし、なんなら仲も良さそうです。狙うのはエミリーのライバルであるブリアナの取り巻きばかりで“無作為に襲ってる”というわけでもないです。
『ストーリーの進行上、この順番で襲ってます』
というのが透けて見えてしまいました。
更に、親友のマディソンから説得されたエミリーは、アルファをジャングルに戻そうとしています。故郷に帰りたいという思いからから凶行を繰り返すアルファが、それを実行しようとしているエミリーを狙うのは矛盾しているように思います。
あと、物語の軸となる“女子寮の寮長選挙”の設定が日本だと馴染みがないからなのか分かりにくかったです。
一大イベントみたいになっていますが、そもそも
“寮長になることがどれほど凄いことなのか”、“なぜなりたいのか”などがあまり細かく描かれていないため内容が入ってきませんでした。
投票する際もめちゃくちゃドラマチックにやっていますが中途半端に現実離れしており、このあたりがあまり好みではなかったです。
ベースとしてはコメディで展開していくため、怖さはほとんどないです。しかしキャラクターに依存せず、“SNSのフォロワー数でパワーバランスが変化していくという今風のテイスト”や“女子寮の権力争い”等、それ以外の部分もしっかりしています。
要所要所で少々シリアスな展開を入れたり、逆に悲しいシーンを笑いに変えたりとしっかり基本を抑えている脚本だなという印象の作品でした。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
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