洲屋

展示・映画・音楽・本の感想やTwitterツリーのログなど

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最近の記事

迷子になって途方に暮れて失くしてきたもののことを思った。『君たちはどう生きるか』まとまらない感想

2023年7月15日、見た。 感想には自分はいくつか段階があって、文字にならない冷静でない感傷的な思いを抱いた映画は、その痛みを忘れてしまいたくないと思うので、冷静でない状態で必死にメモをする。 この覚書はそういう感想で、感性的な雑文の保存である。 鑑賞 覚書物心つくかつかないかの幼少期にもののけ姫ラピュタナウシカトトロで強烈なジブリ原体験をして、自我が萌芽する児童期に千と千尋で「神隠し」を疑似体験した。児童文学ファンタジーに没頭しきった頃に自分が読んだ原作からは全く想像も

    • ゴヤの名画と優しい泥棒(原題: The Duke) 雑多感想ツイートまとめ 220316

      記録用 引用形式のものは自分のTwitterから それ以外はあちこちにメモしたもの レビューを見たら、人と繋がることを信念としているケンプトンが目指すものが「年金老人のテレビ(BBCの通信料)無料」なのが違和感…と言っている人もいた。この辺りは当時のイギリス社会の老人たちの背景や、イギリス階級社会の構造を知っていないと確かにそうなるかもなあ・・・とは思いつつ。 当時のイギリスでは、「テレビを見る」という行為は、退役軍人や定年退職した老人たちにとって「世界とつながる実感を得

      • アナザーラウンド(原題: DRUK) 雑多感想ツイートまとめ 211010

        記録用 引用形式のものは自分のTwitterから それ以外はあちこちにメモしたもの 掘り返せなくなったツイートと感想メモがどこかにあるはず(泣)見つけたら追記する。 またこういう映画を見たいな。 終わり

        • 220125 日記 [録音ファイル_150220]

          足元がふわふわと浮足立って落ち着かなくて、それなのに気持ちは沈んでいく。耳の奥がぎゅっと詰まるような感じがして、それなのに頭の中ではぶんぶんと無数の機械が唸っている。理由もなく憂鬱な日。 そういう日に必ず聞く録音ファイルがある。 人生で出会った中で一番歌が上手いと思った人は、大学の先輩だった。 それはプロの歌手でもなく、ただ教会や時折サークルで歌う、普通に一般人の先輩。それでも彼女はまぎれもなく、人生でもう二度とは出会わないであろう「いちばん」だった。歌が上手いと言うの

        迷子になって途方に暮れて失くしてきたもののことを思った。『君たちはどう生きるか』まとまらない感想

        • ゴヤの名画と優しい泥棒(原題: The Duke) 雑多感想ツイートまとめ 220316

        • アナザーラウンド(原題: DRUK) 雑多感想ツイートまとめ 211010

        • 220125 日記 [録音ファイル_150220]

          200609 日記

          2020年6月9日、のちに合わせ鏡みたいな存在になる、魂の温度が近しいと感じる友人に出会った日。 その日は散々な日だった。じわっと内側から火照るように熱くて、からだがベタベタした。文字通り不快指数とやらが高くてうんざりの日だった。 でも、今日は楽しみにしていた日だった。勢いで決めた日取り。 友人に会う。 そしてその友人は、まだ顔を一度も見たことがない。 ***** インターネットで知り合ったその子は、年齢不詳な響きの妖艶な声と、魅力的な話し方と、とんでもなく豊富な創作

          200609 日記

          フレンチディスパッチ ザ・リバティ、カンザスイブニングサン 別冊 雑多感想ツイートまとめ

          記録用 引用形式のものは自分のTwitterから それ以外はあちこちにメモしたもの ウェスアンダーソンの不器用な人間の描き方と画面に溢れる偏愛が好きなので、ダージリン急行以来、当時DVDを借りたり映画館で観れたりしたものはほとんど見た。フレンチディスパッチ(以下略)別冊は、その中でも一二を争うくらい好きだったかもしれない。 字幕に違和感があるというか、英語リスニングの補完ありきでしか意味を為さない部分があったのがかなり気になった。日本語字幕の文面だけだと違う意味に捉えられ

          フレンチディスパッチ ザ・リバティ、カンザスイブニングサン 別冊 雑多感想ツイートまとめ

          210909 記録

          コロナのワクチンを打った。ようやく1回目だった。 住む市は20代の若者に予約枠が回ってくるのが遅く、ようやく予約できた枠だった。都内の友達はもう8月に2回目まで済ませている人が多い。シンプルに羨ましかった。 いろんな人のいろんな事情がある。打ちたい人も打ちたくない人も、たまたま打てた人も、打てない人もいる。SNSに溢れかえる副反応のレポに他意がないことなんて、十分わかっている。誰かの話をしているわけではないし、誰のことも責めていない。 わかってはいても、羨む気持ちは止められ

          210909 記録

          【金ロ散文】久しぶりにボヘミアン・ラプソディを見た(2021/6/4)

          映画Bohemian Rhapsodyはフレディの物語じゃなくて、ブライアン・メイとロジャー・ディーコンの物語なんじゃないかと思う ▽散文の感想▽ ・Queenは、ロックに最もズブズブハマっていった中学のときに出会った。それから狂ったようにいろんなことを後追いして知ってしまったから映画Bohemian Rhapsodyを見てもQueenって最高!!!家族のバンド!!!愛!!!て一概にはならないんだけど(語弊あるけど色々あったもんねって知っちゃったということ、好きなバンドだ

          【金ロ散文】久しぶりにボヘミアン・ラプソディを見た(2021/6/4)

          映画「パラサイト」初見当時の雑書(2020/2/11)

          パラサイトはある種予想通りの終わり方をしたからこそ評価されたのだと思う パラサイトは、中盤豪邸の地下に人が住んでいたという予想外のことが起こるものの、終わり方(というか物語の終息の仕方)は予想の範疇を出ないものだったように思う。ラストに衝撃のワンシーンが待ち構えているわけでも、最後にどんでん返しがあるわけでもなく、するすると世の摂理に従って物語は終わりに向かい、破滅し、幕を閉じる。 それが社会派映画としてのリアリティを創出していて、私はよかったと思った。救われない。半地下の

          映画「パラサイト」初見当時の雑書(2020/2/11)

          A Little Space by PENTATONIX feat. ATEEZ 歌詞意訳(超訳)

          A Little Place by Pentatonix feat. ATEEZ、歌詞を読んでみたらあまりに苦しかったので意訳しました。例によって解釈しながら言葉をかなり置き換えているので超訳です。(あとパート割はここからお借りしました。) 冒頭部の韓国語歌詞(by EDEN)は、韓国語に知見のある友人にお願いしました。Special Thanks!! なりゆちゃん(https://note.com/nari_u) [Verse 1: Yunho] 파도가 치듯 밀려왔지

          A Little Space by PENTATONIX feat. ATEEZ 歌詞意訳(超訳)

          『眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』感想覚書

          東京国立近代美術館で開催された『眠り展』に行ってきました。 コンセプト展示を観るのが久しぶりだったのでめちゃくちゃ勉強になった~!というわけで感想覚書を綴る。メモなのですごく雑。 全体の感想タイトルに眠りの概念が含まれている作品展示にとどまらず、キュレーターが「眠り」について深く掘り下げ独自の理解と解釈を得た上で展示を組み立てていたのが印象的。 多岐にわたる時代、絵画にとどまらない作品群を一つの展示としてまとめ上げる手腕がすごいと思った。 各章の冒頭に象徴的に飾られるゴ

          『眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』感想覚書

          ホモ・サピエンスの涙 鑑賞感想 -終わりの無さ/無限について-

          『ホモ・サピエンスの涙』(原題直訳: 終わりの無さについて)観た。 ずっと映画館で観てみたかったロイ・アンダーソン監督の「動く絵画」とも名高い映画。淡々と連綿と各々の日常が連続的に続くところに、私がこれまで持っていた「永遠」の概念とは全く異なる「永遠(終わりのなさ)」を見た。 印象に残ったシーン覚え書き(順不同)バーのシーン。 雪が降る外を眺めながら突然男が問う。「素晴らしいよな?」 別の男が答える。「何が?」 男は讃歌する。「すべてだよ。すべてだ。すべて素晴らしい。」「

          ホモ・サピエンスの涙 鑑賞感想 -終わりの無さ/無限について-

          あなたの思い出の絵本・児童文学お題箱①

          軽い気持ちでTwitterで募集した、「小さい頃に好きだった絵本・児童文学お題箱」が想定の5億倍来てしまったので、noteにもアーカイブとしてまとめることにしました。 絵本/児童文学の分類はふんわりです。書店バイト時代の店の棚分けを思い出しながらなんとなく分類しました。 そしてとってもとっても長くなりました。あまりに膨大でなんと総勢90作品になってしまったので(!)、3記事に分けることに・・・。前編はまず「思い出の絵本〜日本人作家編〜」をお送りします。 送ってくださった

          あなたの思い出の絵本・児童文学お題箱①

          湧き出る泉を求めて ー積読ー

          本を貪るように読む。 そういう時期がある。 読書好きを自認しているものの、毎日毎日本を読み漁っているわけではなく、目が滑ってしまって全く本が読めないこともざらだ。無数の言葉がその意味から逸脱し、文字たちがポットの中の茶葉のように膨らみ、舞う。言葉の奥にあるその本の「世界」をうまく捕らえられずに迷子になってしまう。 そうやって、ずっと読まない時期が続いて、その時期は読んでも読んでも目が滑って、頭の中に言葉が入ってくれない。 活字への渇望―読みたい気持ちは常に、そして無限に

          湧き出る泉を求めて ー積読ー

          ひとりの大人としての祖父を初めて見たとき

          わたしは今、実家を離れて暮らしている。大学から親元を離れ、ひとり東京に出てきて、こっちで就職もした。 最初に実家から連絡があったのは、わたしがゴールデンウィークの帰省を終えてすぐのことだった。 ゴールデンウィークに会いに行った祖父は、元気そうに笑っていたものの足に力が入らないと言って、なんだかフラフラしていた。 初任給で買った写真立てをプレゼントしたら、すごく喜んでくれて、仕事のことをあれこれと話した。祖父は、仕事に情熱をささげた人間で、現役当時は本当に厳しくて怖かったらし

          ひとりの大人としての祖父を初めて見たとき

          平成最後の夏に寄せて

          平成最後の夏は、忘れられない夏になった。 平成30年7月6日、祖父が亡くなった。 梅雨が明ける、ほんの少し前に、まだ夏が来る前に。 まだ、ふとした瞬間に悲しみが飛沫を立てて押し寄せてくる。 今もこうして文章を書きながら、じわじわ熱くなる目を抑えている。 だけれども、祖父のことは、そして祖父の死とこの悲しみは、忘れたくないと思う。 悲しみを手放さないことは、苦しくて苦しくて、痛みさえも伴うけれど、痛みごと抱えて生きていきたい。 わたしの人生は祖父にもらったようなものだ。

          平成最後の夏に寄せて