映画「パラサイト」初見当時の雑書(2020/2/11)

パラサイトはある種予想通りの終わり方をしたからこそ評価されたのだと思う

パラサイトは、中盤豪邸の地下に人が住んでいたという予想外のことが起こるものの、終わり方(というか物語の終息の仕方)は予想の範疇を出ないものだったように思う。ラストに衝撃のワンシーンが待ち構えているわけでも、最後にどんでん返しがあるわけでもなく、するすると世の摂理に従って物語は終わりに向かい、破滅し、幕を閉じる。
それが社会派映画としてのリアリティを創出していて、私はよかったと思った。救われない。半地下の家族は半地下で生きていく。


ギウからギテクへの手紙は届かない。だって地下から電灯でモールス信号を、いつか見るであろうという不確かさのまま毎晩送り続けるギテクは、ギウからの返事の手紙(モールス信号)を受け取れるはずがないのだ。
ギテクは地下で生きていく。
誰にも知られずに誰かに寄生して。

ギウが豪邸を買い取れるほど稼ぐなんて、韓国社会の構造からしてそれこそフィクションのようなことが起きない限り、あり得ない。現実は厳しい。
ギウとチェウシクは半地下で生きていく。
もしかしたら、ギテクが自分たちよりも下層の「地下」で生きていることが、ギウたちにとっては近い未来で(一種歪んだ)心の支えになるのかもしれない。


簡単に誰かが救われて誰かが幸せになれるようなそんな世の中ではないのだと。映画だからこそできるフィクションを猟奇的で悲劇的な展開に割き、エンターテイメントとして映画作品に昇華しつつも、現実的なテンションで締めくくった点に好感を抱いた。

まだ1度しか見ていないので支離滅裂だが初見の感想として記録。

(2020/2/11ふせったーより)

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