200609 日記

2020年6月9日、のちに合わせ鏡みたいな存在になる、魂の温度が近しいと感じる友人に出会った日。


その日は散々な日だった。じわっと内側から火照るように熱くて、からだがベタベタした。文字通り不快指数とやらが高くてうんざりの日だった。

でも、今日は楽しみにしていた日だった。勢いで決めた日取り。
友人に会う。
そしてその友人は、まだ顔を一度も見たことがない。


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インターネットで知り合ったその子は、年齢不詳な響きの妖艶な声と、魅力的な話し方と、とんでもなく豊富な創作語彙の持ち主だった。

きっかけはあんまり思い出せないけれど、話せば話すほど楽しくて、面白くて、蔓延するウイルスによって部屋に閉じ込められた日々の中でこんなに笑うことってないってくらい、声を出して笑っていた気がする。


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人見知りが先行して、初対面はいつだって少し体がこわばるから、初めての人に会うのにこんなに軽快な足取りだったことなんて今までにない。

不思議とワクワクした。ずっと閉じこもっていて、久しぶりの外食だったからというのもあるかも。
それでスキップするように体が踊って、そして。


サンダルが壊れた。

母からもらったちょっと高いやつ。待ち合わせに遅れてるのに走れないじゃないか。困ったな。ちょっと泣きそう。

スマホに向かって平謝りしながら、できるだけ早く歩く。サンダルの部品がぶらぶらして、けっこう本当に心が折れそうだった。
「これ脱いで裸足の方が早く歩けるんじゃ・・・?」と血迷ったけれど、靴下すら履いてなかったから思いとどまる。

さっきまでの高揚感が嘘みたいにしぼんで、ようやく待ち合わせの店に着いた。

いまさら緊張が襲ってくる。なんだよ、緊張。さっきまでお前どこにもいなかったじゃないか。来るな、緊張。こわばってる場合じゃなく、話してみたかったことがたくさんたくさんあるのに。


「初めまして、そして遅れてごめんね」
そう言う前に「ねえ、大丈夫~?!」と先手を切られた。初対面の相手が遅刻してきてまず心配するなんて、なんて優しんだろう…。

申し訳なさでまごまごしていたら、壊れたサンダルを見てその子が目を丸くした後、「本当に壊れてる!!!」と大きく笑って、そしてわたしもなんだってよくなった。

人好きのする豪快な笑顔だった。

そうして彼女と出会った。散々な日を全部帳消しにするくらい笑って、その日はなんだか「世界一最強!」みたいな気持ちで帰路についた。

いつもありがと!

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