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風刺画から見る中東情勢

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2019年9月の記事一覧

ハーショクジー殺害の真相 風刺画から見る中東情勢#20

ハーショクジー殺害の真相 風刺画から見る中東情勢#20

サウジのジャーナリスト、ジャマール・ハーショクジー(ハーショグジー)が殺害されてから約一年が経過しました。

最近になって、サウジ皇太子のムハンマド・ビン・サルマーンがその殺害の責任は自分にあると認めました。

自分の在任中に起きた事件であるから、自分に責任がある。しかし、その殺害計画は知らなかった。なぜなら自分には300万人の政府職員が仕えているから(一人一人の行動を把握しきれない)という主張で

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ピストルの使い方(カタールとエジプト) 風刺画から見る中東情勢#19

ピストルの使い方(カタールとエジプト) 風刺画から見る中東情勢#19

昨日2019年9月27日に、カタールのドーハでは世界陸上が始まりました。日中は40度を超える猛暑のためマラソンは深夜に開催されるようです。

一方、エジプトでは先週の金曜日と同じく、モハメド・アリーによるデモの呼びかけに応じて、民衆によるデモが起こったようです。

ツイッターでは「#終わりの金曜日」というハッシュタグが使用され、シーシー政権を終わらせるためのデモを27日金曜日行おうと呼びかけがなさ

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シリア、新憲法作成 風刺画から見る中東情勢#18

シリア、新憲法作成 風刺画から見る中東情勢#18

2019年9月16日、ロシア、イラン、トルコがシリア内戦をめぐり会談。シリアの新憲法起草委員会設立を検討。
(参考:日経新聞 2019/9/17 )

2019年9月23日、国連は、シリア政府と反体制派が参加する憲法起草委員会の発足を発表。
(参考:AFP通信 2019/9/24 )

という上記の流れから、今回の風刺画がこちら。

(出典:al-Araby al-Jadeed 2019/9/26

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ヨルダン、教員のストライキ 風刺画から見る中東情勢 #17

ヨルダン、教員のストライキ 風刺画から見る中東情勢 #17

ヨルダンで学校の先生によるストライキが3週目に突入しました。ニュースの動画を見てみると、学校には先生も生徒もおらず、空席の教室が映し出されています。

(参考:al-Jazeera 2019/9/22)

どうやら、教員組合による賃金値上げ運動が行われているようです。

教員たちはデモ活動を行い、賃金の50%の値上げを求めているようです。

(出典:al-Araby al-Jadeed 2019/

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サウジ「頂上への決意」 風刺画から見る中東情勢 #16

サウジ「頂上への決意」 風刺画から見る中東情勢 #16

2019年9月23日はサウジアラビアの建国記念日。今年は89周年でした。

(出典:Sahifah al-Makka 2019/9/23)

上の風刺画はサウジのメッカ新聞のサイトに載せられたものです。サウジの国章にもなっているナツメヤシの木、そしてその木に実っているのはサウジ建国89年の歴史です。

これは風刺画? なんの皮肉になっているの?と思うでしょうが、おそらくなにかを風刺している訳ではな

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エジプト、アラブの春再来か? 風刺画から見る中東情勢#15

エジプト、アラブの春再来か? 風刺画から見る中東情勢#15

2019年9月20日に、エジプトでシーシー政権に対するデモが行われました。

今回のデモのきっかけは、エジプトの有名な俳優であるモハメド・アリーが動画をフェイスブックにアップし、シーシー政権の不正を訴え、人々にデモを呼びかけたことです。

彼の訴えに対して、シーシーは不正を否定しました。

(出典: Araby 21 2019/9/19 )

この風刺画は、エジプト国民がスマホでモハメド・アリーの

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風刺画から見る中東情勢 #14

風刺画から見る中東情勢 #14

中東の表現の自由について。

今回の風刺画は2017年5月に描かれたものです。わざわざ2年以上前の古い風刺画を持ってきたのには意味があります。タイトルは『記者マフムード・フセインの逮捕の連続!!』です。

(参照:al-Jazeera 2017/5/4 )

カタールの報道局アルジャジーラの記者マフムード・フセインが、「ジャーナリズムの自由」というプラカードを持ったエジプト大統領シーシーによって口

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風刺画から見る中東情勢 #13

風刺画から見る中東情勢 #13

サウジアラビアの石油施設への攻撃に関する様々な情報が出てきています。例えば、ミサイルはイラン製のものであったということや、攻撃は北西側からであったためイエメンのフーシー派ではなくイランやイラクからの攻撃の可能性があるということなど、様々な憶測/推測がなされています。

しかし、未だ事実は明らかになってはおらず、誰が行ったのかはわかりません。

いろんなメディアの風刺画を見てみると、フーシー派の攻撃

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風刺画から見る中東情勢 #11

風刺画から見る中東情勢 #11

2019年9月14日にサウジアラビアのアラムコの製油所がドローンによって攻撃されました。

それにより、原油価格は急上昇。次のアルジャジーラの記事では、過去28年間で、石油価格が最も上昇したと述べています。(上昇率20%)

https://www.aljazeera.net/news/ebusiness/2019/9/16/أسعار-النفط-تشتعل

攻撃が誰によるものか?

次のアル

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風刺画から見る中東情勢 #10

風刺画から見る中東情勢 #10

前回、前々回同様に、今回も「風刺地図」についてお話ししようと思います。

地図上で色のついているアラブ諸国の説明は終わりましたので、それ以外の部分の説明を行っていきます。

トルコ:「世俗的カリフ国」
「世俗的(アルマーニー)」という単語と「オスマンの(ウスマーニー)」という単語が、アラビア語的に形/発音が似ています。かつてはカリフ制度をもったオスマン帝国として栄えたトルコですが、今や世俗的な国家

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風刺画から見る中東情勢 #12

風刺画から見る中東情勢 #12

今日、2019年9月17日はイスラエル総選挙の日です。ネタニヤフ首相が続投できるかどうかが決まります。

ネタニヤフは2019年4月の総選挙で勝利を収めましたが、期限内に連立内閣を成立することができなかったため、今年の9月に再選挙が行われることになったのです。

ネタニヤフは選挙を控えた今月10日、自身の続投が決まればヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の一部を、イスラエルに併合すると強硬方針を表明し

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風刺画から見る中東情勢 #9

風刺画から見る中東情勢 #9

前回同様に、風刺画ならぬ「風刺地図」を読み解きます。前回扱えなかったアラビア半島周辺地域を今回は見ていきましょう。

・サウジアラビア:「New Las Vegas」
ラスベガスといえば世界一の歓楽街といったイメージですが、サウジがニュー・ラスベガスとはどういったことを意味しているのでしょうか。サウジの未来都市計画「neom」のことかなとも思いましたが、どうなのでしょう。あるいはサウジがメッカ巡礼

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風刺画から見る中東情勢 #8

風刺画から見る中東情勢 #8

今回取り上げるのは、風刺画と言うよりも風刺地図と言えるかもしれません。alhudood.netと言う風刺情報サイトがあり、そこは雑誌も出版しているのですが、今回取り扱う地図はその雑誌の付録のようです

alhudood.netの設立者の一人であり、また編集者でもあるIsam Uraiqatさんが、アラブ諸国の風刺地図をTwitterにアップしたところ、話題になりました。

『アラブ諸国』と題された

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