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【フニャコ年表付き】80年代「ドラえもん」のフニャコ/フニャコフニャオを探せ⑦

藤子F作品に横断的に姿を見せる、作者の分身「フニャコフニャオ」。主に「マンガ」をテーマとしたエピソードに顔を見せており、いつも締め切りやネタだしに追われている。

今回「フニャコフニャオを探せ」と題して、フニャコ先生が活躍するお話を発掘・解説を行ってきたが、本稿でようやく一区切りとなる。


まずは、現状確認が取れているフニャコフニャオ出演作を一覧にした年表をご覧いただきたい。(タイトルごとに、これまで書いてきた記事のリンクも貼っているので、ご興味あれば一読下さい)

★フニャコフニャオ年表
「パーマン」『わが友「有名人」』
「小学四年生」1967年8月号/大全集4巻/フニャコフニャオ
「21エモン」『超一流 流行まんが家』
「週刊少年サンデー」1968年43号/大全集2巻/フニャコ・フニャオ
「ドラえもん」『まんが家』
「小学三年生」1970年4月号/大全集1巻/フニャ子フニャ雄
「ドラえもん」『あやうし!ライオン仮面』
「小学四年生」1971年6月号/大全集1巻/フニャコフニャ夫
「新オバケのQ太郎」『天才教育』(天才を育てようの巻)
「小学三年生」1971年8月号/大全集2巻/フニャコフニャオ
「バケルくん」『ファイターZ』(アイディアマンになる!のまき)
「小学三年生」1974年7月号/フニャ子フニャ夫
「エスパー魔美」『天才少女・魔美』
「まんがくん」1977年18号/大全集2巻/フニャ子フニャ雄
「T・Pぼん」『暗黒の大迷宮』
「少年ワールド」1979年2月号/大全集1巻/タラ子タラ夫?
「T・Pぼん」『チャク・モールのいけにえ』
「月刊コミックトム」1980年6月号/大全集2巻/タラ子タラ夫
「ドラえもん」『職業テスト腕章』
「小学四年生」1981年4月号/大全集11巻//フニャ子フニャ夫
「ドラえもん」『まんがのつづき』
「てれびくん」1982年5月号/大全集19巻
「ドラえもん」『ほしい人探知機』
「小学五年生」1982年9月号/大全集11巻(表札のみ)
「ドラえもん」『自動買いとり機』
「小学三年生」1983年7月号/大全集14巻(氏名のみ)
「ドラえもん」『未来図書券』
「小学五・六年生」1989年11月号/大全集16巻
★藤子不二雄カメオ出演等(作成中)
「21エモン」『月世界にて』「週刊少年サンデー」1968年34号(旅行中)
「21エモン」『ニセ監察官』「週刊少年サンデー」1968年38号(旅行中)
「ウメ星デンカ」『スイカとギャング』
「小学三年生」1969年9月号(カメオ出演)
『光陰』「S-Fマガジン」1976年7月号/大全集4巻(老後の藤子不二雄)
TVアニメ「どらえもん」『集中力増強シャボンヘルメット』(2021年6月)他


本稿では、これまで紹介していない1980年代の「ドラえもん」におけるフニャコフニャオ先生の出演作品(5作)をダイジェストで一挙紹介していく!


「ドラえもん」『職業テスト腕章』
「小学四年生」1981年4月号/大全集11巻

伝説的な傑作『あやうし!ライオン仮面』を最後に「ドラえもん」の世界からいったん姿を消したフニャコフニャオは、その10年後にひっそりと舞い戻ってくる。

本作では、のび太が学校で将来どんな仕事をしたいかと聞かれて、一人答えられずに恥をかく。そこでどんな職業が向いているのかをテストできる道具「職業テスト腕章」を付けて、実証実験をしてみることに。

ちなみにみんなのやりたい仕事は以下。

ジャイアン・・・歌手になって大賞とって紅白に出る
スネ夫・・・デザイナーになりたいけど、多分パパの会社を継いで社長になる
しずか・・・スチュワーデスか看護婦さんか幼稚園の先生


本作のように、どんな仕事を選ぶか、という話題から「漫画家」へとたどり着くお話としては、「ドラえもん」『まんが家』と「新オバケのQ太郎」「天才教育」がある。(詳細はフニャコ年表にて)

共通して漫画家を軽んじる話題になりがちで、これは藤子先生の自虐的なギャグである。

本作ではのび太が、「先生」→「本屋」と試してから、「まんが家」になりたいと思いつく。その理由としては、

・少しでも楽な仕事
・面白くてカッコ良くて儲かる仕事
・まんが家なら机に座ってバカなことを書いていればいい

という漫画家をナメたもの。さっそく腕章を付けて、近くのフニャ子フニャ夫先生の家に向かうと、ちょうどフニャ子先生が中から飛び出してくる。

フニャ子を追ってきた3人の編集者にのび太が捕まり、そのまま机の前に連行されて、締め切りの過ぎた計152ページのマンガを書かされるのであった。

締め切りは守らないようだが、フニャコフニャオは相変わらずの売れっ子であることが確認できた。

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「ドラえもん」『まんがのつづき』
「てれびくん」1982年5月号/大全集19巻

「週刊少年ジャブン」で人気連載中の「Drストップ  アバレちゃん」の続きが読みたいのび太。いつものようにスネ夫が特別ルートで次週のゲラを手に入れて自慢してくる。

のび太はドラえもんに「出版社の社長と友だちのパパ」を出してくれと無茶な要求。ドラえもんは「アバレちゃん」を知らないので、のび太が「女の子のロボットが主人公の大人気漫画」だと教える。

ドラえもんは「僕みたいなロボット?」と重ねて尋ねるのだが、のび太が「そんなタヌキみたいんじゃなくよ。可愛らしくて強くて」と笑って答えたので、すっかり気分を壊してしまう。

ドラえもんに頼れなくなったのび太は、作者の島山あららのアシスタントになれば、いち早く読むことができると考える(←浅はか)。そして、島山先生がどこに住んでいるかを、あろうことかフニャコ先生の家に行って聞き出すという暴挙に出る。

フニャコ先生は当然「知るか!!」と大激怒する。

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ちなみに島山先生もかなりの売れっ子で、「少年キングコング」「少年キャベジン」「少年ホリデー」「少年ジャブン」「少年チャンポン」から、同時に原稿をせがまれている。

まんがの続きを読みたい、というモチベーションで進行するお話としては、「ドラえもん」『あやうし!ライオン仮面』と「バケルくん」『ファイターZ』がある。(これもフニャコ年表をご確認下さい)


「ドラえもん」『ほしい人探知機』
「小学五年生」1982年9月号/大全集11巻(表札のみ)

「ほしい人探知機」というひみつ道具を使って、捨てネコを欲しい人を探していると、ネコは欲しいけど貧乏で自分のご飯さえ食えないという男の家にたどり着く。

この男はまだ売れていないマンガ家志望で、最後のチャレンジと思って書き上げた作品があるのだが、これをボツにされると思うと怖いということで、原稿は寝かせたまま。

そこで「ほしい人探知機」を使って、漫画の原稿を欲しい人を探してみると、「フニャコ」と表札の出ている家の前で、締め切りが過ぎているのに原稿が全くでき上がらないと嘆いている編集者を見つけ出す。

そこで男の原稿を見せると、100年に一度の大型新人だ、と喜び、専属契約が結ばれることに。こうして、ネコも飼うことができるようになったのだった。

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「ドラえもん」『自動買いとり機』
「小学三年生」1983年7月号/大全集14巻(氏名のみ)

不要なものを買い取って、即金を払ってくれる機械「自動買いとり機」。のび太は便利な機械だということで、本棚から「エスパー君」という漫画を取り出し、「何度も読んで飽きちゃったから」と言って機械に入れてしまう。

この「エスパー君」の表紙に、「フニャコフニャオ」という名前が見えている。

ちなみに買い取り値段は10円であった。

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「ドラえもん」『未来図書券』
「小学五・六年生」1989年11月号/大全集16巻

最初からネタ明かしをしてしまうと、本作は「タイムパラドックス」を持ち込んだオチで、『あやうし!ライオン仮面』とかなり近しい展開となっている。

本作では、ドラえもんが未来の国の図書券「未来図書券」を使って、映像で語ってくれる未来の読書を体験させてくれる。しかしのび太は何を見ても眠そうにして、ドラえもんは呆れて行ってしまう。

さらっと流れているが、ここでの映像は人類の歴史を語る内容で、

・2093年、有人恒星探査船ビーグル二世号が飛び立ち、太陽系外で地球型惑星を発見。初めて宇宙人と出会う
・2008年、タイムマシンが発明され、「邪馬台国」の場所が明らかとなった

という重要なお話であった。

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のび太は読むならマンガということで、フニャコフニャオの「宇宙剣士バイロン」の最終回が掲載されている「ハラハラコミック」12月号を、「未来図書券」で注文していち早く読んでしまう。

続けて1月号から新連載スタートする「時空パトロール7」も読みたいと思いつき、「未来図書券」で入手する。初回からかなりの面白さだったらしく、のび太はこれをそっくりに書き写して、ジャイアンとスネ夫に読ませる。

すると二人も絶賛。ジャイアンは「しばらく原稿を貸せ」と言って持っていってしまう。ジャイアンは、漫画家のタマゴである妹のジャイ子に読ませると、

「凄い!!プロ並みのアイディアだわ!! 絵は酷いけど」

と驚愕し、知り合いの雑誌社の人に見せに行く。


するとこの原稿を読んだと思われる「コミックドキドキ」の編集者がのび太の家にやってきて、12月号から連載させてくれと依頼してくる。のび太の断りを聞き入れずに帰ってしまう編集者。

この事実を知ったドラえもんは、続きをどうするのだと言うと、毎月「ハラハラコミック」を未来図書券で取り寄せればいいと答えるのび太。ところが、次の2月号には「時空パトロール7」は掲載されていない。

なぜなら、のび太の盗作が他紙の12月号で発表されたので、フニャコ先生が後から描くことができなくなってしまったのだ。

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そこでタイムマシンで過去に戻り、のび太が原稿をジャイアンたちに見せようとする前に、ひったくってしまう。これで、「時空パトロール7」は復活するだろう。

そしてのび太はこれを公園のゴミ箱に投げ入れるのだが、ちょうどゴミ箱の隣のベンチに座ってアイディアを考えていたフニャコフニャオが、この原稿を手に取ってしまう。

フニャコ先生に呼び止められたのび太。フニャコは、

「新連載のアイディアに困っていたんだよ。この原作を描かせてよ」

と藁をもすがってくる。

これによって、未来の自分が書いた原稿を元に新連載を始めることに・・。そうなると、誰が最初にこのアイディアを考えたことになるのだろうか。そして、2月号以降のアイディアは誰がどのように思いつくのだろうか。

パラドックスがややこしくなったところで、本作は終了となる。

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さてさて、長きに渡ってシリーズ連載してきたフニャコフニャオ特集はひとまずこれで終了。ただ実際のところ、藤子先生をモデルとしたキャラクターが登場したり、作者としてマンガの中で注釈をしている未紹介作品も多数残されている。

ネタをある程度ため込んで、また記事にしていきたいと思う。


藤子作品を横断考察中です!


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