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2020.11.23 RADWIMPS「15th Anniversary Special Concert 」@横浜アリーナという祝祭

RADWIMPSメジャーデビュー15周年を記念したライブの2日目を生配信で観た。春先のドームツアーが全部吹っ飛びその後予定されていたワールドツアーも消滅した後、久々の有観客ライブは地元であり思い入れも深いであろう横アリにて。サポートドラマーに森瑞希とEno Masafumiを迎えた5人体制。

2020年の都市の姿を捉えたオープニング映像が流れた後、スモークが焚かれ雲海のようなステージが出現。1曲目は2009年の5thアルバム『アルトコロニーの定理』の序曲「タユタ」。かなり意外な選曲で幻想的にライブが開幕。この間、一切観客席は映らずに会場の全貌すら分からないクローズドな演出だった。電子音に誘われ、2曲目は「グランドエスケープ」。音源では三浦透子の歌声がフィーチャーされた曲だが今回は全編を野田洋次郎がボーカルを務めた。サンプリングされた透子の声からラスサビへと駆け上がる中、観客のクラップと徐々に横アリの観客席が映し出され、サビに到達して全開放!というカメラワークも見事。生配信映像とは思えない興奮度の高さだった。息つく間もなく、「DARMA GRAND PRIX」を投下し高揚感を煽っていく。

大声を出し合えない苦しさを告げながらも久々のライブを喜ぶMCを挟み、コロナ禍に制作された「新世界」をプレイ。MUSIC STATIONで初披露された春先のぼんやりとした不安を思い出させる1曲だ。不穏なトラックとクールなライミングは当時のままに緊迫感だが、今まさに新しい価値観と共に生きる我々には最後の<世界を変えにいこうかね>が強く残った。続くのは力強い「シュプレヒコール」。ステージ床全面に敷き詰められたLEDパネルが歌詞や情景を映し続ける。それを真上から捉えるカメラがあり、バンドの姿と重なるとかなり壮観。無観客配信の"凝った映像演出"という旨味も持ち合わせたこのライブ、画期的だと思う。とか考えてると「パーフェクトベイビー」でセグウェイで洋二郎がステージを動き回っていて何事か、となった。

声を出さずに、手拍子やジャンプで盛り上がりを示すよう促した後、とびきりのポップナンバー「NEVER EVER ENDER」が高らかに鳴り響く。このまま光射すモードに、と思いきや「おしゃかしゃま」なのだから相変わらず裏をかきまくるセットリストだ。間奏でのセッションもバッチリきめた後、ライブは更にドープな方向へ。吉開菜央(Lemonの振り付けの人)が率いる総勢50名ほどのダンサーが登場し、「G行為」にてパフォーマンス。野田洋次郎の動きは常に舞踊的な匂いがあると感じてはいたが、こうやってダンサーを従えると一層そんなテイストに。サイケデリックな映像が床を埋め尽くし、不気味でニヒルな世界観を生み出していた。そこから一転して、インスト曲「花火大会」と共に美しいダンスを披露し、空間を次々と移り変わらせる。

横浜アリーナ内に作られた西洋風の小部屋から中継、という形でアコースティックセットを展開。桑原彰(Gt)はアコギに、武田祐介(Ba)はコントラバスに持ち替えてのレア曲「お風呂あがりの」を披露。先ほどまでとはまた違う、穏やかなバンドの側面だ。「やどかり」では演奏中にメンバーが歩き出し、そのままステージインする形でバンドセットに戻った。MCを挟み、「棒人間」。ここで語られたMCは下記のツイートを思い出した。僕も大好きなミュージシャンを亡くした日の洋次郎の言葉、その祈りを胸に聴き入った。ピアノ曲にドレスチェンジした「螢」では美しくニンジャーライトが舞う。この2つのバラードにおいてもダンサーたちが大活躍していたのが印象的。「棒人間」では影を用い、「螢」では光と共にまさに蛍のような舞踏であった。

「告白」を歌い終えてから洋次郎はピアノを離れギターを持つ。長めのイントロから「トレモロ」を奏でる。今やハンドマイクでのパフォーマンスが板についた洋次郎だが、このギターロックバンド然とした佇まいもやはり様になっている。「有心論」を聴けたのも嬉しかった。個人的にRADWIMPSを聴くきっかけになったシングルだったので!最後のサビでは、心の中の声が漏れたかのようにオーディエンスの歌声が響き渡っていて、そりゃもう溢れ出すようなぁなどと思ったりした。「ます。」ではメンバー全員、ステージ中を動き回り演奏。大熱狂をもたらした後、本編はラストに向かう。あまりやらない曲を、と前置きされたうえで「バグッバイ」をじっくりと歌い上げて幕。キャリアを満遍なく網羅する選曲でバンドの矜持を再提示しみせた。

アンコールではゲストとしてハナレグミ永積崇を呼び込み、「おあいこ」をともに披露。デビュー15周年という日に尊敬するミュージシャンとの共演を喜ぶ姿は確かにRADWIMPSを知った頃の閉じた世界観とはかなり違う。15年という年月を実感する一瞬だった。歌えないのがもどかしいであろう「いいんですか?」、静謐にドラマを募らせていく「スパークル」という両極端なラブソングを紡ぎ、時を超えて繋いで見せた後にラストはもうひと盛り上がりと「DADA」をフルエネルギーで披露。ステージ床LED・照明も全出力でアジテート。再会を誓い、ライブは終幕。「夢番地」と共に流れるエンドロールはこれからも続く旅路を暗に示しているよう。早くドームで観たいなぁ。

<setlist>
1.タユタ
2.グランドエスケープ
3.DARMA GRAND PRIX
-MC-
4.新世界
5.シュプレヒコール
6.パーフェクトベイビー
-MC-
7.NEVER EVER ENDER
8.おしゃかしゃま
9.G行為
~花火大会(ダンス)~
-MC-
10.お風呂あがりの
11.やどかり
-MC-
12.棒人間
13.螢
14.告白
15.トレモロ
16.有心論
17.ます。
18.バグッバイ
-encore-
19.おあいこ(guest:ハナレグミ)
20.いいんですか?
21.スパークル(original ver.)
22.DADA


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