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最近の長久允作品を観た(KID FRESINO+Aマッソ「QO」/森田剛「DEATH DAYS」)

「ウィーアーリトルゾンビーズ」や「そうして私たちはプールに金魚を、」で知られる長久允監督。とても好きな映像作家なのだけど、最近また活動が活発化しているので今ネット上で観れる新作2本についての感想を書いた。


KID FRESINO+Aマッソ「QO」(アーカイブ3/12まで)

異色の組み合わせによる東京、大阪、福岡の三都市ツアー、東京公演の配信版。基本的にはAマッソのコントとKID FRESINOのバンドセットでのライブを交互に見せるという構成なのだが、その境界が少しずつ融和しながら高め合っていく1時間15分。HipHopとお笑いの親和性やどことない類似性はここ最近のポップカルチャーの中でもよくフィーチャーされている部分だが、この2組に関してはどこかその定型に当てはまらない歪さがある。そんなそもそも異色なもの同士を2組を1つのステージでカチ合わせるバランス感は見事だ。

ライブ会場、ラジオブース、レコーディングスタジオ、路上、そして少年時代。KID FRESINOが時間を遡りながら、その継ぎ目にAマッソが現れては結び目を創っていく構成もユニーク。長久監督らしいシーンのワープのさせ方が不思議なトリップ感を生む。音楽とネタを粒立てる見せ方としてここまで洗練されたものは観た事がなかった!KID FRESINOはステージの性質上、Aマッソのコント内でガンガンに笑いを取っていたし、Aマッソもフレシノバンドの石若駿に悪絡みしていて良かった。バチバチのクロスカルチャー、興奮。




DEATH DAYS

森田剛、V6解散&事務所移籍後の初映像作品。先述の「ウィーアー~」や「そうして~」の正統な系列に属する極彩色のヴィジュアルが特徴的な短編映画だ。生まれた日づけと同じように、”死ぬ日づけ"が決まっている世界で森田剛演じる主人公の送る日々を描いてゆく。この1アイデアでありながら、死が否応なしに隣にある緊迫感とどこか退廃的なムード漂う作品になっており、森田のどこか荒々しくも寂しげなトーンがマッチしている。終盤の展開と”歌"の作用するエネルギー含めて、すこぶるナイスキャスティングだ。

スピーディーな編集や凝った構図、字幕や画質チェンジなどを行う独特なマッドさのある作品であるがキャッチコピーにある通り「今日も死んでなくておめでとう」というメッセージを真摯に描いた1作でもある。死というものが身近に、しかもそれは切迫感というよりは側にいつのまにかあるもの、かのように鎮座するようになったここ昨今の空気ともぴったり合う。どうしようもなくても、なんか妙でも、はみ出し者でも端くれ者でも、今日生きてるという事実をビビッドに、太字で肯定していくような情熱的な映画だ。



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