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フェスなき2020年、ロックバンドの夏の歌[Real Sound寄稿記事]+2010年代、ロックバンドの夏の歌

Real Soundに19回目の寄稿をしました。今回は夏フェスのない夏を彩る若手ロックバンドの新曲たちのレコメンド記事です。

フェスに照準を絞って盛り上がる曲を作る、みたいな2010年代半ば頃にあった活動サイクルはコロナ云々問わずにもう終わったんだな、と実感するようなメロディアスな曲が多い印象で、この10年くらいでもすっかりロックバンドの潮流も変わったのだなと実感したり。ということで、2010~2019までの10曲でこの10年のロックバンドが出した夏の曲を振り返っていく余談を。


2010年 Galileo Galilei「夏空」

ソニーらしいしっかりとしたリリース攻勢で(インディーズ曲のリメイクというのも)届けられた。この当時のガリレオ、鳴り物入り感が凄すぎて大変そうだった。個人的にはまだ夏フェス未体験だったので、あぁこういう曲を青空の下で聴くの超気持ち良いだろうなぁなんて妄想を膨らませていた記憶。


2011年  Base Ball Bear「short hair」

本田翼のブレイクによって、一般層にギリ知られてるラインのベボベ曲だと思う。2011年、享楽的であることが避けられる中、シリアスな『新呼吸』という私小説アルバムの1ページという形でこういう沁みる夏の歌を書く素晴らしさよ。あの夏の、まだ先行き不明でどこか不安な空気とかも思い出す。


2012年  The SALOVERS「オールド台湾」

この頃からギターロックが盛り返してきた感じがあって、ロックフェスの著しい拡大化が始まった気がする。サラバーズはあっという間に活動休止になってしまったけど、荒削りで無茶苦茶なエネルギーとか、何かしでかしそうな空気とか、ロックバンドの危うさみたいなのを体現していたと思う。


2013年 クリープハイプ「憂、燦々」

2012年のクリープハイプのオリコントップ10入りというのが、これ以降続く、ちゃんと売れようとするバンドたちの動きに繋がったし、シーン全体の活性化に繋がったと思う。アネッサのCMという当時としては衝撃のタイアップを引き連れ、この声が茶の間に届く。あのザワザワした気分は未だ新鮮。


2014年 SHISHAMO「君と夏フェス」

この曲は2010年代の中で最も象徴的だと思う。どちらかといえば渋めの趣味だったはずの夏フェスは若者たちの恒例行事となり、そこに当然のように恋愛要素が絡んでくる。時代を切り取るあまりにも巨大な1曲。2013,2014の所謂四つ打ちブームの明快さと相乗効果で、ポップな夏フェスを決定づけた。


2015年 Suchmos「MINT」

ゲームチェンジャー現る、って感じだったなぁ。ceroとかYogeeとかが先発で出て行った流れを一気にポピュラーに押し上げた存在。曲としてはもっと代表的なのあるだろうけど、CIRCLEで聴いたこの曲の涼しさが忘れらない。ゆるく横にノる、ということをフェスの現場広く定着させた開拓者である。


2016年 WANIMA「ともに」

モッシュ、ダイブが1つの光景で在り続ける面もある夏フェス。パンク、ハードコア界隈の長い歴史を引き継ぎ、フォーリミやマイヘアといった同世代とも共振しつつ、真っ直ぐお茶の間をぶっ刺したこの曲。ポップスフェスだった福岡のNUMBER SHOTの面々が京都大作戦に寄ってきたのもこの頃。


2017年 never young beach「夏のドキドキ」

わがままな人間なので、チルなバンドばかり集めたフェスでも満足できないし、ブチ上げるバンドばかり集めたフェスでは飽きてしまう。そのちょうど真ん中が欲しいと毎年願っている。ネバヤンは、そのどちらのフェスにもフィットしてサバイブしてきた印象。最近のタイアップワークスも素敵だ。


2018年 フレンズ「常夏ヴァカンス」

フレンズの登場はとても楽しかった。夏フェスなんてなかった頃のJ-POPを思いっきり夏フェスのナンバーとしてやってのけてしまう。そのトリップ感たるや。フレンズのメンバーはそもそも2010年代初頭にギラギラで活躍していた面々ばかり。そういう人たちが2010年代終わりに出した答えとして最高。


2019年 King Gnu「飛行艇」

突出した勢いと、タイミングの完璧さ、そして圧倒的な個性。売れ方とか売り方とかそういう分析を寄せつけない凄み。フェスとはつまり、アリーナやスタジアムをも超えるキャパを持つ会場とも捉えられるわけで。昨年夏にこの歌が轟いた瞬間から、年末~年明けの大席巻は約束されていたんだろう。


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