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最近のアジカンをオンラインで観た(Billboard Live TOKYO/イノフェス)

10,11月とアジカンの有観客ライブを配信で観たので2本の感想、ビルボードを中心に。11月のツアーには行けないけども、こうやって供給が途絶えないのがありがたい。ツアーもどこかは配信されるそうなので楽しみ止まらない

11.2 ASIAN KUNG-FU GENERATION 25th Anniversary Tour 2021 “Quarter-Century” at Billboard Live TOKYO
(アーカイブ11/9まで)

アジカン初のビルボードライブ。メシを食った後にアジカンを観れるというホスピタリティ抜群の公演。しかし洒落こんだ場所に合わせた、というよりは普段通りナチュラルに、着席指定の会場に合わせてじっくりと聴かせる選曲で魅せる貴重な70分だった。コロナ禍の暮れ(と信じたい)のタイミングでの1年ぶりのワンマンライブ。喪失と始まりの間で揺れ動くような前半5曲。MCもなく粛々と曲を積むことによって、この1年間の希望と絶望、決意と諦念を追体験しているかのような心地に。程よい緊張感が漂う時間だった。

MCではなんてことのない話題の後に、ゴッチの口から「一年前よりもバンドが好きだし」というような素直な言葉が飛び出す。ここ数年の風通しの良い状況はステージ上の様子から見て取れるが、こうやって言語化されるととても嬉しい。「転がる岩、君に朝が降る」「マーチングバンド」という光射すイメージの2曲がだんだんと空気を温めていくMC明けにもぴったりだった。また、ここで鳴らされる「生者のマーチ」の荘厳さ。どれほどまでに死を想ったか、という痛みが静かに<抱き寄せる>という仕草で癒されるような、ケアとしてのアジカンがそこにあった。コミュニケーションと未来を思う「ダイアローグ」がその後に来たのも意義深い。ラストはoasis「Rock'nroll star」の引用も。ロックンロールのエネルギーを正しく継承する強さと誇りが今のアジカンにはあるし、未来をしっかりと見据えているのが分かる。

「迷子犬と雨のビート」ではお客さんもクラップを始め、再会を誓うような祝祭感が生まれる。そして本編ラストは「ボーイズ&ガールズ」。イントロでゴッチが口ずさんだのはthe chef cooks meの「Now's the time」だ。長年のサポートメンバーであったシモリョーが離れてもなお、この曲と結びつけるのは実に小粋。こうやって歴史は積みあがっていくんだな、と思うしこれから新しく知る人がこの曲に辿り着くことを想像すると何だかワクワクする。アンコールではバックの幕が開き、東京の夜景が全開。そこに「資本主義を感じる」という感想を置くのはさすがゴッチというほかないが、ラストは最新曲「エンパシー」で全て包み込む。紛れもなく新たな代表曲の降臨だと聴くたび思う。まだまだ最前線。来年の1.5枚分のアルバムを震えて待つ。

<setlist>
1.新世紀のラブソング
2.無限グライダー
3.ノーネーム
4.ブラックアウト
5.ブルートレイン
-MC-
6.転がる岩、君に朝が降る
7.マーチングバンド
8.生者のマーチ
9.ダイアローグ
-MC-
10.迷子犬と雨のビート
11.ボーイズ&ガールズ
-encore-
12.エンパシー


10.9 J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021

AR三兄弟とのコラボレーションによるステージ。画面上にARでグラフィックを登場させるという、オンラインライブを見据えていたかのような試み。「新世紀のラブソング」では雨が降るという控え目な演出だったが、「ロードムービー」(爆レア!)では巨大な路面電車が登場するなどかなり大胆。しかも追憶を辿るようなこの曲のキーアイテムがどどんとアジカンの頭上に出てきたことで楽曲の持つノスタルジーを拡張させていてこれぞAR!となった。

「エンパシー」ではヒロアカのビジュアル、「リライト」では六本木ヒルズとシンプルなものも多いが、「踵で愛を打ち鳴らせ」ではMVのダンスをステージ上でグラフィックが踊ったり、「Easter」でもMVの卵とニワトリのイメージをぐにぐにと動かすなど、かなり理解力の高い演出ばかりで唸ってしまった。ラストの「君という花」では、CDのタイトルロゴの花火があがる。その制作過程までも演出に盛り込んであって面白かった。いつも演出控えめなライブのアジカンなのでたまにあるこういうお祭り感も新鮮に楽しかった。

<setlist>
1. 新世紀のラブソング
2. ロードムービー
3. エンパシー
4. 踵で愛を打ち鳴らせ
5. リライト
6. Easter/復活祭
7. 君という花

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