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剪画作品紹介

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剪画作品をご紹介します。
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#和紙

王冠

王冠

岡田 桂子 作 254×120mm
“Crowns” by Keiko Okada

 古来から多くの財宝は金で作られてきました。王冠、宝剣、宝箱…。権力を手にした者は、黄金で装飾物や身の周りの実用品を作って、飾ったり活用したりします。そんな中から岡田さんは王冠と宝剣を描きました。
 それぞれを金の和紙で切り出した後、赤や青い宝石を散りばめます。そしてその後に様々な背景の紙の上に配置してみたので

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黄金の傷跡

黄金の傷跡

カルチノワ ミロスラヴァ 作 212×330mm
“Golden Scar of a Healed Wound” by Miroslava Karchinova

 最近金継ぎに注目が集まっていますが、この技術は日本国内だけではなく、海外でも広く知られているようです。欠けた陶器を漆と金によって修復し、その傷までを美しいものとして愛でる美意識は日本独特のものかも知れません。
 この金継ぎを描いたの

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アイコンタクト

アイコンタクト

まるぽ 作 150×210mm
“Eye Contact” by Marupo

 魚を真正面から眺めることはあまりないかもしれませんが…真正面からこちらを見つめる瞳。バッチリと目が合ってしまいます。
 魚の種類がわからなかったのでまるぽさんに聞いてみたら、「コンゴウフク」だとのこと。コンゴウフグは目とおしりのところに1対の棘があり、これらが「金剛杵」に似ていることからこの名前が付いたそうです

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温泉

温泉

梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Onsen” by Yuu Umezaki

 前回ご紹介した作品と同じように同心円を描いて温泉を表現しているのが、この作品です。宮本さんが青い線を残して円を描いたのと反対に、梅崎さんは生成りの和紙をくり抜き、下に来い茶色の和紙を敷くことによって、円形を描き出しています。さらに青いパステルでぼかしを入れ、水面らしさを演出。写真ではわかりにくいのですが、左上に

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大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

日野 晴美 作 210×297mm
“The Gift of Healing from Mother Earth (Shikano Hot Spring, Tottori)” by Harumi Hino

 今回のテーマ「温泉」は作家さんたちにとってなかなか難しかったらしく、DMを作るべき時期にまだ作品が1つも搬入されていませんでした。日野さんに相談したところ、急ぎで鳥取の温泉を小さいサイズで

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桜回想

桜回想

小野寺 マヤノ 作 305×432mm
“Sakura Reminiscence” by Mayano Onodera

 先週で終わった「桜 –我が心のふるさと–」展に出展していた作品で、今日あたり鳥取の若桜に到着した頃だと思います。
 桜には「春の訪れ」という明るい印象と「散りゆく花」という寂しげな印象があります。今回の作品展でも、桜の作品はそれぞれどちらかの印象で描かれていました。私が描い

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桜のトンネル

桜のトンネル

梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Cherry Blossom Tunnel” by Yuu Umezaki

 今回の作品展では、様々な桜の風景が描かれていますが、少し抽象的に風景を表現しているのがこの作品です。この作品にも作者のコメントが寄せられているのでご紹介します。
 「学生の頃住んでいた団地の近所の桜の木。桜のトンネルが続く、少し肌寒い道でした。久しぶりにその道を通ると、今では切

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春の河

春の河

神田 いずみ 作 320×225mm
“Spring River” by Izumi Kanda

 剪画というよりは貼り絵のようにも見える作品です。ピンク色の薄い和紙は下の色を透かします。そのため、神田さんはこの紙の下に、光が射しているような白い和紙を置いたり、水の動きが見えるように青い和紙に切れ目を入れて配置したり、魚を泳がしたり…と様々なしかけをほどこしました。重ねた紙の効果を何度も試しな

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100年桜の思いを乗せて 1

100年桜の思いを乗せて 1

六郷 もと 作 405×275mm
“Riding with the Memories of 100 Years Old Sakura Trees 1” by Moto Rokugo

 六郷さんは3年前に開催された「線路は続くよ」展でも若桜鉄道のピンクのSLを描いています。今回の桜展で、もう一度この桜色の機関車を描いてくれました。六郷さんがこの作品のために書いてくださったコメントがありますの

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胴吹き桜

胴吹き桜

宮本 真理 作 242×272mm
“Doufuki Sakura” by Mari Miyamoto

 通常、桜は木の枝に咲きますが、木の幹から直接咲く花を胴吹き桜と言うそうです。これは木の力が落ちてきた時に起きる現象で、古い樹に見られるとのこと。そういえば、桜が咲き始める頃、何度か水元公園でも写真を取ったことがあります。確かに古くて立派な樹でした。
 宮本さんはこの幹の感じを水墨画のような

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桜の日

桜の日

大内 美佐子 作 270×365mm
“The Cherry Blossom Day” by Misako Ouchi

 大内さんは息子さんの入学式の様子を思い出しながら、この作品を制作されたそうです。ちょうど今年はお孫さんの入学の年で、記念すべき年だとのこと。この時期桜を見るとやはり思い出すのは入学式です。…が、それは少し前までのことで、最近は卒業式に桜が咲くことが多くなりました。時代によっ

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里の桜(若桜郷土文化の里・鳥取)

里の桜(若桜郷土文化の里・鳥取)

日野 晴美 作 420×298mm
”Old Home Cherry Blossoms (Wakasa-kyo Bunka-no-Sato)“ by Harumi Hino

 今回の作品展は、鳥取若桜の方から「桜」をテーマにした作品展のご提案を受けて開催されました。そのため事前に作家さんたちに若桜の資料を渡してあり、その中から若桜郷土文化の里の絵を描いてくれたのが日野さんです。
 昔ながらの

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もう一人はクリスマスゲスト

もう一人はクリスマスゲスト

トドロワ プロレチナ 作 285×195mm
“And the other one is Christmas guests” by Proletina Todorova

 もう1点クリスマスの作品をご紹介。ブルガリアから送られてきた作品です。雪だるまさんたちがクリスマスのプレゼントを運んでいます。クリスマスゲストのためでしょうか?
 日本の雪だるまは頭と胴体、2つの雪の玉からなっていますが、西洋

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赤鼻のトナカイ

赤鼻のトナカイ

nori 作 148×210mm
“Rudolph the Red-Nosed Reindeer” by nori

 ポインセチアのリースから顔を出しているハンサムな赤鼻のトナカイさん。背景を日本の伝統柄と雪の結晶を配して和洋折衷でまとめまたnoriさんらしい作品です。
 今回noriさんは黒い紙ではなく、白い紙を切り抜いて輪郭線にしています。小さな絵なので、本当に細い線ですが、その中を丁寧

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