若い力は組織を活性化する。広島のルーキー、常広投手が初登板初先発で初勝利。チームの連敗を6で止めた。先輩たちは好守、好打で盛り立てる。ここから9月の鯉のぼり
若い力は組織を活性化する。それを証明したゲームだった。広島のドラ1ルーキー、常広羽也斗投手(22)が初登板初先発。5回1失点でうれしいプロ初勝利を挙げた。先輩たちも好守、好打で盛り立てる。投攻守の歯車がガッチリかみ合い、チームの連敗を6で止めた。シーズン最終盤の優勝争いを繰り広げる中で、新戦力の台頭はチームに活力を与えている。
15日にホームの広島で行われたDeNA戦。ドラフト1位右腕が先発マウンドに上がった。激しい優勝争いを展開しているチームにとっては「賭け」のようにも思えるが、この起用が大的中となった。
常広投手は大分の進学校、大分舞鶴高を卒業し、青山学院大でプレーした。昨年のドラフト会議で2球団が競合する中で、広島が交渉権を手にして、入団となった。
ルーキーの初マウンド。初回から苦しいピッチングだった。2者連続でアウトを取った後、3番打者にヒットを許すと、4番打者に二塁打を浴びて2死二、三塁のピンチ。しかし続く打者を見逃し三振に斬って取り、難を逃れた。
ルーキーを援護しようと、味方打線がつながった。直後の攻撃で、2死二、三塁から小園海斗選手が先制の2点適時二塁打。末包昇選手と菊池涼介選手もタイムリーを放って、この回4得点のビッグイニングだ。
常広投手にとって大きなプレゼントだ。二回のマウンドも得点圏に走者を抱えながら、無失点で切り抜けた。
そして三回のピッチング。連続長短打を浴びて、無死二、三塁の大ピンチ。ここで4番打者に痛烈なライナーを浴びる。右中間へ抜けようかという当たり。これをセカンドの菊池選手がジャンプ一番、しっかりキャッチ。ビッグプレーでルーキーを盛り立てた。
常広投手はその後、1失点を許すが最少失点で切り抜けられたのは、菊池選手の好守のおかげだ。
四回には2死二塁、五回には2死満塁とピンチの連続。それでも、しっかり打ち取ってホームに還させない。5回1失点。92球を投げ、7安打、2四球、1死球を与えたものの粘りのピッチングを見せた。
ファインプレーでピンチを救った菊池選手は六回に3ランを放って、リードを広げた。常広投手にとっては、打って守って助けてくれる頼もしい先輩だ。
試合は広島が10-2で大勝。チームの連敗を6で止めた。常広投手はうれしいプロ初勝利だ。
そしてチームにとっては単なる1勝以上の重みがある。連敗を6でストップしただけでなく、チームが打線も守備も活性化した。ルーキーを盛り立てよう。その思いがプレーに表れたのだ。
若い力がチームを活性化し、先輩たちはルーキーピッチャーを救おうと奮起した。投攻守の歯車がガッチリかみ合った。
チームは今季の残り試合は16。首位巨人とは4ゲーム差だ。まだ逆転優勝の可能性は十分に残っている。
常広投手は試合後、「ピンチのたびに声援が聞こえた。そこから、また頑張ろうと思いました」と振り返る。選手もファンも一体になってつかんだ勝利だ。
9月の鯉のぼり。新顔の鯉が苦しみながら上昇していく。そして先輩たちも盛り立てていく。流れが広島を後押ししている。ここからスイスイ上っていきそうな勢いだ。
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