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阪神大震災に見舞われたクラブがついにJリーグ王者に。ヴィッセル神戸が戴冠。27年目の挑戦で。J2降格の苦さを何度も乗り越えた先に

ついにあのクラブがJリーグ王者に君臨した。ヴィッセル神戸だ。クラブ発足の初練習日に阪神大震災が起こる多難な船出だった。被災した人々に勇気を与えるため、1997年からJリーグで戦い続けてきたが、なかなか王者に輝くことができずにいた。27年目の挑戦でつかんだ頂点の座。神戸の選手、サポーターの皆さん、おめでとうございます。

Jリーグが発足した1993年。「我が街にもチームを」。その思いからチーム誘致を求めて24万人の署名が集まった。岡山の川崎製鉄サッカー部を誘致して、クラブが1995年元日に発足した。

初練習の予定日が1月17日だった。そして、その日に阪神大震災が起こり、練習どころではなくなった。クラブにとって、多難の船出だった。

1995年はJリーグの下部にあたるJFL(日本フットボールリーグ)に参戦。翌年、準優勝となりJリーグ昇格を決めた。

1997年.神戸にとってのJリーグ元年。この年、私は神戸を訪れて、試合を観戦している。5月3日に神戸ユニバー記念競技場で行われた浦和レッズ戦だった。

現在サッカー解説者などを務める永島昭浩さんがストライカーだった。永島さんのファンだった身としては、ぜひゴールを見たかったが、シュートを決めることはなく、浦和に0-2で敗れる結果に。

その後、クラブは2005年、2012年にJ2降格を味わった。そのため、翌年の2013年はJ2で戦うことに。この年、プロ野球では楽天が日本一になった年だった。

2011年に起きた東日本大震災の被災者を勇気づける日本一を成し遂げた楽天。一方の神戸は阪神大震災の被災者への頂点どころか、下部リーグで戦った。あまりに対照的なスポーツシーンだった。

1年でJ1に復帰した神戸。2018年には日本中を驚かす大型移籍が実現した。強豪スペインのイニエスタ選手が加入したのだ。「イニエスタ効果」でチームは躍進し、2020年の元日に天皇杯王者となった。クラブ初のタイトルだった。

2021年にはJ1で過去最高の3位に入る。この勢いで頂点と思われた翌2022年だったが、チームは降格争いに巻き込まれる事態に。難を逃れたものの、何かが違う。タレントをそろえて、短いパスをつなぐ「バルサ流」で戦っても勝利につながらなかった。

この年の途中から指揮を取った吉田孝行監督が堅守速攻スタイルでチームを立て直し、2023年は快進撃。今月25日は象徴的なゲームだった。優勝に王手をかけた一戦で、前半15分までに2得点。接戦を制して、初のJ1王者に輝いた。

「共に傷つき共に立ち上がり」「これからもずっと歩んでいこう」。優勝を決めたスタジアムに、応援歌「神戸賛歌」の歌声が響き渡った。

阪神大震災に見舞われた人たちの思いが凝縮された応援歌。選手やサポーターが共に傷つき、立ち上がってきた。

ようやく阪神大震災の苦しみを経験した人たちに、J1優勝を届けることができた。神戸の選手やサポーターの皆さん、おめでとうございます。

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