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自分が何者であるかを証明するために。パリ五輪女子卓球。早田選手がシングルスで銅メダル。準々決勝で左手首を負傷。3位決定戦の逆転劇で感涙。東京五輪選考漏れからの雪辱

自分が何者であるかを証明するための大会だった。パリ五輪女子卓球シングルスで、早田ひな選手(24)が銅メダルを手にした。準々決勝の試合中に左手首を痛めて完敗。翌日もギリギリのタイミングで試合ができる状態に戻り、3位決定戦を逆転劇で制した。勝利の瞬間に感涙で泣き崩れた早田選手。自分が日本のエースであることを成績で証明した。

2日に行われた準決勝。世界ランキング1位の中国選手にわずか39分で敗れる完敗だった。準々決勝で、早田選手は利き腕の左手首を痛めていた。世界1位の選手相手に、「下剋上」を狙う側がケガをしては完敗を喫しても仕方なかった。

気持ちを切り替えて3位決定戦へ臨みたいところ。しかし痛めた左手首は力が入らない状態だった。風呂に一人で入れず、ドライヤーも持てない状態だったのだ。翌日の試合に間に合うのか。早田選手も気が気でなかっただろう。

3位決定戦の韓国選手は、準々決勝で平野美宇選手を下していた。タフな試合展開が予想された。

しかし早田選手は開始5分前まで2割から3割の力しか出せない感覚だった。直前に注射を打ってもらい「もしかしたらいける」と思えるようになったそうだ。むしろ、この注射で自分は回復したのだと思い込みたかったのだろう。

第1ゲームはミスが続いて落とした。リードされる展開となったが、早田選手はあきらめない。第2ゲームでは4連続ポイントを奪うなどして13-11で取り返した。

そして、圧巻だったのは第3ゲームだった。7-10。あと1点失えば、相手にこのゲームを奪われる。危機的状況から、早田選手はフォアハンドを次々と決めて、5連続ポイントで逆転して、このゲームを手にした。

そして、第4ゲーム、第6ゲームも奪って、4-2で銅メダルを手にした。勝利の瞬間、早田選手はコート上で泣き崩れてしまった。利き腕を痛めながらタフな試合展開を制した喜び。こちらももらい泣きしてしまった。

3年前に行われた東京五輪。早田選手はメンバーから漏れ、サポートに回ることとなった。同世代の平野選手、伊藤美誠選手が戦う姿を見るのは複雑な気持ちだっただろう。

この悔しさをバネに成長し、パリの大舞台に立った早田選手。自分が何者であるかを証明する絶好の機会となった。その大会中に利き腕の手首を痛める不運に見舞われたが、最後まで全力を尽くして、獲得した銅メダルだ。

「金メダルより価値がある銅メダルだと思います」と話した早田選手。決して負け惜しみではない。この大会で自分が何者であるかを証明してつかんだ銅メダルなのだから。

日本のエースであることを大舞台で証明した早田選手。彼女の未来は、まだまだ輝かしいに違いない。

【内容に一部誤りがありましたので、修正しております。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした】

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