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死にぞこないの趣味の世界

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2024年6月の記事一覧

アヌーク・エーメさん、死去

アヌーク・エーメさん、死去

6月18日、フランスの女優アヌーク・エーメさん(92歳)、逝かれる。
彼女は、僕のスマホの壁紙。
文字通り、目の保養だった。
ただ美しいだけでなく、エレガントで、チャーミングだった。

いまごろ極右はよろこんでいるだろう。
なにせ彼女はユダヤ系だった。

彼女を国際的有名人にしたのが、映画『男と女』(1966年)だった。
フランシス・レイの音楽、〈ダバダダバダ〉で有名な例のやつ。

初めて観たとき

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ウエルベックに見られる女性像 ―『滅ぼす』から

ウエルベックに見られる女性像 ―『滅ぼす』から

ミシェル・ウエルベック(1956年生)は、僕とは異なり、保守派である。
ところが彼の女性観に、非常にしばしば、僕は同意してしまう。
そのことは僕をモヤモヤさせる。
でも同意するという事実と、向き合わなければとも思う。
読み終えたばかりの『滅ぼす』から幾つか例をひこう。

痛みについての特殊な知識
例えば次のシーン。
アルアルだ。とてもよく実感できてしまう。
ポールとプリュダンスという夫婦が、ある事

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ミシェル・ウエルベック『滅ぼす』を読んで

ミシェル・ウエルベック『滅ぼす』を読んで

読んで良かった。
あんな厚い本、上下巻で?と、最初は迷った。
でも古本屋で安く買えたので読んでみた。
読んで良かった。

保守派
ウエルベックは保守派で、僕はどちらかといえば革新派だ。
例えばウエルベックはナチズムとフランス革命を、どちらも既存の価値体系に取って代わることを目指していたとして、同一視する(『滅ぼす』第7部)。
当然のことながら、僕はこういう意見には反対だ。イラっとする。

けれども

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フランソワーズ・アルディさん、死去

フランソワーズ・アルディさん、死去


伝説のカップル
6月11日、フランスを代表する歌手フランソワーズ・アルディFrançoise Hardyさんが亡くなられた。80歳だった。長年、癌と戦われた末であった。痛みはかなりのものであったらしく、尊厳ある死を認めるよう、求めていらした。

アルディさんは、いつでもどこか寂しげな、そして優しく、優美なかたであった。
少なくともテレビのインタビューを観ていて、私はそういう印象を得た。
ツアーや

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