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ダルビッシュ選手の人間力

 現在、日本中を熱狂の渦に巻き込んでいるWBC:侍ジャパンの活躍ですが、試合は勿論の事、個人的にはダルビッシュ選手の一挙手一投足に注目しており、試合でのパフォーマンスよりもインタビュー時の言動・態度・佇まいには毎回、思わず感嘆と共に見入ってしまいます。

 彼の言動・発言を注視する様になった、きっかけは、本戦の為にキャンプイン初日から参加するにあたってのインタビュー映像を、たまたま観た事でした。

 彼の映像を観るのは十数年ぶりでしたが、質問者の「若い選手に色々と教えて欲しい」という風な問いかけに「教えるという上から目線ではなく、互いに情報交換して」という類の受け答えの彼の姿・・・とりわけ、若い頃の彼に感じてた気負い・自己中心・ある種の変なプライドといった様な負の様子が微塵も感じられない、礼儀正しく、相手への尊重を携えた自然体な姿に魅了され、その後も彼へのインタビュー映像を追う様になりました。
 自分を良く魅せようといった類の虚栄心・ある種の打算・自己満足、自分の方が上とかいう様な生産性なく無意味な優越論を全く感じさせず、自らの「気」を相手と場に必要以上に置かず、また、相手と場の「気」を必要以上に気にせず、自分の世界観に集中し、落ち着いて言葉を選びつつ応える佇まいには俗にいう「達人」の域を感じ、ありきたりの感嘆詞とはいえ「あの年齢で」との想いを強く抱きました。

 若い時は、かなりヤンチャな素行・言動だったと記憶してますが、元々、柔軟な思考回路を持ち合わせていたからこその変貌なのでしょうし、頑固・意固地・拘りではなく、揺るぎない信念を持ちつつも、それ以外は変化をいとわない柔軟性を持つ事は非常に大事な点だと考えます。

 その後も、スランプに悩む選手に対しての「野球で落ち込む必要はなく、人生の方が大事」「自分が特別な人間だと思ってた時期があるが、そうではないと気付かされた」等、他にも色々な含蓄ある言葉・語る姿を拝見し、その人間性から多くの学び・気づき・刺激を受けてます。

 本戦で失点した後に動揺を微塵も感じさせない、その時点でのベストなパフォーマンスに対する己でコントロールできない結果への、ある種の良い意味での諦めというか切り替えというか、捉え方・思考法・コントロール法には、そのレベルに辿り着く迄の彼自身の経験・時間・葛藤に想いを馳せ、思わず感服しました。

 「勝っても負けてもいい」というニュアンスの発言の裏には決して投げやりではない、勿論、勝つ事に越した事はないけども、負けたとしても勝った場合には得られない気づき・学びがあり、過程で得られる勝負を越えた気づき・学びに価値を置いてる姿勢を大事に、ベストを尽くした後の結果に対しては期待などはせずに、良い意味で俗にいう野球の神様に御任せの態であって、野球は成長の為の道具に過ぎず、日常・人間性・人生そのものの方に重きを置いてると個人的には推察します。

 富士山頂に向け登山する際の方法・ペース・ルートなどは違えど、各々の違った選択から生じる様々な軋轢・経験からの学びを通じ、一流と呼ばれる人間に向かって歩を進めるのでしょうし、選んだ道そのものは頂点に辿り着く迄の方法論に過ぎず、あくまでも過程から生じる・得られる気づき・学びが大事であると再確認させて頂いたダルビッシュ有選手に感謝しつつ、これからも彼の生き様に注視したいと考えています。

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