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《41》農作物直売所の事例~電車輸送で相乗効果~

業界別SDGs事例紹介。

今回ご紹介するのは、「TABETEレスキュー直売所」。


埼玉県の東松山市を全体調整役とし、㈱コークッキング、東武鉄道㈱、JA埼玉中央、大東文化大学、㈱大塚応援カンパニーの6者が連携して行っている事業で、

売れ残り農産物の電車輸送を通じ、「食品ロス」「貧困」「教育」「CO2排出削減」などの複数の課題解決に寄与するものです。


まず、農産物の生産者がJAに野菜などを卸し、JA埼玉中央の直売所にて販売します。

そして、東松山市周辺5カ所の直売所で売れ残った農産物を、当日中に電車で輸送(※)し、都心の顧客に再販売するというビジネスモデルです。


東松山市の直売所で売れ残った農産物の販売に大東文化大学の学生がインターン生として参画することで、

学生が社会問題の解決について実践的に学ぶ場が創出されます。

また、東武鉄道においては、販売スペースと輸送サービスの提供を行い、その見返りとして荷物輸送に関わる運賃及び料金、販売スペース利用料をレスキュー直売所が負担します。


さらに、電車で輸送した農産物の一部は、大塚応援カンパニーが運営する子ども食堂へ寄付されるため、生産者が作った農産物が余すところなく活用され、

消費者も含め関わる当事者の全てが「Win―Win―Win」の関係になっています。


この取り組みは国内だけでなく、国外においても十分実施が可能であり、広くロールモデルになり得るとして、第6回ジャパンSDGsアワードにて副本部長賞を受賞しました。

また、取り組みの自己評価のため、消費者へのアンケートや農家へのヒアリングを実施。

当初は10人足らずの農家で取り組みを開始しましたが、現在は約200人の農家が参加し、取り組みの裾野が広がって行動変容の連鎖が起きています。

以前掲載した「大槌ジビエソーシャルプロジェクト」でもご紹介しましたが、このように自治体を全体調整役として、産学と連携して取り組みを行うことは非常に有用であると感じます。

皆様もご自身の住まう自治体にて、どのような企業、団体、大学などパー
トナーシップを組めば自社の強みを生かした相乗効果の高い取り組みが生まれそうか、一度考えてみられてはいかがでしょうか。

(※注釈)鉄道のCO2排出・・・日本全体のCO2排出量のうち、運輸
部門の排出量割合は全体の17・9%を占めている。運輸部門でCO2排出割合が最も多い輸送機関は自家用乗用車で、46・2%にも達している。これに比べ、鉄道のCO2排出割合はわずか4・1%に過ぎない。
(一般社団法人日本民営鉄道協会の鉄道Q&Aより一部引用)


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