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《34》官民連携の取り組み~害獣をまちの財産に~

業界別のSDGs事例紹介。

今回は「官民連携」の取り組みとして行われている岩手県大槌町の「大槌ジビエソーシャルプロジェクト」をご紹介します。


同プロジェクトは「害獣をまちの財産に」をコンセプトとして、「大槌ジビエサイクル」を構築している取り組みです。

まず、鹿を捕獲することで農業被害を解消し、里山の保全を図ります。

次に、捕獲した鹿の肉をMOMIJIという食肉加工場で処理・加工し、副産物である鹿の角・皮は地元のハンドメイド作家が新たな作品へと生まれ変わらせ、それらを飲食店やECサイトを通じて全国の消費者に届けます。
 
そして、製品の魅力を感じた消費者は、実際に大槌町を訪れてジビエ体験プログラムに参加し、鹿の故郷である大槌の大自然と、肉や製品ができ上がるまでのストーリーを体感します。

体験プログラムでハンティングという命の営みに共感した参加者は、ハンター育成プロジェクトのサポートを受けて大槌の野生鳥獣捕獲に携わるハンターになることができ、また、ジビエ塾を通して全国各地でジビエ事業を立ち上げることもできます。


この捕獲から食肉、製品加工、体験、育成、そして再び捕獲へとつながるサイクルを通して大槌のジビエ文化が継承され、各地のジビエ事業者間の連携により、全国共通の課題である「野生鳥獣との共存」が実現します。
 


【出典】https://otsuchi-ogsp.com/



これまで害獣と呼ばれ、まちの問題とされてきた鹿は、それ自体がまちの特産品になるだけでなく、大槌町の交流人口、関係人口を増やす新たなまちの財産として住民との共存を果たします。

このように「獣害」という汎用性のある地域課題に対して官民連携による多
様な関係者の下で多角的に取り組み、地方創生に寄与していることが評価され、同プロジェクトは第5回「ジャパンSDGsアワード」で特別賞を受賞されました。

 
SDGsは自社だけで取り組むのではどうしても効果が限定的になるため、パートナーシップが何よりも大切であることはこれまでもお伝えしてきたかと思います。

今年はぜひパートナーシップを強化し、あらゆる地域課題の解決に取り組んでみてはいかがでしょうか。


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