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死んでもE-wa:藤井風 - 世界から見た日本の音楽


ニューヨークに移住した30年ほど前のことだが、そのころはよく友達に「日本の映像や映画は素晴らしいのに、なぜ音楽はあんななのかわからない」と言われた。

あんな、と言うのはつまりそのころの歌謡曲のことだ。歌唱力のない歌手が、フリフリの衣装をまとい、誰もかれも同じような振り付けで歌って見せている。歌詞は陳腐で心を打たない。

もちろんサザンやタツロー、喜多郎などは歌謡曲とは別格に扱われていたかもしれないけれど、それでもやっぱり日本の音楽は世界の中でずーっと遅れていた

それが今はどうだろう。
ジャズやJーPOPのジャンルで、素晴らしいクリエーターが次々と登場している。例えば、Fujii kaze。

藤井風 (Fujii Kaze) - 死ぬのがいいわ (Shinunoga E-Wa) (Romanized)

藤井風 (Fujii Kaze) - 死ぬのがいいわ (Shinunoga E-Wa) (English Translation) Lyrics


この歌を聴くと、日本語がわかってよかったな〜と思う。だってこの歌の歌詞が心に染みるほど素敵だから。

例えば、「三度の飯よりあんたがええのよ、死ぬのがええわ」という下りは、人形浄瑠璃や近松を思い起こす。

人形浄瑠璃の人情と哀愁、生きていくことの辛さや儚さが感じられる。

さらに、曲は転調が美しい。
曲に3D的な深みが生まれているし、色彩のトーンが変わるような錯覚を覚える。

売れる音楽には、必ず理由があるのだなあと思う。

ところが英語に訳したものを読むと、そうはいかない。
確かに意味は合っているけれど、そうじゃないんだよね、という気がする。

[Verse 1]
Pinky swear, if I do tell a lie
I'm willing to swallow needles or anything on Monday
It doesn’t matter if it's Sunday
Mirror, Mirror on the wall
Who would give me the most fairest love of them all?
No need to ask cause it's my darling

[Chorus]
I want you to be my last
If I had to keep being separated from you like this
I’d rather die
I'd rather die
I choose you over three meals a day
If I had to keep being separated from you like this
I'd rather die
I'd rather die
[Verse 2]
Still, sometimes my heart is being unfaithful
Even tho it'll never be cured, I'm gonna cure it anyway, baby
Yeah, I ain't nothin but ya baby
"You don't know what you got till it’s gone"
I’m sick and tired of repeating that same old cliché Goodbye
Oh, don't you ever say bye-bye
Eh

[Chorus]
I want you to be my last
If I had to keep being separated from you like this
I’d rather die (I'd rather die)
I'd rather die (I'd rather die)
I choose you over three meals a day
If I had to keep being separated from you like this
I’d rather die (I'd rather die)
I'd rather die (I'd rather die)

[Interlude]

[Chorus]
I want you to be my last
If I had to keep being separated from you like this
I'd rather die (I'd rather die)
I'd rather die (I'd rather die)
I choose you over three meals a day
If I had to keep being separated from you like this
I'd rather die (I'd rather die)
I'd rather die (I'd rather die)

https://www.youtube.com/watch?v=goU1Ei8I8uk


恒例の紅白歌合戦は、海外では見ることがなくて、もう30年近く見てないけれど、ずいぶん変わってきたことだろう。

日本の外に住むと、日本人の情緒がいかに素晴らしいものかわかる(もちろんどの国の文化もそれぞれの奥深さがある)。この素晴らしい感性が世界中に浸透してくのを今感じる。



雪は静かにしんしんと降り積み、夜は静寂に包まれている――。こうした雪の持つ「音のない世界」を表現するために、日本人は、低く、くぐもった「ドン・ドン・ドン」という太鼓の連打を発明した。きわめて無機的に、機械的な単調さで、平坦に鳴らされるその音は、音を使って、「音のない静寂の空間」を心の中に出現させてくれる。「音のない世界を、音で描く」という発想は、西洋人の合理主義からはけっして生まれてこない。すべては東洋人の直観ないし直感の賜物である――と著者は説く。

 西洋音楽に代表される西洋的思考と、日本語や日本音楽の持っている土壌が、いかに違うか。詳しくは本書における著者の精緻な論考に譲るが、結論的に言えば、両者はあまりにも違う土壌の上に咲いた文化であり、同一の精神構造で捉えるのは困難だということである。だが、その事実を本書の読者は確認すると同時に、日本語の美しさと日本人の感性の豊かさを再発見するだろう。

西洋音楽から見た日本


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