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ロボットと哲学

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「SFにおけるロボット」という観点から「人間という存在」について哲学的な考察を試みました。小説を中心としたロボットに関するSF作品の紹介と哲学思想の概説が中心です。SF好きも哲学… もっと読む
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#労働

ロボットと哲学⑥構造主義と労働(Robota)

ロボットと哲学⑥構造主義と労働(Robota)

前回

 19世紀から、フィールドワークによって様々な民族の社会や文明を研究する文化人類学が発達した。文化人類学者であるレヴィ=ストロース(1908-2009)は、ソシュールの考え方などからの影響を受け、「主体の思考や行動は構造(社会)によって規定される」と考えた。このような考えは構造主義と呼ばれる。第2回で触れたサルトルの「実存は本質に先立つ」という実存主義的な考えとは対照的である。

アルチュ

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ロボットと哲学①語源と目的性

ロボットと哲学①語源と目的性

SF(サイエンスフィクション、スペースファンタジ-)は、映画・小説の中でも人気ジャンルであろう。SFは私たちに近未来の空想を与え、好奇心を刺激してくれる。しかし、SFが持つ力はそれだけにとどまらない。現実を現在の構造から外したり、ある部分を誇張したりすることで、我々の常識や価値観に疑いを向けさせたり、哲学的な命題を投げかけて来るのである。例えば、映画『猿の惑星』のような人類の文明が滅びた設定はお馴

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