マガジンのカバー画像

ロボットと哲学

6
「SFにおけるロボット」という観点から「人間という存在」について哲学的な考察を試みました。小説を中心としたロボットに関するSF作品の紹介と哲学思想の概説が中心です。SF好きも哲学…
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

ロボットと哲学⑦決定論と自由意志・終わりに(ロボットと哲学と人間)

ロボットと哲学⑦決定論と自由意志・終わりに(ロボットと哲学と人間)

前回は構造主義の立場から、換言すれば私たちの外側から人間やロボットについて考えた。今回は自由意志に対して懐疑的な立場を取る理論を通してロボットと人間について考察する。

ニュートン力学 初期条件が与えられれば、それ以降の運動は方程式によって一意的に決定付けることができると考えられる。現在の状態が分かっていれば将来を完全に予測することができるという事であり、このような考えを決定論と呼ぶ。
決定論を最

もっとみる
ロボットと哲学⑥構造主義と労働(Robota)

ロボットと哲学⑥構造主義と労働(Robota)

前回

 19世紀から、フィールドワークによって様々な民族の社会や文明を研究する文化人類学が発達した。文化人類学者であるレヴィ=ストロース(1908-2009)は、ソシュールの考え方などからの影響を受け、「主体の思考や行動は構造(社会)によって規定される」と考えた。このような考えは構造主義と呼ばれる。第2回で触れたサルトルの「実存は本質に先立つ」という実存主義的な考えとは対照的である。

アルチュ

もっとみる