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人権を促進するCMとは?

#広告 #ジェンダー #ダイバーシティ #BLM #CM #コマーシャル #テレビコマーシャル

先日、ユニリーバなどが「美白」という言葉を使わないという決定をしたことから、人権視点から考えるマーケティングについてお伝えしました。今日は、改めて「CM」が人権に対して与える影響について考えてみたいと思います。

【ビール】 喉越し良ければ良い?

ようやく梅雨明けも見えてきましたが、この時期になるとCMが増える商品の一つがビールではないでしょうか?日本のビールのCMでよく見かける謳い文句は「喉越し爽やか!」「後味スッキリ!」のようにいかに「美味しいか」を強調するものが多いかと思います。

しかし、同じビールでも、こちらのCMはだいぶ様子が違います。

オランダの大手企業ハイネケンのCMです。

このCMは、どんなメッセージを伝えたいのでしょう?それぞれの受け止め方があると思いますが、私は、「ダイバーシティを生み出す場に貢献したい」という思いを感じました。

【生理用品】 「あの日」もいつも通り?

最近、韓国の生理用品のこんなCMが話題になっています。

私自身このCMを見て、自分が生理期間であってもいかに「普通に」過ごすことに一生懸命であったか、気がつきました。日本の生理用品のCMは、吸収量など、やはりその質に重点を置いたものが多く、生理を取り巻く女性の体調や思いをあるがままに伝えるというメッセージを感じることは少ないように思います。

ソウル経済によると、「ナトラケア」側は「非現実的な既存の生理用ナプキン広告への女性の反応が否定的な点に着目し、女性の心を率直に代弁するナプキン広告を企画することとなった」とし「既存の広告では生理を”その日”と表現したのとは違って、広告としては初めて”生理”と表現した点で大きな意味があると思う」と説明した。
韓国日報によると、『月経の政治学』を書いたパク・イウンシル氏は「純粋」「清純」「清らかな」「白い」などのイメージがメインで、広告モデルも30〜40代の女性より社会経験が多くない20代前半が主にモデルとして登場してきたことについて「男性たちが要求する女性像を徹底して反映する戦略」と指摘している。(出典:上記ハフポスト)

【サランラップ】 家事を「手伝わない」?

もちろん日本でも、CMを通じて、既存の社会のマインドの変化を求めるポジティブなメッセージを発している企業はあります。

サランラップのCMでは「僕は手伝わない」というメッセージから、既存の家庭内の男女の役割分担の考え方への疑問提起とアップデートを提案しています。

私たちは、普段目にする広告から、ジェンダーを始めとする社会のさまざまなことに対する見方・認識を無意識のうちに刷り込まれています。

昨年、国際NGOプラン・インターナショナルが、「女の子の権利」や「女の子のエンパワーメント」の促進を広く国際社会に呼びかける10月11日の国際ガールズ・デーにあわせて、身近な広告でジェンダーがどのように描かれているか、ユース(15歳~24歳の若者)が広告からどのような影響を受けているか、広告でのジェンダー(社会的性別)の描かれ方に関する意識調査を実施しました。

その結果、41.8%が広告に不快感・違和感をもったことがある、そして日本で「ジェンダーの固定観念を打ち破る広告を見たことがある」人は29.9%に留まりました。ユースからは、「『女性らしさ』『男性らしさ』といった固定観念を助長するのではなく、ジェンダーの固定観念を打ち破る広告が、日本において増えてほしい」というコメントも寄せられました。

広告は幼少期から目にするため、考え方や行動への影響がこのように非常に大きいことから、子どもの人権に取り組むセーブ・ザ・チルドレンでは、「子どもに影響のある広告・マーケティングに関するガイドライン」を公表しています。

どんなCMを見たいですか?

私たちが商品やサービスを選ぶとき、もちろん質の良さは選択基準のうちの大きな要素です。しかし、それに加えて、企業が発する社会に対するメッセージに共感するとき、その商品を手に取るのではないでしょうか

BLMに関して、傍観者から一歩踏み出すことを呼びかけるP&GのこちらのCM、私自身、とてもエンパワーされ、心に響きました。日本では残念ながら見かけないですが、ぜひ、見てみてください。

差別を許容せず、ダイバーシティの促進へのアクションを正面から投げかける、そんな内容こそが、ビジネスと人権に関する指導原則の理念を反映するCMとして求められています。

Social Connection for Human Rights/佐藤暁子



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