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上司が身に着けておくべき、現場で起こる課題の解決手順

「(現場で)困ったことが起こっているので相談させてください」

私は障害者支援の仕事をしながら、企業に対して障害者雇用における困りごとを解決するための研修やコンサルティングの仕事を行っています。

その中でよく人事から相談を受けるのが「障害者を雇用している現場の管理者が対応に困っているので、何とかしたい」という内容です。

特に最近では精神障害、発達障害を持った社員の対応で相談をもらうことが多く、その内容は

・体調が安定しない
・コミュニケーションがうまく取れない
・攻撃的な発言や態度を取られる
・仕事でミスが多い

などの「問題行動」があるというものです。
人事にはこういった現場の声が頻繁に上がってきます。

中には現場で対応しきれないので、人事で何とか解決してほしいという相談があり、人事担当者もその問題を解決しようと必死になっていることもあります。

しかし、人事には会社の法定雇用率の達成(法律に定められた障害者を一定人数以上雇用する義務)という責任があるため、一人でも多くの障害者を雇用するためには、こういった問題を解決していかないと、雇用が進まないと悩んでいるのです。

ではこういうケースは実際どのように解決すればいいのでしょうか?

結論から話すとやることは2つしかありません。

1.今起こっている問題を何とか解決する
2.起こった出来事の原因を分析して、再発しないように仕組み化する

この2つを徹底してできるかどうかにかかっています。

私はこの2つを「何とかする仕事」「仕組み化する仕事」と呼んでいます。

言われてみれば当たり前だと感じると思いますが、実際にはこの2つを行えている現場はあまり多くありません。

殆どの場合は「何とかする仕事」だけで終わっていて「仕組み化する仕事」を行っていないので「問題行動」が再発しています。

例えば、ある社員の体調不良が恒常的に続いていて、その社員に仕事を振っても会社を休んだり、遅刻早退があるのでなかなか重要な仕事を渡すことが出来ずに困っているとします。

原因を確認してみると、以前ミスをしたときに周りの同僚から冷たい態度を取られたことで「自分は周りの人に迷惑をかけている」「自分はこの会社でお荷物になっている」「周りの人は自分のことをいらないと思っているに違いない」と思うようになり、それを気にするあまり体調が悪くなったというのです。

このケースを解決するためにはどうしたら良いかと言うと、まずは今の状況を「何とかする」しかありません。

例えば、その周りの同僚が実際にはどう考えているかをヒアリングし、本人に理解できるように伝える必要があるでしょう。もちろんすぐには受け止められないかもしれませんが、ここは根気強くやるしかありません。

「何とかする仕事」にミラクルは殆どありません。
地道に根気強く行うことが最善の方法なのです。

他にも業務量を調整するとか、かかりつけの主治医に診てもらい、会社としてもその意見を聞くなどの対応があります。

そして少し体調が回復してきたら、次に行うことは「仕組み化する仕事」です。

ここでは課題を分析する目が必要になります。
この問題行動の本当の原因は何かを特定しなければいけません。

先の状況を見るとあたかも周りの同僚の言葉遣いや態度が原因のように見えます。しかし実際の原因はそこではありません。
(もちろん、本当に言葉や態度が悪い人もいるので、その場合はその同僚の態度を改めさせる必要がありますが、多くの場合は同僚はそんなに悪い態度はとっていないものです)

本当の原因は「ミスが起こりやすい環境設定」の可能性があります。

例えば、その人がミスをした本当の原因は「指示が口頭だけだった」「仕事の完了までのプロセスが明確ではなかった」「自分が分からないときに、質問できる体制がなかった」「周りの音が気になり、集中力が下がっていた」などの可能性があります。

こういった状況があって、本人は不安な状態で仕事をしていたので、気を付けてはいたけどミスをしてしまったのかもしれないのです。

であれば、行うべきはその人に指示を出すときに、例えばメモを必ず取らせるとか、もしくは上司が指示を出すときにメモを使って指示を出してあげることは効果的な方法です。

言葉だけでのコミュニケーションは「短期記憶」や「(瞬間的な)文脈理解力」が問われるので、これが苦手な人からすると口頭指示はリスクの高いコミュニケーション方法なのです。

他にも質問をしやすくする環境設定もあります。
例えば質問の時間を午前と午後に必ず10分ずつ設けて、そこで一度会話をする時間を取るのも良いでしょう(もちろん本人が質問が無ければその時間をスキップして構いません)

このように本人が本当に困っていることを「仕組み化して解決」することで、問題行動を最小化していくことが出来ます。

そして、この職場の改善は最初は大変と感じるかもしれませんが、それは最初だけで、実際にはそれほど多くの時間は必要としませんし、それほど多くのパターンもありません。
問題が起こってそれを解決する労力に比べたら圧倒的に少なく済みます。

この「何とかする仕事」と「仕組み化する仕事」を上手に組み合わせることで問題行動は減っていき、心身とも健康的に働きやすい職場に近づいていきます。

そしてこれは障害者の対応だけに限った話ではありません。
もしあなたの職場で何か問題が起こっているのであれば、この2つの仕事を行って、健康的な職場づくりを目指してみてください。

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