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僕は障害者雇用の成功モデルになる~第2話~


Aさん柔和な笑顔がよく似合う誠実そうな印象の男性だった。
でも久しぶりの面接にかなり緊張している様子で、汗をハンカチで一生懸命ぬぐっていた。
「まじめな人なんだろうな」
私はAさんに対してそんな印象を持った。

少し雑談をした後に私はAさんに今回の就職では何を目指しているかを尋ねた。

私はこれまでに数百人と面接を行ってきたが、実はこの「自分がこれから仕事を通して何を目標にしているか」を聞くことは会社との相性を見るうえでとても重要な質問だった。
なぜなら会社は未来に対して目標を掲げて日々仕事を行っているので、会社の目指す方向性と、個人の目指したい方向性がある程度合致していなければ、その時点でミスマッチになってしまう。
これは障害者雇用でも一般雇用でも面接官が持っている重要な視点だ。

Aさんは「そうですね、私はこれまで妻や主治医、地域の支援機関の方たちにとてもお世話になってきました。特に妻には心配もかけさせてきたので、妻に恩返しをしたいという気持ちはあります。ただ私は仕事を通じて誰かの役に立ちたいと思っているんです。私は障害者かもしれないけど、誰かに何かしてもらいたいのではなく、私も誰かに何かしてあげたいのです。もう一度それが出来るようになることが自分が働く目標だと思います」と話してくれた。

Aさんからその言葉を聞いたときに私は彼が仕事に対して最も重要な考えを既に持っていることが分かった。

働く理由は人によって様々ある。
特に障害者雇用枠で仕事を探している方の中には、自分の体調に配慮がきいた環境で働きたいという希望や、自分が得たい収入に強いこだわりを持っている人は多い。もちろんこれは大事な視点なので、持っていて当然だ。

しかし、仕事をする上ではやはり誰かに貢献したいという「利他」の気持ちを持っているかどうかは重要なポイントである。これがないと、仕事をする上で自分の取り分ばかりを気にしてしまい、仕事の中身ではなくて、自分がどれだけ受け取れているかという利己的な要素を重視してしまう。

これだとなかなか自分の仕事の質や量に目を向けにくいため「利他」の気持ちを持っているかどうかは重要な判断軸になる。私はこの会社は障害のある人達が、社会に貢献できることを実感できるような会社にしたいと考えていた。

私はAさんの言葉に大きく頷き、彼の誠実そうな人柄に好印象を持った。

~第3話に続く~


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