時差と電話の間の夢遊病

昨日はアメリカに来てから一番旅行らしい日でした。
CCと一緒に海に行って、The breakersを観光しました。

バスの後部座席は揺れていましたが、道は広くまっすぐでした。
曲がりくねった日本に比べて、欧米の道路はいつまでも道に残っているような錯覚に陥ることがあります。

CCは、成績が優秀だった上に先天的な難聴があり、いじめの対象になった子ども時代のことを話してくれました。
精神的孤立から身体的暴力を受け、彼女が血を流して怪我をするまで両親はそれを知りませんでしたが、仕事が忙しくてそれを無視し、国内で高校を卒業するまでいじめは続きました。
誰でも親になれるわけではない、と彼女は言いました。
彼女の自己ケアの方法は、授業の余暇に育児関連の本を読んでみて、自分を自分の娘として育て直しました。
そして、中国を離れる前にこれまでの苦しみを母親に打ち明けました。
CCはいまだにいじめっ子を許せないと言っています。
決して許すことはできませんが、地理的な距離は彼女の親子関係を改善しました。

約140駅、2時間の往路で、私は彼女の成長ぶりを聞いていますが、彼女が安全に住める巣を作りつつあるのを見ているような気がします。
彼女は、誰かに傘を奪われたことがあるのに、雨の日には傘を渡すタイプです。
彼女の腕に手を回し、肩に頭を預けていると、久しぶりに神経の弛緩を感じました。

The breakersは崖のそばにあり、海を背にしていて、打ち寄せる波の音が絶えないことから名付けられました。
16世紀のジェノヴァとトリノをモチーフにした、イタリア・ルネサンス様式の建築です。
私たちはほぼ2時半かけて別荘全体を見て回りました。19世紀アメリカの有名なVanderbilt家族の避暑地として、贅を尽くしたThe breakersです。しかしそこかしこから、二階のテラスを通るときの、寒さのための白い煙のように、繁栄から衰退へと向かう時代の匂いがします。

料理得意のCCは、さまざまなタイプの食器やオーブンがあり、海に面しているここのキッチンが大好きです。
私の中で一番印象に残っているのは、モーニングルームのVanderbilt夫妻の像です。Vanderbilt夫人はドアの陰に、Vanderbilt氏は大広間に顔を向けています。

The breakersを出て、崖の上の海沿いの道をバス停に向かいました。
私たちの頭上を一機の飛行機が通り過ぎていき、曇りのアメリカ東海岸はどこか荒涼として見えました。

CCはある友人の話をして、その友人の彼氏は、この海域で兵役中で、すぐに三ヶ月間海上に浮いていて連絡が取れないそうです。
「彼女は、家庭的には幸せだったけれど、パートナーの精神的な支えが必要で、だから別れもあります。」

——誰かそばにいてくれる人が必要だったので、乗り換えることはさほど難しくありませんでした。サンとREはある人を愛しています、難しいですね。
恋愛経験のないCCはこう締めくくっています。
Sephoraで乗り換えて二回、CCは口紅を二本買ってくれました。鏡に向かって口紅を塗っている彼女の姿は、やはり頼りがいのある可愛い子供だと映っています。

ニューポートのベンジャミンにロブスターを食べに連れて行ってくれました。
私が両手でロブスターを全力でむいていると、彼女は向かいに座って顎をしゃくって言いました：やっと食べるようになりましたね。嬉しい。

食堂はますます明るくなり、窓の外の空は澄んでいた。
二時間も早く晴れていたら、The breakersのテラスの海はまた違った印象を持っていたかもしれません。
タイミングは、どんなときでも人の心に影響を与えます。

午後4時、私たちがイカフライにレモンをかけていると、レストランから大好きなPink Floydの曲が聞こえてきました。

How I wish, how I Wish You Were Here
We're just two lost souls swimming in a fish bowl
Year after year
Running over the same old ground
What have we found
The same old fears

私はロブスターの頭を片手で握り、手の甲を空けて目を覆いました。
CCは私が何を思い出したか知っています。

「あんなことされたんですから、忘れてください」

そうですね、忘れましょう。
心の中では何度もそう言い聞かせておきながら、行動ではついswarmをチェックしてしまう、ストーカーのようなものでした。東京は今何時なのか、何度も見に行きます。

彼が仙台に行ったことも知っていましたし、別れる前もswarmが他の女の子をフォローしてることも知っていました。

知っています、知っています。
ところが明け方、窓の前に鎌のような月が見えて海に浮かんでいるような気がしたり、2回目の睡眠薬を飲んでも眠気が出ず、心臓が掘り起こされてコンクリートに叩きつけられたような微かな痛みに耐えられず、彼のinstagramを削除する前に記した仙台での仕事仲間にメッセージを送りました。
他に好きな人がいるのか知りたいです。

そこまで愚かです!
自分が許せなくなりました。

昨夜の午前三時か四時、やっと彼に電話します。
電話で何を話したのか思い出せないのですが、薬が効き始めたようです。
ただ、まだ好きなのかと詰め寄ったことはおぼろげに覚えています。
自分がまた自分を卑屈なところに押しやったのがわかりました。

彼にしても、彼の友達にしても、本当のことを教えてくれるわけではないんです。男というのは、意外に団結していることが多いものです。

そちらは何時ですか、と最後に聞かれたのを覚えている。
朝の五時半頃でした。

——他の女の子からチョコをもらってはいけません。もらっても食べないでください。
——swarmの女の子を消してくれませんか。
——三行でもいいから手紙を返事してください。
──.....

電話を切ると、徹夜で今日の宿題に追われていたReがやってきて、私の枕に横になりました。

彼女は私に尋ねました「大丈夫ですか?」
——ええ、また彼と仲直りしました。

ブラインド越しに空が明るくなってきました。
REは言って、「サンはやはり自分を保護して、一部の人、はぎ取って見て、心がないのです。」

——日本に帰ってから、一緒にご飯に行こう。
──あの日の最後の電話で、慰謝料を払うのが怖かったんですか?
──いえ、実はあの日、サンの家に行ったんです。
——そうだ、京都の家では、一月のゴミがまだ出ていません。
——仙台からはいつ帰りますか？
——3月3日。

今はアメリカ時間22：21です。
もう一度メールとswarmをチェックしました。
その未明の電話、夢中遊行ですか