サンと影

A Chinese writer living in Japan with her poor Japanese。病気、愛と京都暮らしの日常。instagram:santokage | X:santokage2024

サンと影

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最近の記事

    • 谷川俊太郎と高畑充希の間

      instagram:santokage 谷川俊太郎の詩を好きになったのは、もう何年も前のことだ。 写真に写っている一冊は、コロナ禍の前、両親と東京を旅した時に立ち寄ったCOW BOOKSで購入したものだ。 若き日の谷川俊太郎が自費出版した写真詩集。 しかし、今日、2024年11月19日、スマホを開いて最初に目にしたニュースは、高畑充希の結婚報道だった。 彼女に好感を抱いたのは、大学時代の友人が彼女の大ファンで、「サンは高畑充希に似ている」と耳にタコができるほど言われたか

      • うつについて、この瞬間に思い浮かぶ

        instagram:santokage 秋は、美しくも儚い季節だ。 私の故郷には、秋にまつわる言葉として「秋老虎」や「苦秋」がある。どちらも、少し恐れや不安の響きを帯びた言葉だ。 Yとは、ある根本的なところで考えが相容れない。 彼は、うつ病というものを、精神科医が金儲けのために作り上げた虚構の病だと信じている。あるいは、暇で仕方のない人が妄想にふけってなるものだと考えているようだ。 「治らないなら、その薬を飲まなくてもいいんじゃない?」 以前、彼は無邪気にそう言い放った

        • Find a hand in the snow

          曇りの日、古い本を片付けながら、床に座り「grapefruit」を何年ぶりかに開いた。 15歳くらいの頃、狂ったようにYoko Onoに夢中だった。彼女の60年代の作品が特に好きだった。 それから、確か25歳のとき、東京のバーで彼女とJohn Lennonのポスターを目にして、誰かとまた彼女について話していた。隣の席の見知らぬ人が、「彼が働いていたレストランにYokoとSeanが来たことがあって、彼女はスタッフに対して非常に無礼だった」と言った。 なぜかそのとき、Yok

          植物人間

          眠れない どうしても眠れない 十夜を越えても まだ夜は深く 瞼の裏に浮かぶ夢も 遠く離れている サン 2024/11/05 03:43am

          帰国して十一日目

          今回、突然の帰省。けれども、結局のところ、両親の前で何があったかを正直に話すことはできなかった。 ちょうどよい言い訳もあった。日本の免許に切り替えるために帰国した、と。 それでも、至るところに巡らされた監視カメラ、いたる場所に掲げられたスローガン、どこまでも響く喧騒、大音量でスマホの音を流す人々、道端の煙草の煙――。そのどれ一つにも、心からの帰属感を覚えることはなかった。 苦しさを押し隠し、あたかも自分を植物人間のようにして、両親に車の後部座席へと乗せられ、親戚たちとの数

          帰国して十一日目

          パパ活

          昨晩の夢をぼんやりと思い出している。夢の中では、あまり親しくない女の同級生3人と、ギャルソンの黒いロングスカートを纏い、互いに巫女の化粧を施して、ハロウィンの日に旅行に行こうと約束していた。 街のあちこちを抜け、怪談パーティーを渡り歩くうちに、雲に届くほど高くそびえる階段の前に辿り着いた。その瞬間、背後の街並みが一瞬にして消えてしまった。 その階段は、かつて友人たちと中国の黄山を訪れたときに見た「百歩天梯」を思い出させた。旅行で心に残ったのは、美しい風景ではなく、体の芯ま

          猫と栗モンブランと鬱気分

          インスタ:santokage 午後、友人とモンブランを食べに行く約束をしていたので、彼女を失望させたくなくて、仕方なく外へ出かけることにした。 心のどこかで、以前住んでいた北白川の家の近くにあったケーキ屋が恋しくなっていた。あの時はまだ熱愛最中だったからだろうか、空気さえも甘く感じられた。 記憶の中では、その店の季節限定の栗のモンブランが、今まで食べた中で一番美味しかった。 店を出ると、路面は雨に濡れていた。一度の雨と、次の雨の合間に、鴨川沿いを少しだけ歩いた。 そこ

          猫と栗モンブランと鬱気分

          東京失恋日記|10月16日

          散歩の途中、教会へ行った。 一人で長い間座り、ぼんやりとしながら、光の移り変わりを眺めていた。 しばらくして、黒いワンピースの女性が来て、その後、白いシャツを着たおじいさんがやってきた。 皆、遠く離れて座り、十字架を見つめていた。 愛しているのに、許せない。 これは、人間の小ささと愚かさを証明するためなのだろうか? 教会の外、聖母マリアの像の隣には、満開のキンモクセイの木があった。 携帯の充電のため、教会の向かいにある、洋服店と併設されたカフェに入った。期待せずに注文し

          東京失恋日記|10月16日

          東京日記

          写真はinstagramまで 熱海の旅行を終えた時、突然感情が崩れてしまった。 仕方なく、東京に住む友人に急いで連絡を取り、彼の家に泊めてもらうことにした。 10月13日 夜、渋谷駅に到着したとき、人の波に圧倒され、一人で改札を出ることができなかった。 トイレに逃げ込み、友人が迎えに来るのを待つ。 友人は京都の大学を卒業し、就職のために東京に引っ越してきたばかり。ここに住み始めたのは、ちょうど一週間前だ。 また彼が、自分だけの新しい生活の秩序を築いていく姿を見つめることに

          35歳独身|家を買う衝動?

          サン|A foreigner living in Kyoto instagram:santokage エネルギーが止まらないまま流れ出す木曜の午後、また一軒の家を見に行った。心の中にはまだ多くの疑問がくすぶっているのに、ただ布団の中に潜り込んで、そのまま眠りに落ちたいという気持ちしかなかった。 けれど、あの家の窓の形を見た瞬間、不意にカフェを開きたいという夢がよみがえってきた。 資料には「建築年不詳」とあり、やはり中はほとんど壊れかけのような状態だった。一階は店舗として

          35歳独身|家を買う衝動?

          緩急自在|18歳と35歳の京都デート

          instagram:santokage 今日は、ここ最近の中で最も気楽で楽しい一日だった。 屋久島のフェリーで出会った関東の子、レンとついに京都での約束を果たした。 私がよく通う韓国料理屋で会い、涼しくなり始めた10月の昼下がりに、湯気の立つ熱い昼食を楽しんだ。 最初は、彼女を連れて行きたい場所をたくさん考えていたが、結局は京都らしく、気の向くままに散歩することにした。 その無目的な歩みの中で、新しい発見があった。 例えば、いつも通り過ぎるだけで入らなかったカフェ

          緩急自在|18歳と35歳の京都デート

          京都|カップル割り勘について、40代居酒屋マスターの一言

          「最近の若い人たちは割り勘を信奉しているけど、反論されると『男女平等だ』って言うんだよね。まるで君の元カレみたいに。俺はそれってずるいと思うよ。本当に責任感のある男なら、家で食パンをかじってでもクレジットカードを切って彼女のために支払うのが当たり前だろ?俺はあいつらに一言聞きたいんだ、男が妊娠するリスクってあるのかい? もし子供を産むとしたら、その苦しみを味わうのは女性だ。産まない選択をしたら、堕胎の苦しみを味わうのも女性なんだからな。」 そして彼はこう続けた。 「落ち込

          京都|カップル割り勘について、40代居酒屋マスターの一言

          京都LURRA°|中国南方の村とのつながり

          仕事の関係で、先輩に招かれて美しい食事をいただきました。燃える薪の香りが、幼い頃、祖母の家で過ごした夏休みを思い出させます。中国南部の小さな村で、受験勉強の果てしない補習から一時的に解放され、質素な料理や川、そして山の風景だけに囲まれていたあの頃。 故郷を離れ、家族と別れ、日本で一人暮らしをし、世界中を旅しながら、生活の困難に直面し、無力感や絶望感を感じる時、祖父が運んできた薪や、祖母が竈の前で火をくべていた炊煙の匂いやその光景を、より一層懐かしく思い出します。 ここ数週

          京都LURRA°|中国南方の村とのつながり

          35歳の誕生日、独身の選択

          昨日、35歳の誕生日を迎えました。 34歳の最後、屋久島への旅の途中、思いも寄らず別れを選ぶことになりました。別れを切り出したのは私でしたが、感情は波のように押し寄せ、生理的な痛みが何度も胸を打ちます。今、私は自分に言い聞かせています――私たちは何も間違っていない。ただ、価値観の違いがあまりにも大きかったのだと。長い痛みよりも、この短い痛みを選ぶことが、きっと正しい選択なのだと。 彼は「まだ愛している」と言いました。私も同じ気持ちです。それでも、鹿児島で別々に旅をしようと

          35歳の誕生日、独身の選択

          国際カップルの京都暮らし|久しぶりのツーショット

          木曜日の朝、彼の試験に付き合うため、郊外へ向かうことになった。こんなに早く起きるのは本当に久しぶりだ。京阪電車の中で慌ただしく動く人々を眺めながら、なんとなく自分がまだ恵まれているように感じた。寝不足で目が重いけれど、駅近くのカフェでのんびりと朝食をとることができるからだ。 時間はまだ9時40分。カフェの開店は10時。店の前で待っていると、炎天下の中、青空と白い雲の下を電車が次々と駆け抜けていく。その光景に少し目眩がしながらも、またあの疑問が胸に湧き上がってきた。「人として

          国際カップルの京都暮らし|久しぶりのツーショット