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私の親愛なる、黒人の友へ。

私が初めてあなたに会ったのは、何年前だっただろうか。

あなたは、アリー(私の日本人のいとこ。noteではこの名で呼ばせてもらう。)
の婚約者として、家族、親戚一同に挨拶をするために日本に来た。

あなたが来ることを、アリーの両親から話を聞いていたし、正直に書くと、親戚中が『どうして黒人なんだろう。」と困惑していることを私は知っていたんだ。

でも私は、アリーの選んだ、愛する人に会えることがとてもとても楽しみで、しかも、

外国人と英語で会話が出来る!!こんな機会って、道を尋ねられるくらいで、他にないじゃない!

と、頭の中はその事でいっぱいで、相当舞い上がっていて、スキップしたいくらいだった。いや、スキップをしたんだな。

【お食事会】まで私は、私のhusband→スペル間違ってないよね?
に英語を教えてもらって、自己紹介を英語と日本語でノートにまとめた。

覚えているでしょ?あの時のこと。

後からアリーの両親から聞いたけど、あなたはとても緊張してたのよね?
自分が、受け入れてもらえるかって。

案の定、人見知りで群れることが好きな日本人の親戚たちは、アリーからあなたを紹介してもらってから、あなたの近くに座ることなく、飲んだり食べたり話したりしてた。

あなたの表情は寂しそうだった。

けど私は、ラッキー!って思ったよ。
だって、私にだけ話す機会がある、ってことだから。
マンツーマンの英会話教室みたいだったよね。

私は、あなたに向かって「Hello!!Nice to meet you!」と、『THE Japanese English』みたいな英語で挨拶をして、テーブルを挟んであなたの前に座って、ノートに書いてある『私について』、そして、『あなたへの質問』を読んだの、一方的に。
えーと、ノート6、7枚だったかな。

一気に読んで、「Thank-you」と微笑みながら、テーブルの下に隠れていた、あなたの手を引っ張り出して握手したの。

アリーとあなたは、私の顔を見てビックリしてたけど、私は嬉しさと達成感で大満足だった。

で、他の人たちも呼ぼうと、私が席を立とうとしたら、呼び止めてガッツリ私を英語で質問攻めにしたよね。当たり前か、こちらから質問しておいて、答えも聞かずに去ろうとしたんだから。

私は、その時間がとても楽しかった。
しゃべり足りないくらいだったよ。

その日のことを、あなたがアリーの両親に話したことを、私は教えてもらったんだ。

『自分が、受け入れてもらえるか不安だった。食事会に行ったら、やっぱりみんなが自分のところに来てくれなかった。
でもひとりだけ、臆することなく、普通に話しかけてきた人がいた。楽しい時間を過ごせたし、そのことがとても嬉しかった。僕は忘れない。』と。

こちらこそ、そんなふうに思ってくれていて、とても嬉しいよ、ありがとうだよ。

でもさ、遠い国からせっかく来てくれて、親戚になるんだよ?
私は、当たり前のことをしただけ、というか、いつも通りに話をしただけなの。
あなた以外にも、私の親戚には外国人が数人いるけれど(私に『陽気な日本人』てあだ名つけてるみたい)、私にはどこの国の人だとか、白人とか黒人とか関係ないのよね。
みんな同じ。一緒。
むしろ、色々な人たちと話をしたい。

よく知りもしないのに、何かが違って、差別したり偏見持つのは、私は好きじゃない。
自分が、『差別と偏見』ということを経験しているからかも、この国で。

毎年日本に遊びに来てくれて、色々なところに遊びに行ったよね!
私が病気になってからは、会ってお話するだけになっちゃったけど。

お互い、大学時代に心理学を学び、同じような職業で、自己主張するところが似てるよね。
日本では、学べないようなことを教えてくれるから、とても楽しいよ。
たださ、通訳がいないと困るんだけど。

あなたはさ、最初に会った時から変わってない。いい意味でね。
いつでもとにかく優しいよね。
人の心の痛みが、きっとわかるんだと思ってる。

その優しさは、今思い出しても涙が出るのだけど、私が病気になってからも、普通に接してくれる。私はそれが嬉しいの。中にはさ、腫れ物に触るように接したり、離れて行った人もいるから。

アリーの結婚相手が、あなたのような人でよかった。

それから、子供たちも可愛いし、楽しいし、優しいよ。

私が、「病気でしょっぱいお菓子を食べられないの。』と話したら、
「じゃ、病気が治ったら一緒に食べようよ。』って言うの。治らない病気だなんて言えなくなったよ。

あー、また涙が溢れてきた。その時も泣きそうになったけど。

そっちに帰る時にもさ、「手を出して。」て言うから手を開いて出したら、自分たちの大事にしているオモチャの一部分を、私の手のひらに乗せて「これ、あげるから。」って、意味わかんないけど綺麗な色の輪ゴムくれたよ。

私は決めていることがあるんだ。
アリーとあなたの子供はハーフなんだけど、この先もしかしたら、あなたの国で辛いことがあるかもしれない。
その時に、あなたたちの子供たちの、日本での居場所になろうと思ってる。いつでも来られるように。

通訳もしてくれるし、英語も教えてくれるから、いつでもwelcomeだよ。今は会えないけどね。

あなたたち家族が優しくしてくれるから、余計なお節介かもしれないけれど、私からのほんの小さな恩返しかな。

でも1番の理由は、あの子たちが大好きだから。
一緒に遊んでいると、自分が病気であることを、忘れるほど楽しい。
容赦なく、私に正しい英語の発音を教えてくれるしね。

って、そのためには私は生きていなければいけないんだけど。

あ!思い出した!
その発音の話なんだけど、『ペットボトル』と『ボルヴィック』の発音を、何回も練習させられて、全然OKが出ないから、私が
「もういいよ。この発音でいいよ。」と言ったら、彼らは、「『もういいよ、これで。』なんて言っちゃだめなんだよ。」って言われたっけ。
正論すぎて、「すいません。」って謝ったよ。

あの子たちのおじいちゃんなんて、私のドイツ語の発音に呆れて、「もういい!その発音で!」って怒ったのにね。

大事なこと、書くのを忘れてた。
テレビのニュースで、『黒人に対する差別、暴行』を目にする度に、私はあなたたち家族のことが心配になるのだ。アリーも日本人だから、何らかの偏見や差別があるだろうことは知っている。

何事もないことを、いつも祈っているよ。

長くなったけど、私はあなたたち家族が大好きだ。ずっとずっと大好きだからね。

また会える日を、楽しみにしています。

☆このnoteを公開してから、「ナイストゥミーチュー」の誤字脱字があったので直しました。
読んで下さった皆さん、「ここ間違ってるじゃん!」と思いながらも、コメントにツッコミを入れたり、指摘することなく、あたたかく見守って下さったことに感謝します。
スルーして下さって、ありがとう。

ああ、あの子たちなら、「それ、間違ってるから直して。」と言いそう。

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