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干渉はしない、でも助け合う事は出来る

所用で今年3度目の佐渡へ。
諸々の用事については後日書く事になると思いますが…
今回たまたま行っている間にジャン・マルク氏のドキュメンタリー映画をを島内の小さな映画館で二日間だけ上映するという事を知り、急いで予約しました。

此方の映画館、建物は昭和10年代建造の木造平屋建てで、佐渡金山鉱山長の住宅として建造されたそうです。20名が定員。
ゆったりした1人掛けソファのような椅子に座っての鑑賞。初めて入りましたが、くつろげました。

ガシマシネマHPより

映画のタイトルは「ジャン・マルク=ブリニョと佐渡こと」

ジャン・マルク氏はフランスでナチュールワインの醸造家として有名な方ですが、シャトーを引き払い、佐渡へ移住してきたのがほぼ10年程前。葡萄の苗を植え畑で野菜を育てながら、主に奥様がお店も営んでいます。

以前お店に行った時のことを書きました。

映画の中での氏の語りには至言が散りばめられていました。

メモが取れなかったので聞いたそばから失念してしまう年齢の私と家人。録画したものを観ることが出来たとしたら、ノート片手に映画鑑賞するでしょうね。

私はフランス語が全くわからないのですが、言葉の音の美しさにうっとり。きっとフランス語が理解出来れば、字幕ではなくそのままの言葉の美しさに何倍も映画が素晴らしく思えた一本だったと思います。

干渉はしない、でも助け合う事は出来る

氏が佐渡の人々についての印象を語った言葉です。

氏が佐渡へ越してきた次の日、玄関を開けると野菜が置いてあったそうです。
葡萄やワイン産業が盛んな地方であれば氏の行為を奇異な目で見られることもないでしょうが、佐渡はそういった土地柄ではありません。
フランスからわざわざ、新潟からフェリーで2時間半もかかるこの地を選んでの移住はかなり土地の人から見たら理解不能な行為に思えた事でしょうが、それでも温かく迎えてくれるご近所の方々に感銘を覚えたそうです。
その後も葡萄栽培や生活様式を干渉されることなく、手助けが必要に見える時には手を貸してくれるスタンスはとても心地良いものだ、と語っていました。

この映画は佐渡の風景や人々にも焦点をあてていました。

佐渡の海はきれいなだけではありません。残念ながら砂浜によっては打ち上げられたゴミがかなりたくさんあります。それを絶妙なカメラワークで問題提議していました。
氏も自然と人間の関係をとても納得する言葉で語っていました。

佐渡に暮らす人々の中で、私も二度行っている蕎麦屋「茂左衛門(モゼム)」が出てきました。最近はBRUTUSなどにも取り上げられていて、知る人ぞ知るお店です。


ご主人の蕎麦打ちの様子を見る事が出来たのは幸運なサプライズでした。特に月一で蕎麦打ちをしている家人は自分との違いを食い入るように観ていました。
ご一緒に仕事をされている奥様もとてもチャーミングに映っていました。

この映画は今回が日本で初めての上映だったそうです。
監督も来日されていて、沢山の方が映画について質問されていました。

佐渡の砂浜や過疎の様子をどう感じるか、との質問に「美しさと哀愁」というような意味の事を答えていらっしゃいました。後から違う方に聞きましたが、佐渡は年間500人が移住してきているにもかかわらず、毎年4000人ほど人口が減少しているそうです。

今後金山が世界遺産に登録され、色んな意味で島にとって良い方向に進んでいく事をほとんどの島民が望んでいると思います。が、一方でこの映画が公開され、多くの人が鑑賞する事によって佐渡知名度やイメージアップをはかれるのではないかとも私は思いました。

大きな劇場は難しいかもしれませんが、先ずは東京などのミニシアターで公開されれば、ヴァンナチュール好きな方にもかなり反響があるはずだ、とも。
首都圏で公開が決まったあかつきには、メモを取れるように準備を万全にして鑑賞したいと思っています。

左下に監督にサインして頂きました

長文を最後までお読み下さり、ありがとうございました。

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