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無免許講師が往く、ドラム講義⑦<メトロノーム編>

一番大事なことをすっかり書き忘れたまま、第7回まで来てしまいました。メトロノームをつけて練習して下さい。昔ながらの振り子式メトロノームだなんて高価なブツは必要ありませんから、スマホ用アプリでも、耳掛け型のものでも何でも結構です。経験上、なんだかんだ消耗品だと思いますので、音が明瞭に聞き取れて、壊れてもすぐ買い直せる価格帯のものを選ぶこと。

もう半分壊れかけなのに、意地でも振り子式を使って練習する同期がいた。

アナログ好きなのか何なのかわかりませんが、無理して使い続けているのであれこれと問いただしてみたところ、最もらしい返答は一切帰って来ませんでした。変な癖が付く前に、デジタル式に移行しましょう。テンポを視覚的に捉える為だとか、予備動作込みで奏法なのだ、という考え方は確かに理解できますが。初学者には少し難しい領域だと思います。もっと先の工程。

まずは楽器に慣れること、基本的なスティックワークやフォーム作りに注力すべきだと考えます。さらに言えばテンポ設定も無理に60や120に拘らず、できるだけゆっくりなテンポからできるだけ細かい音符を鳴らしながら練習することをオススメします。具体的には、8分音符や16分音符。オフビートを意識してとか、円運動を感じながらとか。これももっと先の工程。

本講義お馴染みのキーワード、「大は小を兼ねる」がここでも炸裂です。

同じ練習メニューでも3分でこなせる人もいれば30分かかる人もいて。主宰の場合さらに重症で、3時間とか3日間とかかかるケースがほとんどでした。周りがすっかり呆れ返ってしまって放って置かれたくらいのタイミングで、ようやく「体に馴染んでくる」。要領が悪い分、浮かんだアイデアを隅から隅まで試せた。基本書にない自分専用のチェックリストが作成できた。

あくまでマイペースにやる。形式に縛られず、速いテンポで誤魔化さない。回り道はすればするほど良いですね。不器用な人の気持ちが理解できるようになるのって、あながち悪い感覚じゃありません。「身体に馴染んでくる」までトライアンドエラーを繰り返しましょう。ただ、マイペースな練習にもブレない軸が必要。そこで活躍するのがメトロノームだという理屈です。

できるだけ沢山の音を鳴らして練習するのが吉。

拍感やタイム感を養う名目で無理に2分音符だけ鳴らして練習してみたり、偶数拍だけ音が鳴るように設定してみたり。楽器を始めた当初の段階から、こういうことをやってみる方が主宰の身の周りにもいましたが、正直あまり意味を感じなかった。音を鳴らさないことで「頭の中で鳴らす」という余分なワンステップが加わってしまい、貴重なメモリが割かれてしまう。

主宰は基礎練習というものを大きく二つの側面から捉えています。一つは「基礎力の向上」これは言わずもがな、もう一つは前述した通り「チェックリスト」としての役割です。楽器や演奏に慣れてくればくるほど後者の側面が大きく作用する、そんな気がしています。その日の調子やコンディションを測るバロメーター。体温計として、回復食としての役回り。

鳴らしておくだけ鳴らしておいて、聞く/聞かないを使い分ければ良い。

苦手分野の練習ほど細かいパーツ毎に分けて行う。それと同じ要領で、小節や拍をなるべく細分化して考える癖を、なるべく早い段階からつけておく。これから先を見越してやっておきたい下準備の一つ。音の強弱を細かく設定可能なメトロノームも最近多いですし、煩わしいと感じたら強音部分だけを聞いて練習するだとか。使い方もあなた好みにカスタマイズしましょう。

例えば難しいフレーズに出会った時。テンポはそのまま、尺を2倍に伸ばしどこで詰まってしまったのか検証してみるというのもアリですね。16分音符フレーズなら8分音符フレーズに置き換え、実質半分のテンポで叩き始めてみる。「できるまでやる」のは一見美しいことなのですけど、あまり一方向なやり方に固執せず、柔らかいアタマで課題に取り組んでみると良いかも。

次回から待望(?)の基礎練習編。そのために沢山、種蒔きしときました。

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