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美しく生き自分で自分を幸せにするガイドブック

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十三話 幸せも不幸も伝染する

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十三話 幸せも不幸も伝染する

幸せも不幸も伝染する

震えが止まりませんでした。あまりにもブルブル震えるので、両手で自分の体を抱きしめ、震えを止めようとしたほどです。
こんなはずでは、ありませんでした。
わたし達の人生は、こんな風にいくつもの「こんなはずでは、なかったのに」が積み重なり、今になっているのかもしれません。

こんなはずではなかった・・・・・・苦さを噛みしめながら、まだ震えの止まらない手で筆を取り、秀吉に手紙を書き

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十二話 人を呪わば、穴二つ

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十二話 人を呪わば、穴二つ

人を呪わば、穴二つ

秀次が関白になったことで、茶々様の中に危機感が生まれたのでしょう。
茶々様が秀次に秋波を送るのを見て、秀吉は男として奮起したようです。
また頻繁に茶々様のところに、通い始めました。
それこそが、まさに茶々様の思うツボだったのですけどね。
どうして男には、わからないのでしょう?
同じ同性である女には、女のやり口が見ていてよくわかります。

いますでしょう?
同性に好かれない女。

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十一話 あなたはまだ、あきらめていない

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十一話 あなたはまだ、あきらめていない

あなたはまだ、あきらめていない


天正十九年は秀吉にとって、鶴丸様以外にも大切な人達を失った辛い一年でした。
この年の一月、相談相手であり唯一彼に進言できた、弟の秀長が死去しました。彼の死は、わたしにとっても大きなショックでした。
二月は、相談役でもあった茶人千利休を切腹させました。わたしも千利休とは面識があり、何度も秀吉に彼の切腹を止めるように言いましたが、彼は頑として耳を傾けませんでした。

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十話 子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十話 子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

茶々様の城に戻った鶴丸様の熱はなかなか下がらず、ずっと寝込んでいます。犬猫もそうですが幼い時は男の方が弱い、と言いますね。まさにその通りですね。鶴丸様は豊臣の後を継ぐ大切なお子ですから、心配です。
鶴丸様に何かあれば、秀吉は半狂乱になるでしょう。
そんな秀吉は見たくありません。そのためにも鶴丸様に早く良くなってもらわねば、とわたしは固く目を閉じ、祈り続けま

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十九話 生母と聖母

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十九話 生母と聖母

生母と聖母

天正十八年、秀吉は最後まで残っていた北条氏との決着をつけるため小田原に向かいました。
後に小田原征伐、といわれた戦いです。
この戦いで秀吉は、難攻不落として名を響かせた小田原城をぐるりと取り囲みました。
北条はこの城に絶対的な自信を持っており、城を死守する考えでした。
これに対し秀吉は、得意の長期戦で兵糧攻めに持っていく作戦でした。
じっくり腰を据え、北条氏が頭を下げるのを待っている

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十八話 人は心の拠りどころを求める生き物

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十八話 人は心の拠りどころを求める生き物

人は心の拠りどころを求める生き物

茶々様の妊娠は、秀吉に喜びと活気を与えました。
秀吉は「よくやったぞ、茶々」の感謝を込め、山城淀城を茶々様に与えました。
この城に茶々様が移って以降、茶々様は世間から淀様と呼ばれるようになりました。
わたしの中では相変わらず、茶々様ですけどね。
口さがない世間は
「愛人に子どもができて、正妻の寧々は肩身が狭かろう」
と言っているようです。

「北政所様、くやしい

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十七話 人は案外、自分の強みに気づきません

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十七話 人は案外、自分の強みに気づきません

人は案外、自分の強みに気づきません

秀吉は望み通り茶々様を、手に入れました。
彼が三十歳も年下の茶々様に望んだものは、自分のDNAを受け継いだ子どもです。
茶々様の中に流れる浅井家と、信長様の織田家の血筋。
そこに自分のDNAを入れた豊臣の跡継ぎを強く望んだのです。
もしお市様を手に入れていたら、お市様に望んだでしょう。けれどその野望は、叶いませんでした。

信長様からいただいた秀勝を跡継ぎにす

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