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美しく生き自分で自分を幸せにするガイドブック

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2020年6月の記事一覧

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第一話 女としての幸せは、あきらめることになる

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第一話 女としての幸せは、あきらめることになる

女としての幸せは、あきらめることになる

結婚は親が決めた相手とするものだ、と思っていました。
そういうものでしたよ。この時代。
恋や愛・・・・・・そんな浮ついた気持ちではなく、生きていくための家と家のつながり。
それが「結婚」でした。
けれどわたしは秀吉、いえ当時は藤吉郎という名でしたが、彼に恋をしました。
わたしは14才でした。

きっかけは信長様が鷹狩の帰り、わたしの義父の屋敷に寄ったことで

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第七話 女には女でしかできぬ戦がある

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第七話 女には女でしかできぬ戦がある

女には女でしかできぬ戦がある

愛する我が子を失った秀吉は、戦への気持ちを駆り立てられました。
信長様の命で毛利氏の支配する中国攻めを申し付けられ、播磨、丹波を押さえ着々と勝利しました。
毛利氏との戦いに向け、秀吉優位で進んでいましたが、内部分裂により中国攻めは一時中断することになりました。
そしてこの時、秀吉は信長様から信長様のお子様を養子としてもらい受けることになったのです。

実はこの話し、

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第六話 世間なんて、くそくらえ!

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第六話 世間なんて、くそくらえ!

世間なんて、くそくらえ!

信長様の諫めにより、一度は浮気の虫を封印した秀吉でした。
ところが信長様から手紙を頂く前に、側室を囲っていたことがわかりました。しかもその側室に子どもが生まれていた、というではありませんか!
秀吉はわたしがまた信長様に何か言うのを怖れ、ずっとわたしに隠していました。
子どもですよ、子ども!!
ただの浮気ではありません。

よくもまぁ、ぬけぬけとわたしの目を盗み、耳を塞ぎ

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第五話 男は女より、プライドの高い生き物

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第五話 男は女より、プライドの高い生き物

男は女より、プライドの高い生き物

それから間もなく、藤吉郎はお市様の嫁ぎ先の浅井家と朝倉軍との戦いに先んじました。そしてこれを機に藤吉郎は名を羽柴秀吉、と改めたのです。
名前の由来は、織田家筆頭家臣の丹羽長秀様、柴田勝家様にあこがれ、そこから文字を頂いたわけです。
というのは、表向きの理由。
秀吉は周りから認めて欲しかったのです。
農民出身の彼は、他の家臣達から身分のちがいで低く見られていました

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第四話 わたし達夫婦の当たり前

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第四話 わたし達夫婦の当たり前

わたし達夫婦の当たり前

わたしの表の顔は藤吉郎の妻、彼と二人でいる時は彼の母親として裏の顔、という二面を持っていました。
夜、仕事から帰ってきた藤吉郎は、その日あったことを子どもが母親に話するように、無邪気に何でも話をします。わたしはそれを、うんうん、とうなづき微笑んで聞いています。
そこにある一人の女性の話が、たびたび出ることに気づきました。

「そりゃあ、もう、わしには別世界のような、とてつ

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第三話 わたしが、わたしを生かす

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第三話 わたしが、わたしを生かす

わたしが、わたしを生かす

それからわたしは、藤吉郎の母になりました。
毎晩、わたしは正座して城から帰ってきた彼の話や愚痴を聞きました。落ち込む彼の手を取り、背中を撫でて慰め励ましました。わたしは彼が元気よく過ごせるように心を砕きました。
同じ長屋には、彼の親友の前田利家さんと奥様のまつさんも住んでいました。
わたし達より先に結婚していた利家さんとまつさんは、わたし達の結婚の仲人になってくれました

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二話 これが、わたしから彼への愛です

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二話 これが、わたしから彼への愛です

これが、わたしから彼への愛です

この日の夜も城から帰ってきた藤吉郎は夕食を終え、そのまま寝ようとしました。わたしは今日こそは、と思ったので
「ちょっと、待ってください」と彼を呼び留めました。
彼の背中がビクン!と揺れました。

「聞きたいことがあります。
そこに座って下さい」

硬い声でそう言うと、藤吉郎は叱られた子供のように渋々わたしの目の前に座りました。単刀直入に聞きました。
「わたしは、あ

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