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Tree In Progress

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主に屋外で描く植物のドローイングを軸にした、「線を引く」ことから制作を再考する試み。 ドローイングを元にした銅版画も制作。 ‘23 5/6〜23柳沢画廊(埼玉県)にて個展。 同年…
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2023年5月の記事一覧

個展、千秋楽。

個展、千秋楽。

 個展最終日は寒い雨でしたが、それでも来てくれるお客さんもいました。
 最後の月火は作家が多かったとのこと。月曜日に会えなかった方々も。やはり行っておけば・・・と思いましたが、ちょっと疲労が溜まっていたのでのんびりしました。「のんびりする」というのをきちんと決めてとる勇気もいる。

 そして本日2週間ちょっとの会期を無事に完走しました。
 あり難いことに福岡への巡回も決まっています。
 柳沢さんと

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紙はまっさらな場?

紙はまっさらな場?

柳沢画廊の個展の2階にオーナーと共にレイアウトし飾りつけた小さなドローイングたち。
 全て、自分で染めた洋紙や和紙を各地へ持参し、そこで描いた作品です。現在進行形です。その場で描き始め、その場で描き終えます。
 中には実際にかなり古いレアな紙もありますが、ほとんどが自分が版画制作等で使用し、発表はしなかったここ20年くらいの、紙のハギレの裏側に描いています。

 私のオリジナルスケッチブックについ

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様々な年代のコレクターさん。

様々な年代のコレクターさん。

 今日は、浦和の個展会場へ行く前に、メッセージ拝受。昨日会場で見た作品を、二点並べて飾りたいとのことで、額装を相談させて欲しいという嬉しいご依頼。後日配置や額の大きさを相談予定。

 会場へ到着すると、昨日に引き続き、ご来場のお客様が多めで賑わっていました。

 個展「Tree in Progress」は無事最後の土日を終えました。
 週明け火曜日までで完走です。

「その絵が良い」と思う無数の道筋。

「その絵が良い」と思う無数の道筋。

個展も終わりが近づいてきたので、朝から撮影をお願いしました。

 今日はこれまでと打って変わってお客さんが多く、午前中から閉廊するまでほぼ途切れずにずっとお話をしていました。銅版画を欲しいと申し出てくださるお客様が、ポツリポツリと現れました。そして、今回の樹木のドローイング(1点もの)の出品作の中でも最大の、ノカンゾウをテーマに描いたものを気に入ってくれる方とも出会えました。感謝です。

 お客様

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柳沢さんの印鑑(手彫り!)

柳沢さんの印鑑(手彫り!)

 浦和、旧中山道から玉蔵院へ入る参道の入り口に、大正時代から続く深明堂印舗があります。現在も柳沢画廊内にて柳沢さんが全て手作りで彫ってくれます。

 以前から気になっていましたが、自分が個展を開催しているこの機会に、ひとつ作って頂く事にしました。会期中出来上がりを楽しみ待ちます。

 そして今日手渡されました。感激。

 複雑な画数の自分の氏名を、綺麗に篆書体で彫り上げて頂きました。書体はざっと相

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「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/刷り(雁皮刷り)

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/刷り(雁皮刷り)

 前回の動画で引っ掻いて作った版を刷る。
 動画の機械漉きのもの以外に、古い染みのあるロクタ紙(チベットの手漉き紙)に刷った特別版もあります。

作品のお問い合わせは柳沢画廊へ。

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

「荒れ地のヒマワリ」銅版画制作動画/ひっかく。

 金属板を直接削り、削った痕跡にインクを引っ掛けて紙に刷りとる技法をドライポイントと言います。
 マスキングし、腐食液で溶かす時間の長さによって濃淡が生じるエッチングとは違い、力の入れ方が濃淡に直結している感覚的な技法です。
 引っ掻いているところを動画で撮影してもらいました。力を込めるところは思いっきり体重をかけています。逆に抜くところはサラサラと擦るだけ。「描く」という感覚とは全く異なります。

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ジャズと植物のドローイングと

ジャズと植物のドローイングと

 浦和で開催中の個展、「Tree in Progress」
 オーナーの柳沢さんはジャズに造詣が深く、私のドローイングから浮かんだ曲をその時々に付け、インスタグラムに投稿してくれています。

林檎の樹と、デューク・エリントン「イン・ア・センチメンタルムード」

荒れ地のヒマワリと、クリスチャン・マクブライド「Little Sunflower」
これはぴったりのタイトルですね。

菖蒲の花と、Bil

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「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

前回の続き。
雁皮紙という極薄の和紙を、インクを刷る際に一緒に刷り上げる雁皮刷りという技法。

 まず雁皮刷り用の雁皮をカットする為の型紙を作ります。伸び率などもこの型紙で調整しておくことが出来ます。
 紙やインクを変えながら色々刷りながら試していきます。
 版を作ったら後は刷るだけ、という直線的な制作ではなく、刷りの中であれこれ試し、思いついたことを再び版の方にフィードバックします。

 今月2

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「樹の中で」銅版画制作動画/銅板の準備から下絵転写まで。

「樹の中で」銅版画制作動画/銅板の準備から下絵転写まで。

 銅版画を制作する際のアトリエを撮影してもらいました。
 3分クッキングの様なハウツー動画ではないです。その分実際の制作の速度や音、手触りのようなものが伝われば良いと思っています。
 カメラマンが信用出来る知人で、すぐにこちらの意図を理解し良いものを作ってくれました。

 続く

Exhibition in progress2/展覧会場が出来ていく過程

Exhibition in progress2/展覧会場が出来ていく過程

 例えば絵を飾る額や版画を刷る和紙を、作家は自分では作りません。
 作る人もいるけれど、その人も素材はお店に買いに行く。
 ゼロの地点というのは幻想ではなかろうか。
 どこからが自分の制作物かの明確な線引きは原理的に出来ない、そう私は考えています。
 そこには出会いや選択があり、様々な人や物事が糸のように、作品に織り込まれていきます。それを束ねるのが作者という人の役割。
 と考えると、やはり展示も

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