齋藤直人

(株)キュービックのWebメディア編集者。前職ではバイク雑誌の編集をしており、25歳~…

齋藤直人

(株)キュービックのWebメディア編集者。前職ではバイク雑誌の編集をしており、25歳~43歳まで「バイク業界・紙媒体ひとすじ」で過ごした後にWebに転向という、激変の編集者人生を送っています。現在はキュービックで主にFX(外国為替)メディアを担当中。愛車はヤマハSR400。

最近の記事

「つまらない」ことの大切さ

今日は丸の内にある出光美術館に行ってきました。というのも、ここで開催されていた『江戸時代の美術 —「軽み」の誕生』というテーマにとても興味が湧いたからです。 「軽み」。 いい言葉ですね。「軽さ」ではなく「軽み」。 日本の芸術・創作においては、この「軽み」がとても重要です。 江戸時代の画壇において絶大な影響力を持った狩野探幽は、絵画の心得として「絵はつまりたるがわろき」、つまり「絵の要素すべてを画面の中に描き尽くすのは良くない」「ゆとりや隙を感じさせるようにするべきだ」と

    • 円魔(えんま)

      FX(外国為替証拠金取引)における「円魔」という存在をご存じでしょうか。 端的にいえば、日本の個人投資家のことです。 かつて(…というか一昔前)、日本の個人投資家は「ミセスワタナベ」と呼ばれていたことがありますが、近年のトレーダー像とはイメージが異なることもあって、新しく命名されたのが「円魔」というわけです。 これは、為替ストラテジストの水上紀行氏の呼びかけで募集されたものの中から決まったそうで、言葉の響きどおり閻魔大王に由来し、「円の魔物・円の守護神」といった意味が込

      • 断酒1年を達成。そして…

        2021年1月12日からスタートした断酒生活。種類を問わず「酒に分類されるものはいっさい飲まない」生活に切り替えてから、めでたく丸1年が経過しました。そして1年経過後も、断酒生活を継続しています。 せっかく続けていることなので、振り返りなどを書いておこうと思います。 そもそも断酒をした理由1.健康診断で、肝臓系の数値(ALT)が悪化してきた 2.お腹まわりもたるんできた 3.年齢とともに酒に弱くなってきた 4.もともと、それほど強い体質ではなかった というのが主な理由な

        • いつの間にか献血の検査方法がちょっと変わってた

          以前にも書いたことがあるのですが、私、40代になってから「ゆるめのライフワーク」として献血に取り組んでおりまして、おおむね4~6か月おきくらいにコツコツと通っています。本日、たまたまショッピングモールに来ていた献血バスで「通算13回目」をしてきました。 そして、「血液検査の方法が変更になった」ことを知りました。 従来よりも献血のハードルが下がったんじゃないかと感じたので、知らない方のために解説しようかと思います。 これまでに経験がない人には意外かもしれませんが、実は献血

        「つまらない」ことの大切さ

          「あなたがそれを望んだからです」という恐怖に気付く異色のファンタジー

          『短くて恐ろしいフィルの時代』という、奇妙な小説を読みました(この作品はnoteの主催する「読書の秋2021」の課題図書にもなっています)。 重苦しいテーマを奇妙な世界観でくるんだ、疲れた日に見る夢のような物語。読み終わってしばらく考えてから背筋がひやりとする、そんな読後感のある作品でした。 (感想を書くにあたりネタバレを含みますのでご注意ください) 冒頭から明らかになる主題「ファンタジー世界に社会的なテーマを潜ませる」というのは、小説やアニメなどにしばしばみられる手法

          「あなたがそれを望んだからです」という恐怖に気付く異色のファンタジー

          とある腕時計に感じる愛着と使命感

          今から25年ほど前に、一本の腕時計を買いました。 シチズンの「インターセプター」というモデルで、値段はたしか2万円くらい。日雇いアルバイトの帰りに家電量販店に行き、その日の給料をそのまま時計に変えた、という感じで購入したのを覚えています。 当時の僕は、まさかオッサンになるまでコレを使い続けているとは夢にも思いませんでした。 感覚的には永久機関たしか当時は、シチズンが「エコドライブ」という光発電システムを採用して間もない頃だったと思います。 ・光さえあれば動き続ける(蛍

          とある腕時計に感じる愛着と使命感

          旅の効能

          「旅は人を賢人にはしないが、 物思いに耽るにはうってつけの時間だ」 誰の言葉かはわからないのですが、何かの本で目にして以来、ずっと心に刻まれています。 僕はこれまでの人生で、日本各地を旅してきました。 学生時代からバイクツーリングをしていましたが、「旅日数」が一気に増えたのはバイク雑誌の編集者時代。仕事というよりも、むしろライフワークとして旅に向き合っていたような気がします。旅は僕の人生において大きな影響を及ぼしているといっていいでしょう。 では、僕の「旅に出たい」と

          旅の効能

          インターネット登場による大変革と、『坂の上の雲』のあとがき

          司馬遼太郎氏の代表作のひとつ、『坂の上の雲』。日露戦争を描いた歴史小説としては、日本でもっとも有名な作品といってもいいでしょう。 まずはその『坂の上の雲』のあとがきから、いくつかの文章を引用させてください。 司馬氏は、明治維新の重要なポイントとして「庶民の大変革」に注目したわけです。僕は以前から、この司馬氏の書いた文章は「インターネットの登場」にも当てはまるのではないか…?と思っていました。 (何を言ってるんだこの人はと思うかもしませんが、どうかしばしお付き合いください

          インターネット登場による大変革と、『坂の上の雲』のあとがき

          「趣味は仕事にしない方がいい」というのは本当か

          タイトルのような言葉を目にしたことはありませんか。 「趣味を仕事にするのはやめた方がいい」 「仕事にすると、好きだったものも嫌いになってしまう」と。 僕は前職で、バイク雑誌の編集者をしていました。学生時代からバイクが好きで、その「好き」が高じてバイク雑誌の編集部に入ったので、まさに「趣味を仕事にした」当事者ということになるでしょう。 今回は、その当事者として「趣味は仕事にしない方がいい説」について語ろうと思うのですが、結論からいうと「少なくとも僕には当てはまらない」という

          「趣味は仕事にしない方がいい」というのは本当か

          FXを「車の運転」に例えてみる

          僕は現在、「エフプロ」というFX(外国為替証拠金取引)のメディアを編集しているのですが、皆様は「FX」というものに対してどんな印象があるでしょうか。 ネットのニュースなどで、FXが危ないものだと訴える記事・解説文を読んだことがある人もいることでしょう。そういった記事の影響もあってか、残念ながら世間では「怖い」とか「失敗すると大金を失う」といったマイナスイメージの方が強いのではないかと思います。 もちろん、FXはやり方によっては危険になることもあります。 しかしながら、そ

          FXを「車の運転」に例えてみる

          「酒をやめてみた」という話

          タイトルのとおりですが、お酒をやめてみました。 「量を減らした」とか「休肝日を増やした」とかではなく、完全な「断酒」です。種類を問わず酒を一切摂取しない生活に切り替えて、一カ月以上経ちました。 今のところ順調ですし、思うところがいろいろあったので書き留めておこうと、今回のnoteを記しています。 酒をやめた理由は4つほどあります。 1.健康診断で、肝臓系の数値(ALT)が悪化してきた 2.お腹まわりもたるんできた気がする 3.最近、酒に弱くなってきた 4.もともと、そ

          「酒をやめてみた」という話

          「年下に囲まれて働く」ことの幸運

          僕が働いているキュービックという会社には、若い人たちがたくさんいます。インターンも数多く働いていますし、20代の管理職というのも珍しくありません。社員・インターンを含めた全メンバーの平均年齢は20代であり、今年46歳になる僕はもう、社内の最年長クラスです。 当然、僕と同じメディアを担当しているメンバーたちはみんな年下ですし、僕の上司も年下。社長も年下です。ほぼ全方位を、年下に囲まれて働いていることになります。 「なんという幸運に恵まれているのだろうか」 最近、そんなこと

          「年下に囲まれて働く」ことの幸運

          爽快坊主

          頭髪がだいぶ薄くなったので、思い切って坊主にしました。 30代後半あたりから「ヤバい、始まったな」感があり、40代になってからは薄くなる一方。数年前から「いよいよ坊主にするレベルだな」と思い続けてきたのですが…。いざ実行に移すとなると、やっぱり抵抗を感じてしまうのも事実。 なんだかんだと「その機会」を引き延ばし続けてきましたが、もちろん、その間にもどんどん頭髪は薄くなっていく一方です。 「もういい! いくらなんでも、もう未練はないだろ!」 2020年の年末にそんな吹っ

          爽快坊主

          献血の効能

          「自分みたいな『しょーもない人間』は、 何か『世のため人のため』になっているのだろうか?」 40歳を越えたあたりから、しばしばそんな思いが頭をよぎるようになりました。特段、何かのきっかけがあったわけではないのですが…ときどきふと、そんなことを考える瞬間があるのです。 もちろん、仕事を通じて「役に立っているだろう」という思いはありました。しかし、そういう思いとはまた別のモヤモヤとでも言うのでしょうか。 世の中の人たちがみんな優秀に見えて(実際、僕が出会う方々はみんな優秀な

          献血の効能

          「40年前に流行したカルチャー」が受け継がれていることについて

          今日は、僕の経歴・人生において大きな意味を持つ「バイク業界」の話題を書こうかと思います。 皆様は、ライダーたちの間に受け継がれている「ピースサイン」という文化をご存じでしょうか。 バイク業界における「ピースサイン」とは、ツーリング中のライダー同士がすれ違いざまに交わす挨拶のこと。自然豊かなツーリングスポット周辺などでは、すれ違ったライダー同士が「こんにちは!」「今日の天気は最高ですね!」「安全運転でいきましょう!」などなどの思いを込めて、ハンドサインを出しあう文化があるの

          「40年前に流行したカルチャー」が受け継がれていることについて

          「凝り固まったイメージを解きほぐす」ために編集者がいる

          バイクとFX(外国為替証拠金取引)は似ている。 そんな主張を展開しても、多くの人が「???」という状態になってしまうことでしょう。しかしこれ、本当なのです。突拍子もないたとえ話をしているわけではありません。 18年間バイク雑誌の編集をし、転職を経てFXメディアを担当してから約2年。最近つくづく思うのが、「両者を取り巻く環境が似ている」ということなのです。 それに気付いてから「またこの戦いをすることになるのか…」と、因縁めいたものを感じています。 皆さんは「FX(外国為

          「凝り固まったイメージを解きほぐす」ために編集者がいる