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「40年前に流行したカルチャー」が受け継がれていることについて

今日は、僕の経歴・人生において大きな意味を持つ「バイク業界」の話題を書こうかと思います。


皆様は、ライダーたちの間に受け継がれている「ピースサイン」という文化をご存じでしょうか。

バイク業界における「ピースサイン」とは、ツーリング中のライダー同士がすれ違いざまに交わす挨拶のこと。自然豊かなツーリングスポット周辺などでは、すれ違ったライダー同士が「こんにちは!」「今日の天気は最高ですね!」「安全運転でいきましょう!」などなどの思いを込めて、ハンドサインを出しあう文化があるのです。

もちろん、お互い相手が誰だかはまったくわかりません。唯一わかるのは「相手もバイクに乗っている」ということだけですが、その点において共通しているのなら、挨拶する理由としては十分。

ライダーたちの間には、そんな文化が根付いています。もしかしたら観光地周辺をドライブしていて、そんな光景を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

(あ、冒頭からさんざん「ピースサイン」と書いてきましたが、指2本をV字に立てるものばかりではありません。「よっ!」という感じで手を上げたり、「いいね」のように親指を立てたり、敬礼のようなポーズをしたり、大きく手を振ったり…。要は気持ちが伝われば何でもOK。ハンドルから手を離せないときはペコリと軽く頭を下げることもあります)


この文化がはたしていつ頃始まったものなのか。そもそも自然発生的に生まれたものなのではっきりしたことはわかっていないのですが、どうやら全国的に普及したのは1980年代あたりのよう。

そして、なんと。

2020年の現在において、昭和→平成→令和という時代を越え、ライダーたちの間には、この文化がしっかりと受け継がれているのです。天気のいい休日にツーリングスポットを走っていると、若いライダーたちからサインを出されることも多く、感慨深いものがあります。

なんせ普及したのは80年代ですから、モロに「昭和の文化」ですよね。
「今は50歳を超えているオジサンたちが、20代のころに流行らせたもの」。そんな言葉で考えてみると「それ絶対に廃れるでしょ」という感じがしますが(笑)、これが意外にもちゃんと受け継がれている。不思議でもあり嬉しくもあり、妙な感覚です。


いずれにせよ、この時代において「廃れていないもの」に触れると、なぜだか心が少し温かくなります。強制されたわけでも保存運動があったわけでもなく、新しい世代が自ら選択して続けている。

「Twitterでバズった」「Youtubeの再生回数が…」などという枕詞とは無縁のカルチャーが、2020年において存在しうるという事実は、見方によってはけっこう斬新なことではなのではないでしょうか。

こういう現象を見せてくれるバイクの世界は本当に興味深く、あらためて僕の「生涯にわたるテーマ」であると思うばかり。現在の僕はバイク業界とは少々距離のある場所に立っていますが、これからも強い関心を持って見続けていこうと、ピースサインを交わすたびに思うのです。

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