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#短編小説

アマレットソーダ

アマレットソーダ

 一人でいることの良さを僕は知っている。誰にも邪魔をされずに、好きなことを好きなようにできる。最近は、バーで酒を飲むことを覚えた。今日も若いマスターは、爽やかな笑顔を見せながら僕に言う。

「アマレットのソーダ割り?」
「はい。それとミックスナッツもお願いします」

 先に出てきたミックスナッツの中からピーナッツを一つ手に取り口に運んで、カラカラとお酒を作るマスターの手元を眺める。氷の音と流れるよ

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けれど恋は、ゆっくりと、そして自分でも気づかないうちにぼくの心を侵略していった。

けれど恋は、ゆっくりと、そして自分でも気づかないうちにぼくの心を侵略していった。

念願だった。いまこうして、きみの隣にいることが。はじめてきみを見たとき、きみみたいな人と恋に落ちれたらいいなと思った。同時に、ほんとうにきみと恋に落ちるなんてありもしないことだとも思った。けれど恋は、ゆっくりと、そして自分でも気づかないうちにぼくの心を侵略していった。

何でもない大衆居酒屋の二人がけテーブル席に座る。一週間前から約束をしていたはずなのに、いま目の前にきみがいることが信じられない。

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さよならビターチョコレート

さよならビターチョコレート

仕事終わり、閉店間際の百貨店へ足早に向かう。毎年この季節になると、バレンタインフェアの催事が行われる。店内は、過剰なくらいに暖房が効いていて、チョコレートが溶けてしまうんじゃないかと心配になる。人気のチョコレートはすでに売り切れていたけれど、一つだけ4個入りの小さなチョコレートボックスがこちらを見ていた。

「これ、ください」

店員さんの「ありがとうございました」に「ありがとうございました」で返

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