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Liveに行きたい~くるり編~

 今回もコラム回。
世間の様子が依然として変化がない中で始めた音楽のコラムですが、多くの方々に閲覧、スキ!を頂いております。
画面越しの皆様と自分の好きな音楽を共有出来ると思うと毎回、嬉しい気持ちになります。有難うございます。

 こんなときだから音楽を共有しよう。


 さて、前回、前々回と個性的な女性ソロアーティストが続いたので、そろそろバンドを書こうと思います。
それではスタート。


 今回、紹介するアーティストは「くるり」。
私は、日本でも最も自由なロックバンドだと思う。 

 立命館大学に在籍していた岸田繁、佐藤征史、森信行の3人で結成、98年にデビューした京都出身のロックバンドである。
以降、大学時代の先輩にあたる大村達身、クリストファー・マグワイヤ、ファンファン、吉田省念などのメンバーの加入/脱退を経て、現在は岸田(V/Gt)と佐藤(Bass)のふたり組になっている。

 彼らの特徴は、何と言っても「多様性のあるロック」だと思う。
一言で言ってしまえば、彼らを通して様々なジャンルの音楽を聴くことが出来るのである。フォークソングや中東音階、クラシックやダンスミュージックなど、彼らがその時々で興味を持ったものを吸収してロックに変換する。

 上記で挙げている楽曲は、その中でも比較的王道なロックを選曲した。
彼らの音楽は、ガツンと来るような攻める音楽というよりは寄り添うような優しさを伴っていることが多い。だからだろう。スッと入っていける。

 また、彼らは俗にいう「98年世代」のバンド、その一角である。「98年世代」と言えば、他には昨年復活を遂げたナンバーガール、スーパーカーがある。

 個性のぶつかり合いと緊張感、そして向井秀徳が生み出す独特の世界観の爆発が魅力のナンバーガール。
 フルカワミキと中村弘二のツインボーカル。どこか憂いと儚さのある曲と透明感を伴ったバンドサウンド、また後期にはシンセサイザーを導入して幻想性を増したスーパーカー。

 結果論ではあるが個性の強い時代の中で、くるりは揉まれ、生き延びた。

上記のバンドには、それぞれのバンドにしかない個性があった。
くるりの場合は、それが多様な音楽を自分たちなりに消化して曲にすることだったのだろう。次の曲を聴いて欲しい。

「ワールズエンド・スーパーノヴァ」である。
 ロックにハウス、ダンスミュージックの要素を混ぜて生み出された本曲は、くるり最大のヒット曲になった。(Wiki調べ)

 私が初めてくるりを知ったのは、本曲だった。深夜に放送されていたヒットチャート番組の短い尺の中で、この曲は異彩を放っていた。というのも、その時代のヒットチャートに並ぶ音楽は、有名なバンドかアイドル、若手ロックバンドが多かったからだ。
 要するに、この曲のような音楽は真新しかったのである。

 どこか哲学的な空気があり、厨二病街道まっしぐらだった私のハートはイッパツで射抜かれた。モテる。これをやったら絶対モテる。そこまで思った。

 中学生のときに本曲目当てで『アンテナ』というアルバムを買った。
残念ながら本命の「ワールズエンド・スーパーノヴァ」は収録されておらず、代わりに先に挙げた「ロックンロール」が入っていた。(確認していない自分が悪い。本曲は『ワールズ・イズ・マイン』に収録)

 前述したが、実は「ロックンロール」の方が後の曲である。これには理由があり、本曲リリース後に加入した外国人ドラマー、クリストファー・マグワイヤの影響が大きい。彼が参加したアルバム『アンテナ』は、今までくるりが挑戦してきた音楽性を再び、海外の目線を入れて取り組んだように感じられる。
 このアルバムは本当に名盤であると思う。ドラムソロで花火の着火から終わり―—灰が落ちるところ―—までを表現した「花火」などは、もっと多くの方に認知されてほしい芸術性の高い楽曲だ。

 話を戻そう。本曲は、現在でもライブで演奏されることが多い。先日のFuji Rockでは演奏されなかったが、ライブ音源などはYoutubeで聴くことが出来る。気に入った方は、ぜひ聴いて欲しい。
彼らのライブ音源は、その時々のくるりによって違いが見れるはずだ。
時にバンド編成で、時にはオーケストラやビッグバンドを伴って同じ曲をアレンジを変えて演奏する。
そういう面白さも魅力のひとつである。



 さて、最後の曲である。
正直言って、もっともっと紹介したい曲がある。全く足りない。
私にとって、くるりの存在はそれだけ大きいのだ。
導入は先に挙げた二曲で充分だと感じている。


―――—あとひとつだけ。彼らの良さを伝えるならば……。
これは本当に難しいテーマである。
さて、どうしたものか……。




 私が最後に紹介するのは、やはり「奇跡」以外にない。
「Liberty & Gravity」、「東京」、「There Is (always light)」、「ワンダーフォーゲル」、「How To Go」、「ばらの花」など紹介したい曲は本当に多くある。
 だが、公式の音源として聴いたときに本曲以上が思い浮かばなかった。

 なお、このLive映像で参加しているギタリストは山内総一郎(フジファブリック)。私の好きな国内ギタリストのひとりだ。
マニアックな話になるが、本動画で弾いてるギター(ストラトキャスター)の使い手として国内で彼の右に出る者はいないと思っている。
 この曲でも彼の才能が遺憾なく発揮されている。

 本曲の良さは、全体を通して感じる風のような心地よさだろう。穏やかな陽に照らされた道をゆっくりと歩くような風景が見えてくる。ただ歩くだけでない。その中に紆余曲折があり、心の躍動が最後に待っている。
休日に聴きたくなる。くるりの優しさが溢れた、そんな曲だ。


  本曲「奇跡」の歌詞は日々の営み、すれ違い、そして最後に小さな幸せが身近なところにある「日常の尊さ」を唄っている。


  私たちが欲しがっている「いつも在った日常」が、この手に戻ってくるにはまだ時間がかかりそうだ。
その中で迎えた何度目かの休日。家にばかりいることは難しくなってきたことだろう。息抜きに周りを散歩する。サブスクで映画やドラマを観たり、ちょっと近くの公園へ……。それだけしか出来ないかもしれない。
 ただ、その中で小さな発見が待っていることを願って、この曲で今回は終わりたいと思う。







 最後にくるりを気に入ってくださった方々へ。
非公式のため、本コラムでは載せませんでしたが興味を持っていただいた方には、Youtubeで以下のキーワードで検索するともっと好きになるかもしれません。
「くるり ばらの花 小田和正」
「くるり 三連続」
「くるり 東京 百鬼夜行」



読んでくださった皆様に、小さな幸せや発見が訪れますことを願って。


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