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まいにち易経_0906【波動:共振共鳴の法則】同声相応じ、同気相求む。水は湿えるに流れ、火は燥けるに就く。雲は龍に従い、風は虎に従う。[01䷀乾為天/文言伝:第二節(人事)九五]

九五曰、飛龍在天、利見大人、何謂也。
子曰、同聲相應。同氣相求。水流濕、火就燥。雲從龍、風從虎。

九五に曰く、飛龍天に在り、大人を見るに利ろしとは、何の謂いぞや。
子曰く、同声相い応じ、同気相い求む。水は湿うるおえるに流れ、火はかわけるに就く。雲は龍に従い、風は虎に従う。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

皆さんは、蟻の集団行動について知っていますか?一匹の蟻は非常に小さく、力も限られています。しかし、集団になると驚くべき能力を発揮します。巨大な巣を作り上げたり、何倍もの重さの食べ物を運んだりするのです。これは、まさに今日お話しする「共振共鳴」の素晴らしい例えと言えるでしょう。

易経では、「同じ響きを発するものは共鳴し、同じ気を求め合う」と言っています。これは、人間社会においても同じことが言えるのです。例えば、皆さんが熱意を持って仕事に取り組んでいると、周りの人たちもその熱意に感化されて、同じように頑張り始めるということがあるのではないでしょうか。

また、「水は湿ったほうへ流れ、火は乾いたものに付く」という表現があります。これは、自然の摂理を表していますが、人間社会にも当てはまります。例えば、優れたリーダーのもとには、才能ある人材が自然と集まってくるものです。それは、その人のビジョンや熱意に引き寄せられるからなのです。

龍と雲、虎と風の例えも非常に興味深いものです。龍は中国の伝説上の生き物で、雨をもたらす存在とされています。そして、雲はその龍に従うというのです。これは、強いリーダーシップがあれば、それを支える力も自然とついてくるということを意味しています。

虎と風の例えも同様です。虎が吼えると風が起こるという中国の古い言い伝えがありますが、これも強いリーダーの行動が周囲に大きな影響を与えることを表しています。

ここで、現代のビジネス界の例を挙げてみましょう。例えば、アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズを思い出してください。彼の革新的なビジョンと情熱は、多くの優秀な人材を引き付け、世界を変えるような製品を生み出すことができました。これも、まさに「共振共鳴」の力だと言えるでしょう。

しかし、ここで注意しなければならないのは、単に強引なリーダーシップを発揮すればいいというわけではないということです。真のリーダーシップとは、周りの人々の心に響き、自然と人々を引き付ける力のことを言います。

では、どうすればそのようなリーダーシップを身につけることができるのでしょうか。それには、まず自分自身を深く理解し、自分の価値観や信念をしっかりと持つことが大切です。そして、それを周りの人々に明確に伝え、共感を得ることが重要になってきます。

また、周りの人々の声に耳を傾け、彼らの思いや能力を最大限に引き出すことも、リーダーの重要な役割です。一人一人が持つ潜在能力を認識し、それを発揮できる環境を整えることで、組織全体の力を大きく高めることができるのです。

ここで、もう一つ興味深い例を挙げてみましょう。オーケストラの指揮者について考えてみてください。指揮者自身は楽器を演奏しませんが、その存在によって、多くの演奏者たちの音が一つになり、素晴らしい音楽が生まれます。これこそが、リーダーシップの真髄と言えるのではないでしょうか。

易経の言葉を借りれば、「物事が成り立つ時は、必ず同じ志や方向性を持つ人や物が共振共鳴して、引き寄せられ、いっきにエネルギーが集中し融合する」のです。つまり、リーダーの役割は、組織の中に共通の目標や価値観を作り出し、それに向かって全員のエネルギーを集中させることなのです。

そして最後に、「その結果、個々の力では到底なしえないことが実現する」という言葉に注目してください。これは、チームワークの力を表しています。一人一人の力は限られていても、同じ方向を向いて力を合わせれば、驚くべき成果を上げることができるのです。

皆さんは、これから様々な場面でリーダーシップを発揮することになるでしょう。その時、今日お話しした「共振共鳴」の考え方を思い出してください。周りの人々の心に響き、共感を得られるようなビジョンを持ち、それを明確に伝えることができれば、自然と人々はついてくるはずです。

そして、チームの一人一人の力を最大限に引き出し、それらを一つの大きな力に融合させることができれば、個人の力では到底実現できないような大きな成果を上げることができるでしょう。


参考出典

同声相応じ、同気相求む
同じ響きを発するものは共鳴し、同じ気を求め合う。水は湿ったほうへ流れ、火は乾いたものに付く。水の物である龍には雲が従い、威を奮う虎には風が従う。
物事が成り立つ時は、必ず同じ志や方向性を持つ人や物が共振共鳴きょうしんきょうめいして、引き寄せられ、いっきにエネルギーが集中し融合する。その結果、個々の力では到底なしえないことが実現するのである。

易経一日一言/竹村亞希子

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