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まいにち易経

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当マガジン『 #まいにち易経 』は、難解な易経の内容をわかりやすく解説。現代の混迷を生き抜くための叡智と指針を与える必読マガジン。 竹村亞希子先生【「易経」一日一言】と本田濟先生…
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記事一覧

まいにち易経_0711【飲食宴楽】雲の天に上るは需なり。君子もって飲食宴楽す。[05䷄水天需:象伝]

象曰。雲上於天需。君子以飲食宴樂。 需卦の卦象は、水(☵)が天上に集まって雲層となり、雲が天に満ちているがまだ雨が降らないので、待つ必要がある。君子はこの時、飲食を楽しみながら力を蓄える必要がある。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『水天需』の象徴は、雲が天に上る姿を示しています。つまり、天上に雲が集まり、もうすぐ雨が降るけれども、まだその時は来ていないという状態です。この状況をどう捉えるかがポイントです

まいにち易経_0710【言語を慎み、飲食を節す】君子以て言語を慎み、飲食を節す。[27䷚山雷頤:象伝]

君子以愼言語。節飲食。 君子は言葉を慎んで美しい徳を育み、飲食を節制して健康な身体を養うべきである。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る まず、「頤」という字について、ご説明しましょう。 これは「あご」や「くち」を意味する漢字です。私たちの顔の中でも、とても重要な部分です。食べ物を口に入れるのも、言葉を発するのも、この「頤」の働きがあってこそです。 さて、この「山雷頤」の教えの核心は、「養う」ということにあ

まいにち易経_0709【有終の美/善始善終】君子は終わりあり。[15䷎地山謙:卦辞]

君子有終。 鬼神の法則は、傲慢な者を害し、謙虚な者を保護する。人の法則は、傲慢を嫌い、謙虚を好む。謙虚であれば尊敬され栄え、地位の低い者も礼制を越えない。これは君子の善始善終を示す。 君子はこの謙道を実行することで、有終の美を飾る。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 今日は、易経の中でも特に興味深い「地山謙」という卦について、お話しさせていただきます。これからリーダーとして活躍されるみなさんにとって、非常に

まいにち易経_0708【お先にどうぞ、ありがとう。】謙は亨る。[15䷎地山謙:卦辞]

謙。亨。 謙卦には二つの意味が含まれる。一つは謙虚:人に対して傲慢でなく親しみやすいこと。もう一つは謙譲:他人と争わず、譲り合うこと。功績があっても自慢せず、他人を優先する。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『地山謙』についてお話しさせていただきます。 私も皆さんと同じように、かつては若く、野心に満ちあふれていた時期がありました。その頃の経験を踏まえて、今日は「謙虚さ」という非常に重要なテーマについて、み

まいにち易経_0707【セーフティープロトコルの導入】蹇は、西南に利ろし。東北に利ろしからず。[39䷦水山蹇:卦辞]

蹇。利西南。不利東北。 西南に進みなさい。西南は地を象徴する方向だから。困難な状況に直面したときは、平らな大地に留まり、時の流れに従うのが賢明である。東北に向かうべきではない。東北は山を象徴する方角であり、山は困難の象徴。困難な状況にあるときは、無理に立ち向かわず、平らな地に留まって偉大な人物の教えに見習いなさい。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 今日は水山蹇という易経の教えについてお話しします。これは、

まいにち易経_0706【自分の道を守る】立ちて方を易えず。[32䷟雷風恒:象伝]

象曰。雷風恆。君子以立不易方。 象に曰く、雷風あるは恒なり。君子以て立つに方を易えず。 恒卦の卦象は、下に風、上に雷があり、風と雷が交互に作用し続ける形を示しているため、永続的なことを象徴していまる。賢人たるリーダーはこの卦を手本にし、自分の志を確立し、変わらない正しい道を守る。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『雷風恒』の「恒」は「常に」とか「変わらない」という意味を持っています。でも、ここで言う「変

まいにち易経_0705【大器晩成】天の衢を何う。亨る。[26䷙山天大畜:上九]

上九。何天之衢。亨。 上九が天の広大無辺な道を担うことで、多くの賢人が蓄養され積み上げられた結果、何事も成し遂げられる。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る まず、『山天大畜』上九の解釈についてお話しします。ここでは「衢(ちまた)」という言葉が出てきます。これは十字路を意味し、「天の衢を何う」とは、広大無辺な天の十字路を背負うことを指します。 四通八達、すなわち、どの方向にも通じる広大な道を背負うということで

まいにち易経_0704【無限の受容力~育成の秘訣】貞に安んずるの吉は、地の彊りなきに応ずるなり。[02䷁坤為地:彖伝]

安貞之吉、應地无疆。 安らかで正しい態度が吉を招くのは、そのような態度が地の疆りない徳にかなっているからである。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「安貞之吉、應地无疆」 この易経の言葉は「安らかで正しい態度が良いことを招くのは、それが地の限りない性質に応じているからだ」という意味になります。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、これはリーダーシップにとって非常に重要な教えです。 例えば、みなさんが会社

まいにち易経_0703【厚徳載物】地勢は坤なり。君子以て厚徳もて物を載す。[02坤為地:大象伝]

象曰。地勢坤。君子以厚徳戴物。 象に曰く、地勢は坤なり。君子以って厚徳もて物を戴す。 大地がすべての生き物を育み繁栄させるように、君子は常に高い人徳を持ち、その徳をもって自らの義務を全うする。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 地勢坤。君子以厚徳戴物。 これは、「地の勢いは坤である。君子はこれにならって、厚い徳をもって物を戴く」という意味です。ちょっと難しいですよね。でも、心配いりません。これから、みな

まいにち易経_0702【自彊不息】天行は健なり。君子もって自彊して息まず。[01䷀乾為天:象伝]

象曰、天行健。君子以自彊不息。 象に曰く、天行は健なり。君子もって自強して息まず。 天地の営みは、すべてのものに光を届け続ける太陽のように、絶え間なく健やかに働き続けている。君子を目指す者は、万物に光を注ぎ続ける太陽の姿を模範とすべきである。太陽のように強く健やかであるために、自らを絶えず養い、一日たりともその努力を怠ってはならない。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 天は、決して休むことなく働き続けてい

まいにち易経_0701【《機》を自在に用いる】天に先立ちて天違わず、天に後れて天の時を奉ず。しかるをいわんや人においてをや。[乾為天/文言伝:第六節九五]

先天而天弗違。後天而奉天時。天且弗違。而況於人乎、況於鬼神乎。 天に先だちて天違わず、天に後れて天の時を奉ず。天すら且つ違わず、しかるをいわんや人をおいてをや、いわんや鬼神においてをや。 無私の心を持つ大人の徳は天地の徳と同じく高貴であり、その知恵は太陽や月の輝きに匹敵する。大人がもたらす秩序は四季の巡りのように整然としている。その行動が天理を理解し従っているならば、天の法則から外れることはない。天ですら大人の行動に逆らうことはなく、ましてや人や鬼神(=陰陽の気の作用)が

まいにち易経_0630【時用】

時用とは、易の概念の中で非常に重要な要素です。時用とは、いつも使うものでなく、特殊な時に使う、その効用のことです。 だからこそ、その場合の効用は、また大きなものがあるのです。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「時用」とは、避けたいと思うような困難や逆境の時をあえて用いることを意味します。誰でも辛い経験や困難は避けたいものです。しかし、易経ではあえてそのような時に向き合うことが重要だと教えています。 私が経

まいにち易経_0629【時義】

時義とは、各卦が象徴する時間とその意義を指します。 六十四卦は、世界の絶え間ない変転の中から特定の時間や状況を切り取ったものです。したがって、各卦にはそれぞれ独自の時と意義が備わっています。 時義の基本概念 時の変化と応じることの重要性 易経では、すべての事象が時とともに変化することが強調されています。これは「易」の基本的な考え方であり、物事の成り行きを理解し、適切なタイミングで適切な行動を取ることが求められます。これが「時義」の根本です。 君子の行動指針 易経は、君子(

★まいにち易経_0628【悪しき習慣は早期に矯正せよ】童牛の牿は、元吉なり。[26䷙山天大畜:六四]

六四。童牛之牿。元吉。 六四は、童牛の牿。元吉なり。 角で人を突くのを防ぐために仔牛のうちから横木を縛り付けるのは、大いに吉である。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 今日は易経六十四卦の『山天大畜』の六四について詳述いたします。これは、牛の角に横木を取り付けるという象徴を通して、教育と成長の重要性を示す教えです。 まず、古代の人々がどのようにして牛を飼い慣らしたかをご紹介しましょう。通常おとなしい牛も