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まいにち易経_0609【一朝一夕の故にあらず】臣にしてその君を弑し、子にしてその父を弑するは、一朝一夕の故にあらず。[坤為地:文言伝]
臣弑其君、子弑其父、非一朝一夕之故。 臣にしてその君を弑し、子にしてその父を弑するは、一朝一夕の故にあらず。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 易経六十四卦『坤為地』の文言伝のなかに、 「臣下が君主を殺し、子供が親を殺すようなことは、ある日突然に起こるのではない。その要因は長い年月をかけてゆっくり育ち、ある時、大きな禍となって現れる」という内容の一節があります。 これは一見するととても恐ろしい話に聞こえる
まいにち易経_0608【危機意識】安くして危うきを忘れず、存して亡ぶるを忘れず、治まりて乱るるを忘れず。[繋辞下伝:第五章]
是故君子安而不忘危。存而不忘亡。治而不忘亂。 是の故に、君子は安くして危うきを忘れず。存して亡ぶるを忘れず、治まりて乱るるを忘れず。 孔子はこう語っている。「常に現状に対する危機感を持つ者は、その地位を安定して保つことができる。常に滅亡の可能性を自覚している者は、その存続を維持することができる。常に乱れることを懸念している者は、安定した状態を長く保つことができる。だからこそ、君子は安定しているときでも常に危機感を持ち、存続しているときでも滅亡のリスクを考え、治まっていると
まいにち易経_0607【危うき者】危うき者は、その位に安んずる者なり。亡ぶる者は、その存を保つ者なり。乱るる者は、その治を有つ者なり。[繋辞下伝:第五章]
子曰。危者。安其位者也。亡者。保其存者也。亂者。有其治者也。 子曰く、危うき者は、其の位に安んずる者なり。亡ぶる者は、其の存を保つ者なり。乱るる者は、其の治を有つ者なり。 孔子はこう述べている。「常に現状に危機感を抱く者は、その地位を安定して保てる。常に滅亡の可能性を考え自戒する者は、その存続を維持できる。常に乱れることを心配する者は、その安定した状態を長く保てる。だからこそ、君子は安定しているときも危機感を持ち、存続しているときも滅亡を念頭に置き、治まっているときも乱れ
まいにち易経_0606【深い洞察力と理解力】仰いでもって天文を観、俯してもって地理を察す、この故に幽明の故を知る。[繋辞上伝:第四章a]
易與天地準。故能彌綸天地之道。 仰以觀於天文。俯以察於地理。是故知幽明之故。 原始反終。故知死生之説。精氣爲物。遊魂爲變。是故知鬼神之情状。 易は天地と準う。故に能く天地の道を弥綸す。 仰いで以て天文を観、俯して以て地理を察す。 是の故《ゆえ》に幽明の故《こと》を知る。 始めを原《たず》ね終りに反《かえ》る。 故に死生の説を知る。精気は物を為し、游魂は変を為す。 是の故に鬼神の情状を知る。 『準』は符合、『弥』は糊で封をする意味、『綸』は太い糸から条理の意味になる。『幽』