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まいにち易経_0630【時用】

時用じようとは、易の概念の中で非常に重要な要素です。時用とは、いつも使うものでなく、特殊な時に使う、その効用のことです。
だからこそ、その場合の効用は、また大きなものがあるのです。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「時用」とは、避けたいと思うような困難や逆境の時をあえて用いることを意味します。誰でも辛い経験や困難は避けたいものです。しかし、易経ではあえてそのような時に向き合うことが重要だと教えています。

私が経営者として学んだことの一つに、「失敗を恐れないこと」があります。失敗を恐れて何もしないよりも、失敗してもそこから学ぶ姿勢の方が、はるかに価値があります。もちろん、同じ失敗を繰り返さないよう注意は必要ですが、新しいことに挑戦する勇気は大切です。

さて、「時用」の考え方は、ビジネスだけでなく、私生活にも活かせます。例えば、人間関係でトラブルが起きた時。その場から逃げ出したくなるかもしれません。でも、あえてその問題に向き合い、解決しようと努力することで、コミュニケーション能力が磨かれたり、相手の立場に立って考える力が身につきます。

ところで、皆さんは「レジリエンス(resilience)」という言葉を聞いたことがありますか?これは「困難な状況から立ち直る力」のことを指します。まさに「時用」の考え方と通じるものがありますね。レジリエンスの高い人は、ストレスの多い環境でも適応し、成長できると言われています。

では、具体的にどうすれば「時用」の考え方を実践できるでしょうか?
まず、困難に直面した時、それを「問題」ではなく「課題」と捉えてみましょう。「問題」だと思うと、ネガティブな感情が先に立ってしまいます。でも「課題」だと考えれば、それを解決する方法を冷静に考えられるはずです。

次に、その「課題」から何を学べるかを常に意識してください。例えば、締め切りに間に合わなかった時。単に「失敗した」で終わらせるのではなく、なぜ間に合わなかったのか、どうすれば次は間に合うのか、を考えることが大切です。

そして、小さな成功体験を積み重ねることも重要です。大きな困難に直面した時、過去の成功体験を思い出すことで、「自分はきっと乗り越えられる」という自信につながります。

最後に、周りの人々のサポートを大切にしてください。困難な時こそ、一人で抱え込まずに、信頼できる人に相談することが大切です。それによって新しい視点や解決策が見つかるかもしれません。

逆境に向き合うことで、人は成長します。困難な状況は、自分自身を見つめ直し、新たな道を見つける機会となるのです。

では、最後に具体的にどのように「時用」を実践すればよいのかを、まとめてみましょう。

1.逃げないこと
まず第一に、困難から逃げないことが大切です。逃げることで一時的な安心を得るかもしれませんが、問題は解決しません。むしろ、後々もっと大きな問題となって戻ってくることが多いのです。困難に直面したときこそ、自分の力を試す時です。
2.学ぶ姿勢を持つこと
次に、困難な状況から学ぶ姿勢を持つことが重要です。どんな困難にも必ず学ぶべき教訓が含まれています。その教訓をしっかりと受け取り、次に活かすことができれば、自分の成長につながります。
 3.支えを求めること
困難な時には、周囲の人々の支えを求めることも忘れてはいけません。一人で全てを解決しようとするのではなく、仲間や先輩、家族の助けを借りることで、新たな視点や解決策が見えてくることがあります。


易経の「時用」は、困難や逆境に対してどう向き合うかを教えてくれます。逃げずに立ち向かい、そこから学ぶことで、人は成長し、より強くなります。皆さんも、将来のリーダーとして、多くの困難に直面することがあるでしょう。しかし、その時こそが自分を成長させるチャンスであることを忘れないでください。
困難を恐れず、逆境を糧として前に進んでいってほしいと心から願っています。皆さんの未来に大いなる成功が待っていることを信じています。


参考出典

誰でも艱難辛苦は経験したくない。避けられるものなら避けたいものである。
「時用」とは、あえて用いたくない険難の時を用いること。要するに、その険難の時に相対し、逆境を活かすのである。
逃げ出さずに苦しみの時に向かい合い、乗り越えたなば、大いなる教訓を得る。それがその後の人生に大きな効用をもたらすことがしばしばある。
艱難辛苦の時を用いることは人間を成長させる糧となるものである。

易経一日一言/竹村亞希子

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