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まいにち易経_1022【明察と迅速な問題処理の重要性】山上に火あるは旅なり。君子もって明らかに慎み刑を用いて獄を留めず。[56䷷火山旅:象伝]
象曰。山上有火旅。君子以明愼用刑而不留獄。 山の上に火があるのが旅であり、君子はこれを見て、刑罰を慎重に用い、裁判を長引かせない。 旅卦の卦象は、☶艮(山)の下に☲離(火)があり、火が急速に燃え広がる様子を表している。これは旅人が急いで旅をしていることを象徴しており、君子はこの卦を観て、刑罰に慎重に臨み、速やかに裁きを行うべきだと教えている。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「火山旅」というのは、山で火が
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まいにち易経_1019【予期せぬ出会いが導くイノベーション】穴に入る。速かざるの客三人来るあり。これを敬すれば終には吉なり。[05䷄水天需:上六]
上六。入于穴。有不速之客三人來。敬之終吉。 象曰。不速之客來。敬之終吉。雖不當位。未大失也。 「速く」は「招く」と違い「需つ」の意味を持つ。速かざるとは需たない、つまり期待していないということである。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 招かざる客 『水天需』の上六にある「招かざる客」という言葉、これは皆さんも聞いたことがあるかもしれませんね。現代では、迷惑な客人を意味することが多いですが、本来の意味は少し
まいにち易経_1017【小人を見抜く力:リーダーシップにおける重要な洞察力】剥に孚あれば、厲きことあり。[58䷹兌為澤:九五]
九五。孚于剥。有厲。 象曰。孚于剥。位正當也。 九五は上六(陰)と陰陽が相合しているが、上六は小人であり、九五の陽剛を剥ぎ取ろうとする。しかし、九五はそれにもかかわらず、上六を信頼し続けるため、危険が生じる。その危険とは、放縦の危険である。君主にとって、情欲に溺れることは最も危険である。君主が情欲に溺れると、国政を愛人に任せてしまう危険がある。これが「孚于剥」の警告である。 夏桀と妹喜 夏桀は夏王朝最後の君主で、暴虐な振る舞いで知られる。伝説では、彼は情欲に溺れ、妹喜とい
まいにち易経_1016【恩沢を広げるリーダーシップ】君子もって禄を施して下に及ぼし、徳に居ることすなわち忌む。 [43䷪澤天夬:象伝]
象曰。澤上於天夬。君子以施祿及下。居徳則忌。 夬卦の卦象が乾(天)下の兌(沢)上にあり、湖水が蒸発して天に上り、やがて雨となって降り注ぐ現象を表し、これを決断の象徴とする。君子はこれにより啓示を得る。つまり、高みにいる者が恩恵を下々の民に広く施さなければ、忌み嫌われることになるという教訓である。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る まず、『澤天夬』の「夬」ですが、これは決断や決壊を意味します。つまり、何かを決
まいにち易経_1013【守成の智慧:易経が教える持続可能な成功の秘訣】高宗鬼方を伐つ。三年にしてこれに克つ。[63䷾水火既済:九三]
九三。高宗伐鬼方。三年克之。小人勿用。 象曰。三年克之。憊也。 高宗とは商朝の中興の賢君、武丁のことを指す。ここでは九五の君爻を意味する。鬼方は部族の名前である。この爻辞の意味は、殷の高宗である武丁が、西北の鬼方国を征伐し、三年にわたる連続した戦いの末にようやく勝利を収めたというものだ。勝利は容易に得られたものではなく、その後の治世において功を焦る小人(利己的で無謀な人物)を任用すべきではない。そうしないと、民を疲弊させ、財を浪費して内乱を引き起こす恐れがある。 ある企業
まいにち易経_1012【永続的な繁栄の鍵:陰陽のバランスとリーダーシップ】永く貞しきに利ろし。用六の永貞は大をもって終わるなり。[02䷁坤為地:用六]
用六。利永貞。 象曰、用六永貞、以大終也。 正道を守る:永遠に正しい道を守り、人の心の純粋さを保ち、邪なことや間違ったことをしてはいけない。正しい道を永遠に堅持することが有利であ。用六の永貞は、坤卦の臣としての道を大きな善の結末へと導く。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る まず、「創業」と「守成」という概念から始めましょう。これらは、ビジネスや組織運営において重要な二つの側面です。「創業」は新しいものを生み
まいにち易経_1011【心理的安全性とアサインメントリリース】君子維れ解くことあらば、吉なり。小人に孚あり。[40䷧雷水解:六五]
六五。君子維有解。吉。有孚于小人。 象曰。君子有解。小人退也。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「解く」というのは、物理的なものだけでなく、人間関係や組織内の「しがらみ」や「こじれ」を解きほぐす意味もあります。友人関係がこじれたり、チームでうまくいかないことがあったりする時、この「解」の教えが役立ちます。 さて、この卦では「君子維有解」という言葉が出てきます。「維れ」とは、険難の原因を作った小人のこと。こ
まいにち易経_1010【乱世の知恵:混乱を生き抜くための処世術】天地交わらざるは否なり。君子もって徳を倹にし難を辟く。栄するに禄をもってすべからず。[12䷋天地否:象伝]
象曰。天地不交否。君子以儉徳辟難。不可榮以祿。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る まず、『天地否』という言葉の意味から説明しましょう。「天地が交わらない」という状態を表しています。これは何を意味するのでしょうか? 簡単に言えば、世の中が上手くいっていない状況のことです。会社に例えると、経営者と従業員の間に大きな溝ができてしまっているような状態ですね。 私が若い頃、ある大企業で働いていた時のことを思い出します