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まいにち易経_0609【一朝一夕の故にあらず】臣にしてその君を弑し、子にしてその父を弑するは、一朝一夕の故にあらず。[坤為地:文言伝]

臣弑其君、子弑其父、非一朝一夕之故。

臣にしてその君をしいし、子にしてその父を弑するは、一朝一夕のことにあらず。


ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

易経六十四卦『坤為地』の文言伝ぶんげんでんのなかに、
「臣下が君主を殺し、子供が親を殺すようなことは、ある日突然に起こるのではない。その要因は長い年月をかけてゆっくり育ち、ある時、大きな禍となって現れる」という内容の一節があります。

これは一見するととても恐ろしい話に聞こえるかもしれませんが、実は深い教訓が込められています。この教訓は、皆さんが将来のリーダーとしてどのように行動すべきかを考える上で非常に重要です。

この一節が教えているのは、重大な問題や悲劇は一朝一夕で起こるのではなく、長い時間をかけて育まれていくということです。例えば、職場での人間関係の問題や組織の中の不正行為も、初めは些細なことであっても、それを見逃し続けると大きな問題に発展することがあります。

これを具体的に考えてみましょう。皆さんは小さな火種を見つけたらどうしますか?普通の人なら、その火種をすぐに消そうとしますね。放置しておくと大火事になる可能性があるからです。同じように、職場や組織での小さな問題も、早い段階で対処することが重要です。見て見ぬふりをしていると、後になって大きな禍となり、組織全体に影響を及ぼすことになります。

また、この教えからは、早期対応の重要性も学ぶことができます。問題が小さいうちに対応することで、大きな被害を防ぐことができます。これは、リーダーとして非常に重要なスキルです。

例えば、ある企業で不正が発覚したとします。その企業のリーダーがすぐに問題に対処し、原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じたなら、その企業は信頼を取り戻し、再び成長することができるでしょう。しかし、問題を見逃し続け、適切な対応を怠った場合、その企業は信頼を失い、最終的には倒産の危機に瀕するかもしれません。

さらに、この一節は、リーダーが道理を見極める力を持つことの重要性を教えています。道理を見極める力とは、物事の本質を理解し、早い段階で正しい判断を下す能力のことです。この力を養うためには、日々の学びと経験が欠かせません。

例えば、あるリーダーが部下の不満を早期に察知し、その原因を探ることで、適切な対策を講じることができれば、部下のモチベーションを高め、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。このように、リーダーは常に現場の声に耳を傾け、問題の兆しを見逃さないことが求められます。

ここで、歴史の一例を挙げてみましょう。古代ローマ帝国の滅亡も、長い年月をかけて徐々に進行した結果と言われています。初めは内部の腐敗や政治の混乱が少しずつ積み重なり、やがて帝国全体を揺るがす大きな問題に発展しました。このような歴史の教訓からも、リーダーが常に小さな兆しを見逃さず、早期に対処することの重要性が理解できるでしょう。

皆さんがこれからリーダーとして活躍する際には、常に問題の兆しを見逃さず、早期に対処することを心がけてください。また、物事の本質を見極め、正しい判断を下す力を養うために、日々の学びと経験を大切にしてください。これらの教えを実践することで、皆さんは信頼されるリーダーとなり、組織を成功へと導くことができるでしょう。


参考出典

臣下が君主を殺し、子供が親を殺すようなことは、ある日突然に起こるのではない。その要因は長い年月をかけてゆっくり育ち、ある時、大きなわざわいになって現れる。
なぜこのようなわざわいが起きるのか。物事の道理を早い兆しのうちに明らかにして、正さなかったからである。人的な禍の多くは、長い間、見ても見逃し続けた結果である。

易経一日一言/竹村亞希子

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